2015.03.09 mon

2015年3月09日【新聞解説】巡りくる3.11と私たちの未来

2015年3月09日【新聞解説】巡りくる3.11と私たちの未来


【リグミの解説】

今週水曜日は東日本大震災から4年となる日です。3年の昨年と比べ、メディアの扱いははるかに小さくなっています。本日の毎日新聞と東京新聞が社説を掲げています。主な視点を比較します。
 
<毎日新聞> 苦悩続く福島 事情の違い超え支援を
・ 東日本大震災からまもなく4年。原発事故で広大な地域が放射能によって汚染された福島の状況は特に過酷だ。政府による避難指示は今も10市町村に及ぶ。避難者はなお12万人を数え、うち5万人近くが県外避難だ。全都道府県に散り散りになり、東京では最も多い約6100人が生活を営む。
・ 避難の理由はさまざまだ。避難指示に伴う避難のほか、自主避難や避難指示解除後も帰還しないケースがある。それぞれ家族構成は異なり、自宅再建、仕事、医療、子供の教育など抱える課題や優先順位も違う。帰還や移住への考え方の違いが、時間の経過とともに浮き彫りになってきた。福島の被災地で暮らす人を含めて、あらゆる立場の被災者を固別の事情に応じて支える態勢を取り続けなければならない。
 
<東京新聞> 東日本大震災四年 福島の苦しみ正面から
・ 原発事故という未曽有の災禍によって日常を壊された福島の人に十分な賠償や支援がされてきたとは言い難い。福島の苦悩を忘れてしまってはいないか。原発事故収束のメドすら立たない福島県では、いまだ十二万人が県内外での避難生活を余儀なくされている。五年で二六・三兆円の復興予算の多くは道路や港湾などのインフラ整備が中心だ。目に見える部分の復興は進んでも、肝心な人々の生活の復興・再建は大幅に遅れている。
・ 国が定めた五年の集中復興期間の終了に歩調を合わせるように、東電は商工業者に対して支払う営業損害賠償も来年二月に打ち切る方針を示した。だが、避難指示区域にある事業者のうち、業務再開できたのは約半分。事故前の水準に戻ったのは皆無だ。苦境を乗り越え、みんなが安心して暮らせるようになった日が福島の復興の日だ。一人一人の生活再建を息長く見守る覚悟がいる。私たちはそのことを忘れてはならないはずだ。
 
3.11という原点
リグミの活動の原点のひとつは、3.11です。3年前の3月11日、私は北海道小樽市の中心地の運河沿いに立ち、14時46分に鳴り響く追悼のサイレンを聞いていました。協力してくれたスタッフ数名と、リグミ・ポータルを立上げ、メルマガの発信を始めました。ブログに記した「思い」を読み返すと、できたことよりも、できなかったことの方がはるかに多いことに気づかされます。メディアが伝える復興のプロセスと、それはどこかで重なっているのかもしれません(http://lgmi.jp/detail.php?id=4)。
 
復興コーディネーター
3/7の朝日新聞土曜版には、RCF復興支援チーム代表の藤沢烈さんを大きく取り上げていました。http://www.asahi.com/articles/DA3S11633637.html
藤沢さんは、復興コーディネーターの役割を尋ねられ、次のように答えています。
 
「復興には、生活再建や新産業の創造、まちづくりなど様々な課題があります。解決するには今まで以上に行政、企業、住民の連携が必要ですが、それぞれの論理があるので、なかなかうまくいかない。そのつなぎ役となり、知恵も絞って事業を効果的に進めていく存在が必要とされているのです。最初は、役所にこういう仕組みを提案に行っても、なかなか理解されなかったのですが、今は、行政からも企業からも、こなしきれないくらい依頼が来ます。復興支援チームの人件費などは彼らの事業費で賄っています。復興庁も私たちのような人材の必要性を感じて事業に採り入れています。復興は「人」で決まります。無駄なハード事業に多額の税金を投入する必要はないが、リスクを負って復興に飛び込むこうした人には、もっとお金をあげてもいい。そうすれば、個性あるカラフルな東北に復興していくと思います」
 
藤沢さんは、志ある仲間50人以上を復興コーディネーターとして被災地に送り込んでいます。いわば調整役を買って出た人々です。企業現場で盛んに論じられるリーダーシップとは一味違う活動です。それは目立たない活動であり、縁の下の力持ちともいえます。だからこそ、ほんとうの意味で大きな存在なのではないかと思います。人々をつなぎ、持てる力を一定の方向に集約すれば、大きな力となるからです。経営学者のジム・コリンズは、『ビジョナリー・カンパニー2』で、「人々がはずみ車を押す」という象徴的な表現をしています。それは最初、ほとんど何も生みません。しかし、しばらくすると、はずみ車はゆっくり動き出し、やがて大きな運動へと高まっていきます。
 
藤沢さんは、毎週、被災地を訪ねています。復興の現場で起きていることが日本の将来とダブって見える、といいます。「東北新幹線に乗っていると未来に向かっている気がする。今、海外より東北に行く方が、ずっと先が見える」
 
「大きな物語」
今、私たちに必要なものは、何でしょうか。被災地の現実から目をそらしがちになった4年目が終わり、5年目からはもっと長期の復興過程が始まります。前向きになれる話、希望の物語は、心の滋養となります。自分もできることをしようと思えることは大切です。自分もまた、そうした「大きな物語」の大事な登場人物だと実感できることで、私たちは主体的に前進していけます。
 
私は3年前、次のメッセージを掲げました。
「日本の針路は、私たち一人ひとりが主体的に考え、議論し、協働で意見をまとめ、決めていく必要があります。子供たちの未来は、私たち大人の健全な判断と行動に委ねられています。世代をつなぐ『大きな物語』を一緒に創り出す活動は、きっと大いに喜ばしいものとなるでしょう」http://lgmi.jp/detail.php?id=4
この「思い」は今も変わりません。この4月からは、形を変えて新たな活動に取り組み、「大きな物語」のあり方を探求していきます。
 

(文責:梅本龍夫)



  1. 東京五輪で地方創生 70首長連合 発足 特産品・観光 共同PR
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150308-OYT1T50108.html
  2. 追悼の日曜日 東日本 大震災4年
    http://www.yomiuri.co.jp/national/20150308-OYT1T50092.html
  3. 選挙権18歳「賛成」51% 本社世論調査 内閣支持55%
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150308-OYT1T50093.html

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 被災地 続く人口減 沿岸39市町村9.2万人 東日本大震災4年
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11640225.html
  2. 中国「誰でも誠意あれば歓迎」戦勝70年行事 安倍首相を牽制
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11640227.html
  3. 震災復興予算「地元も負担を」復興相
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11640226.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 20キロボランティア3万人 除染2500回 被ばく管理外 福島原発
    http://mainichi.jp/shimen/news/m20150309ddm001040191000c.html
  2. 他自治体で自宅再建23% 被災20市町村 人口流出止まらず 本紙調査
    http://mainichi.jp/shimen/news/m20150309ddm001040172000c.html
  3. 自民、改憲を前面 運動方針「賛同者拡大を」
    http://mainichi.jp/select/news/20150309k0000m010056000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 部品供給 復旧すばやく トヨタ災害時の情報網 10次下請け把握、日産も展開
    http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ05I25_Y5A300C1MM8000/
  2. 海外子会社任せに限界 迷惑ファックスで10億円 グローバル企業の死角
    http://www.nikkei.com/article/DGXLASFP26H0I_T00C15A3MM8000/
  3. 保険金支払い 確実に 第一生命 ヤマトが安否確認 過疎地で
    http://www.nikkei.com/article/DGKKASDF06H2A_Y5A300C1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 自民「改憲原案を作成」党大会採択 首相 安保法制に意欲
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150309-00000058-san-pol
  2. 中国外相「良識失うな」戦後70年談話 日本を牽制
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150309-00000061-san-cn
  3. 「マッカーサー道路」はなかった 戦中に用地確保・・・GHQは無関心 大空襲 戦後70年
    http://www.sankei.com/life/print/150309/lif1503090003-c.html

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 開戦回避 沈黙守る 陸軍「米英強大」詳細に分析 情報機関の機密文書発見 戦後70年 甦る経済秘史
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015030902000139.html
  2. 揺れる政策 陰る太陽光 飯舘電力の挑戦
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015030902000138.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


【本日の新聞1面トップ記事】アーカイブ


★リグミの独自メルマガ始めました。
広告無しで【リグミの「新聞1面トップ記事」&「今日は何の日?」】が読めます!!