【リグミの解説】
ビジネスを成功させるカギ
ビジネスを成功させることは、企業の理念を社会に浸透させるということです。企業の目標は利潤を上げることですが、企業活動をする目的は単なるお金儲けに留まるものではありません。社会で求められ、役立つものを提供することで、売り上げという成果が上がります。求められる度合いが高ければ、高い値段を付けられます。あるいは、あえて低めの値段をつけることで、より多く販売することができます。そして売上高に対してコストを一定範囲に抑えることで、利益が生まれます。
しかし、事業が一本調子で成長し続けることはまずありません。早晩、壁にぶつかります。そのとき企業は、余計な経費をかけず売り上げ減少に合わせてコストを削減する、値段を下げて販売数を再び増やそうとする、あるいは新しい商品やサービスに進出し新たな需要を掘り起こそうとする、といった行動を取ります。うまく行った企業は生き残り、失敗した企業は淘汰されていきます。成功と失敗を分けるポイントはどこにあるのでしょうか。
そのヒントのひとつが、現状維持と革新(イノベーション)の関係です。本日の日経新聞1面3に、「育ち始めた革新の芽」というイノベーションに関する記事が載っています。記事は、ファミリーレストランの老舗「ロイヤルホスト」が、証券会社出身の新社長の下、新規出店で売り上げ拡大を図る業界常識に背を向け、既存店に投資をして魅力を高め、価格競争をやめて高額メニューに振ったところ、デフレに飽きた顧客を取り込め、利益水準を回復できた様子を紹介しています。
ファミレスの事例
ファミリーレストランの理念は、その業態名が示す通り、家族で気楽に食事を楽しめるレストランです。ビジネス成功のカギは、老若男女の幅広い人々が、最大公約数的にオーダーしたくなるメニュー、リーズナブルな価格、そこそこのおいしさと量、均質化されたサービスによる安心感といったものでした。定型化された店舗を全国展開しましたが、外食産業の典型的なパターンとして、既存店の売り上げ減少を新規出店による売り上げのかさ上げでカバーしてきました。
しかし、既存店の売り上げが減少しているということは、問題が起きているということです。問題は、メニュー内容なのか、味なのか、価格なのか、あるいはサービスや店舗の雰囲気なのか。ロイヤルホストの新社長は、内装を変え、メニュー内容や価格に手をつけ、ファミレス業界の中で「違い」を明確に打ち出しました。既存店の売上げを拡大する方法をつかんだ上での新規出店は、事業を健全に成長させる礎となります。
外食産業の顧客の好みや食事の仕方は、変化し続けます。他のレストラン、ファーストフード、コンビニなど、競合が仕掛けてくることに対して、先手を打って対応する必要もあります。事業の中心軸(外食産業では既存店)に、イノベーションをもたらす仕掛けがあれば、企業は顧客満足を高め、競合に打ち勝ち、結果として利益を増やすことができます。それは、企業理念をより着実に社会に浸透させいくことを意味します。
国家のイノベーション
企業活動と自治体や国家の運営は、まったく別物ですが、経済政策を考える上で参考になることはあります。外食産業の既存店と新規店にあたるものは何か。また、メニューや価格、サービス、店装等にあたるものは何か。この質問は、どこにイノベーションの軸を置き、どのセクターを成長エンジンとするかと言い換えられます。新規出店のように効果を早く出せる施策は、受けがいいですが、本当に必要なのは、既存店のイノベーションです。
安倍政権の経済政策でいえば、新規出店にあたるのが、「大胆な金融政策」や「機動的な財政出動」だと思います。短期的な効果は期待できますが、根幹的な経済の再生(イノベーション)ではなく、対症療法や外科手術のレベルです。一方の「成長戦略」は、既存店のイノベーションにあたるものです。経済の体質改善をし、基本に忠実かつ地道な取り組みを実行することで、長期的な成果を生み出せるようになります。
生活者が普通に生きられる社会
その「成長戦略」は、もっぱら企業活動などにスポットライトが当たっていますが、本当にイノベーションが必要なのは、「生活者」の側です。企業活動の活性化は、「成長戦略」の中の新規出店にあたります。既存店にあたる生活者の雇用が増え、給与が上がり、消費マインドが積極化するかどうかがカギを握ります。しかし、企業活動に比べ、生活者のイノベーションは簡単ではありません。利潤追求といったシンプルな指標では、生活者を動機づけられないからです。
生活者は、もちろん給料が上がり、生活レベルが向上することを望んではいると思います。しかしそれ以上に生活と社会の安定を望んでいます。そして、社会が本当に安定すれば、生活者は、結婚し、子供を産み育てる、という「成長戦略」を実行するようになるでしょう。長い目で見て、本当に国家が追求すべき経済政策とは、社会を安定させ、維持し、持続可能にするものです。「生活者」が、普通に家族を形成し、活き活きと生きられる社会となったとき、経済再生(イノベーション)は、ほんものになります。それは、日本国の理念が、健全に実現した姿といえます。
(文責:梅本龍夫)
① 【独自取材】 「気球爆発、日本人4人死亡」
- エジプト南部ルクソールで26日、観光用の熱気球が爆発し、墜落した。同国保健省によると、日本人4人、香港からの観光客9人、フランス人2人、英国人2人、ハンガリー人1人、エジプト人1人の計19人が死亡した。操縦士と英国人乗客1人は飛び降りて脱出したが、重度のやけどを負い重傷。
② 【独自取材】 「補正予算成立」
2012年度補正予算は26日、参院本会議で賛成多数で可決した。賛成は、自民党、公明党、みどりの風(4人)、日本維新の会、国民新党、新党改革の計117票。反対は、民主党、みんなの党、生活の党、共産党、社民党、みどりの風(1人)、無所属の計116票。1票差だった。
③ 【連続企画】 「病院を丸ごと輸出 ~医療革新(5)」
- ピッツバーグ大医療センターは、ICT(情報通信技術)を駆使し、遠隔地でがん検診できるネットワークを組み、海外の病院と提携し、最新の医療を世界中に提供する。日本の病院の高い治療技術と丁寧な対応は、海外でも注目されているが、海外に目を向ける病院経営者は少ない。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【独自取材】 「気球爆発、日本人4人死亡」
- エジプト南部ルクソールで26日、観光用の熱気球が爆発し、墜落した。現地病院やエジプト観光省によると、日本人4人、中国人9人、フランス人2人、英国人2人、ハンガリー人1人、エジプト人1人の計19人が死亡した。旅行会社JTBグランドツアー&サービスは、同社が手配した邦人4人の死亡を確認したと発表。
② 【政府広報】 「個人の連帯保証、原則禁止」
- 法相の諮問機関である法制審議会は26日、債権法(契約のルールなどを定めた民法)の改正に向けた中間試案をまとめた。全面改正は、1896年の制定以来。経営者以外の個人保証を禁じる規定を検討する。
③ 【独自取材】 「原発安全対策1兆円」
- 原発を持つ電力会社10社は、国の新安全基準に適合するための対策費を、少なくとも計1兆円見込んでいることが判明した。仕様が決まっていない施設もあり、今後対策費はさらに膨らむ。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【独自取材】 「気球爆発、日本人4人死亡」
- エジプト南部ルクソールで26日、観光客ら21人を乗せた熱気球が、高度約300メートルで爆発し、墜落した。日本人4人を含む乗客19人が死亡した。事故を起こした観光気球会社は、数年前にも事故を起こすなど問題があったとする情報もある。
② 【政府広報】 「『約款』の規定、新設」
- 法相の諮問機関である法制審議会は26日、民法についての約300の検討項目を示した中間試案をまとめた。規定がなかった「約款」に関する定義を新設する。
③ 【独自取材】 「補正予算、1票差で成立」
- 政府の緊急経済対策を盛り込んだ2012年度補正予算は26日、参院で賛成117票、反対116票の1票差で可決した。参院は与党が過半数割れしているが、野党の足並みがそろわず、安倍政権は「ねじれ」解消に向け、一歩前進となった。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【政府広報】 「産学の創薬、5年短縮」
- 政府は、東大病院など15機関を指定し、その研究成果については製薬会社による検証作業を省略できるようにし、新薬の開発期間を5年ほど短縮する規制緩和を、2014年度にも実施する。安倍政権が掲げる成長戦略の医療分野での具体策となる。
② 【独自取材】 「補正、参院も可決」
- 政府の緊急経済対策を盛り込んだ2012年度補正予算は26日、参院で1票差で可決した。与党は過半数に達していないが、日本維新の会、新党改革、国民新党などが賛成に回った。
③ 【独自取材】 「育ち始めた革新の芽」
- 企業収益の回復のひとつのカギは、旧来の常識にとらわれない広い意味でのイノベーションにある。円安やリストラに頼った成長では、海外企業との収益力の差は埋まらない。得意事業の高度化で生じる「イノベーションのジレンマ」に挑むべく、担当を超え、異業種や大学と連携する取り組みが進む。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【独自取材】 「気球墜落、4邦人死亡」
- エジプト中部の古代遺跡の観光地ルクソールで26日、観光用の熱気球が墜落し、日本人4人を含む19人が死亡した。JTBグランドツアー&サービスは26日、事故に遭った日本人は、同社のツアー参加者で、東京23区に住む60代の夫婦2組であると発表した。
② 【連続企画】 「逃げて、叫ぶ命 ~犠牲の灯り」
- 京都市に住む山田あゆみ(30)は、夫の豊(30)と2年前に福島県飯館村から逃げた。30頭の牛を育てる農家だったが、福島第1原発が爆発した。躊躇する2人に対し、1歳8ヵ月だった長女のゆりが突然大声で叫んだ。我に返った夫婦は、飯館村を後にした。お腹にいた子は無事誕生し、安土(あど)と名付けた。安らげる土地が早く見つかるように。
③ 【独自取材】 「操縦士、先に逃げる?」
エジプト・ルクソールの熱気球の爆発・墜落事故の目撃者によると、着陸しようとした気球から火災が発生し、操縦士ら数人が飛び降りて逃げた。その後気球は急上昇し、爆発・落下した。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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