LGMI

【リグミのコメント】　野田首相が大飯原発再稼働の判断を出したことは、一国の首相がエネルギー政策の「軸」を明言するという意味では評価できます。しかし、その内容と根拠は、３つの意味できわめて問題含みです。
 

第１に、安全に確証がないままの見切り発車となっています。
第２に、夏場限定の再稼働案を「国民の生活を守れない」と一蹴していますがその根拠が示されていません。
第３に、中東の石油に過度に依存するリスクと発電コストの高騰を理由に、原発を中長期の重要な電源と位置付けていますが、一国のエネルギー政策の根幹が問われている時代に、「国民の生活」という言葉で目先の利益・利便を優先した判断を示してしまっていることです。
 

「原発をどうするか」は、文字通り国論を二分する一大テーマです。今回野田首相が表明した判断の影響は、大飯原発の当面の再稼働問題に留まるものではありません。「一国のエネルギー政策に原子力エネルギーをどう位置付けるか」という根本問題に関わる判断が、大局観のないまま、事実上示されてしまっていることを強く懸念します。

讀賣新聞

【記事】 野田首相、大飯原発再稼働を表明

• 野田首相は8日、関西電力大飯原発３、４号機の早期の再稼働を表明した。
• 原発を止めたままでは日本の社会は立ち行かず、「国民の生活を守るため」と語った。「夏場限定の再稼働では国民の生活は守れない」として否定した。野田首相はさらに、原発を中長期的に重要な電源と位置付けた。
• 大飯原発の地元の福井県は、再稼働に同意する見通しで、政府は来週中にも同原発の再稼働を最終決定する方針。

（YOMIURI ONLINE　http://www.yomiuri.co.jp/）

朝日新聞

【記事】 野田首相、大飯原発再稼働を表明

• 野田首相は8日、関西電力大飯原発３、４号機について、「国民の生活を守るため、再稼働すべきだというのが私の判断だ。立地自治体のご理解をいただいたところで再稼働の手続きを進めたい」と表明した。
• 野田首相の表明を受けて、福井県の西川知事は、同意手続きを進める意向を示した。
• 国内に50基ある原発は、5月5日にすべて停止したが、大飯原発が再稼働すれば東電福島第一原発の事故後初めてのケースとなる。手続きが順調に進めば7月上旬にも1基目が再稼働する。

（朝日新聞デジタル　http://www.asahi.com/）

毎日新聞

【記事】 野田首相、大飯原発再稼働を表明

• 野田首相は8日、関西電力大飯原発３、４号機について、「原発は重要な電源だ。国民生活を守るために再稼働すべきだというのが私の判断だ」と初めて明言した。
• 首相は再稼働を「国論を二分する問題」としつつも、国の責務として「日常生活への悪影響をできるだけ避ける。原発を止めたままでは日本社会は立ち行かない」と断言。関西で今夏15%の電力不足が予測されることを根拠に、昨年の原発事故でも体験していない水準であるとして、再稼働の正当性を訴えた。
• 福井県の西川知事は、首相の会見を評価し、再稼働の同意手続きに入る意向を示した。政府は県の同意を得て16日にも再稼働を正式決定する。

（毎日jp　http://mainichi.jp/）

日経新聞

【記事】 野田首相、大飯原発再稼働を表明

• 野田首相は8日、関西電力大飯原発３、４号機について、「国民の生活を守るために再稼働すべきだというのが私の判断だ」と明言した。
• 日常生活だけでなく、経済活動やエネルギー安全保障の視点からも、原発なしでは日本社会は立ちいかないとして、「原発は重要な電源だ」と強調した。
• 福井県の西川知事は、「首相の強い思いを国民に向けてしっかり語っていただいたものと重く受け止めている」とし、再稼働に向けた手続きを進める考えを表明した。

（日経Web刊　http://www.nikkei.com/）

東京新聞

【記事】 野田首相、大飯原発再稼働を表明

• 野田首相は8日、関西電力大飯原発３、４号機について、「再稼働すべきだというのが私の判断だ」と表明した。
• 東京電力福島第１原発事故の原因究明が途上にもかかわらず、首相は夏の電力確保や原発の継続性を重視した。福井県の理解を得る前に最終決断の意思を示す必要があると判断した。
• 国民に広がる安全への不安を解消できないまま、政府は再稼働に突き進んでいる。

（TOKYO Web　http://www.tokyo-np.co.jp/）