2013.02.26 tue

新聞1面トップ 2013年2月26日【解説】政治家の「第4の道」

新聞1面トップ 2013年2月26日【解説】政治家の「第4の道」


【リグミの解説】

「未来志向」
本日の読売新聞1面の2番記事は、「日韓、未来志向で協力」。朴槿惠大統領の就任式に麻生副総理が出席し、会談した内容を伝えています。キーワードは「未来志向」です
が、それが何を意味するかはかならずしも明確ではありません。未来の発展、二国間の緊密な連携と協力によって共存共栄を目指す、といったニュアンスは伝わってきます。では、「過去」はどうするのか。その扱いが曖昧です。

読売新聞は、竹島問題と従軍慰安婦問題について、朴大統領は言及しなかったが、歴史認識問題での努力を求めたと報じています。読売は、「いわゆる従軍慰安婦問題」としており、事実関係に認識の違いがあることを示唆しています。また3面の解説記事では、朴氏が「対日改善を慎重に模索する」としています。日中の戦略的互恵の合意の時もそうでしたが、戦前の「軍国主義」の日本と、戦後の「平和主義」の日本のどちらを重視し評価するかで、判断は変わってきます。

歴史認識問題の解決法
日本は当然、戦後形成してきた「今」の日本を評価してほしいと考えます。しかし、韓国人にとっての戦争体験の意味が決着しない限り、「軍国主義」日本の悪の象徴として
の従軍慰安婦問題は、火種として残り続けます。日本には日本の主張があります。事実関係について、誤解と偏見を解きたいという強い思いをもった政治家も少なからずいます。その動機はある程度理解できますが、政治家が事実関係の客観的な評価を下すことは難しいと思います。

そこで、両国の歴史研究者と中立的な第3国の研究者や国際機関などが参加する共同プロジェクトを立ち上げる、という発想が浮かびます。その理念は、「未来志向」のためにこそ、「過去について決着をつける」というものです。歴史認識は、領土問題と相似の問題であり、①対立を続ける、②対立を棚上げする、③国際機関の判断と仲裁を受け入れる、の3つの選択肢のいずれかを採るしかないと思うからです。

「第4の道」
でも本当は、「第4の道」があります。50年前に、フランスのドゴール大統領とドイツのアデナウアー首相が「仏独和解」を成し遂げたように、安倍首相と朴大統領が、胸襟を
開いた真のトップ会談を持ち、「日韓和解」を世界に宣言をするというものです。この偉大な礎を創造することができれば、両国の「未来志向」は、間違いなく本物となります。政治家の度量とは、相手国を打ち負かし、自国に勝利をもたらしたいという「Win-Lose」の誘惑に打ち勝ち、真の共存共栄(「Win-Win」)の強固な地盤を創り上げるところにあります。

しかし、これがとても難しいのです。なぜなら、「Win-Win」の第一歩は、自国にとって「Lose」となる提案をすることだからです。政治的な敗北を意味するカードを切れる政治家は稀です。それでも勇気と洞察と知恵をもって「Lose」の手を差し伸べた時、相手もまた自身にとって「Lose」の選択をする可能性が出てきます。そして、「Lose-Lose」が「Win-Win」に変容するマジックのようなプロセスが始まります。

安倍首相のスピーチ
保守的でタカ派の政治家が、右寄りの価値観や論理を手放し、相手が受け入れられる提案をしたとき、国内の強硬派の声を押えて大きな和解を成し遂げることが可能になるこ
とがある、と言われます。軍人出身で保守の強さを体現したドゴールが成し遂げたことは、そうした典型例であったと思います。韓国で右寄りの政治家の筆頭とみなされている安倍首相が、韓国人が驚く和解の提案をしたとき、東アジアの政治状況は、大きく前進する可能性があります。それは、日中関係にも、そして北朝鮮問題にも、かならず好影響を与えると思います。

安倍首相は、オバマ米大統領との首脳会談のあと、米国の記者団に英語でスピーチをしました。安倍首相が、ソウルで韓国語による長いスピーチをしたらどうでしょうか。日韓両国の古代にまで遡る長い交流の歴史を振り返り、不幸な戦争時の問題にも踏み込み、「平和主義」国家日本のトップとしの態度表明を明確にすれば、大きな化学反応が起きる可能性があります。「軍国主義」の亡霊が雲散霧消し、今度こそ本当に「未来志向」の光が射すのではないでしょうか。

(文責:梅本龍夫)





① 【政府広報】 「体罰根絶へ部活指導指針」

  • 政府の教育再生実行会議は、第1次提言で「特に部活動において体罰の根絶を目指し、国は子どもの自発的行動を促す部活動指導のガイドライン(指針)を策定する」と明記。指導者には、「メンタルトレーニング(心の訓練)」を習得し、選手が試合で本来の力を発揮できるようにすることを求めている。


② 【政府広報】 「日韓、未来志向で協力」

  • 麻生副総理は25日、韓国の朴槿惠(パククネ)大統領の就任式に出席し会談。日韓両国が未来志向で緊密に協力することで一致した。北朝鮮の核・ミサイル問題などを念頭においたもの。朴大統領は、竹島領有問題や従軍慰安婦問題には直接言及しなかったが、日本側に歴史認識問題での努力を求めた。


③ 【政府広報】 「TPP、首相に一任」

  • 安倍首相は25日、自民党役員会で、TPP(環太平洋連携協定)の交渉参加について、判断を政府に一任するように要請し、一任された。交渉参加に反対論が根強かった自民党内の一任を取り付けたことで、参加表明の環境整備が前進した。


(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【独自取材】 「被災40市町村、7.2万人減」

  • 東日本大震災で被災した42市町村(岩手県、宮城県、福島県)の人口は、2市町(仙台市と宮城県利府町)で約2万8千人増加したが、40市町村で約7万2千人減少したことが判明した。年代別では、30代以下が約65%(約4万7千人)減った。特に福島の15市町村では、30代以下が約85%(約2万5千人)減った。


② 【独自取材】 「北朝鮮決議案で米中合意」

  • 米中両国は、北朝鮮の3度目の核実験に対する国連安全保障理事会の決議案をめぐり、日韓などが強く求めていた制裁の法的拘束力となる「国連憲章第7章」には直接言及しない一方で、同章に基づく過去の制裁決議を強化するという形で基本合意に至った。


③ 【政府広報】 「TPP、安倍首相に一任」

  • 安倍首相は25日、自民党役員会で、TPP(環太平洋連携協定)の交渉について、対応を一任するように要請し、了承された。首相は、TPP交渉参加を近く正式表明する。


(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【政府広報】 「TPP交渉判断首相一任」

  • 安倍首相は25日、自民党役員会で、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の交渉参加について「判断の時期は私に任せてほしい」と要請し、一任された。首相は、3月上旬の交渉参加表明を目指しているが、党内の反対派に配慮し、慎重に表明時期を探る意向だ。「関税撤廃の例外があり得る」となったため、同党は首相支持の方向に傾いている。


② 【独自取材】 「極東で『新』日露協力」

  • 三井物産とソレルス(ロシアの自動車メーカー)の合弁事業「ソレルス・ブッサン」は25日、ウラジオストク工場で組み立てたトヨタの「ランドクルーザープラド」の出荷を開始した。極東での日本車生産は、プーチン大統領の提案によるものと言われ、新たな日露協力関係の方向性として期待されている。


③ 【政府広報】 「日銀人事同意の公算」

  • 日銀の白川方明総裁の後任に黒田東彦・アジア開発銀行総裁を充てる人事案について、参院で同意を得るには野党の協力が不可欠だが、民主党などが容認する方向であり、同意される公算が大きくなった。


(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【政府広報】 「農業支援策検討へ」

  • 自民党は25日、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加表明について、安倍首相の対応を一任した。首相は、3月上旬にも交渉参加を表明する見通し。政府・与党は、関税撤廃の例外品目の選定や農業支援策の検討を開始する。


② 【独自取材】 「民主、同意で調整」

  • 民主党は25日、日銀の正副総裁3人の政府提示の人事案に同意する方向で調整に入った。同党が定める判断基準となる市場への説明能力や独立性において、抵触する問題がないため、採決の引き延ばしや反対で空席が生じれば批判が高まる懸念があると判断。


③ 【連続企画】 「円安の熱気、地力鍛える ~企業収益復活の足音(上)」

  • 円高修正で企業収益の先行きが明るくなっている。モルガンスタンレーUFG証券は、円安傾向が定着した場合の効果は予想以上との見たてを出している。円安は、海外企業との価格競争を有利にする効果も期待できるが、「値下げ原資などより研究開発に使う」(コニカミノルタホールディングス)ことで中長期の競争力強化に生かす判断もある。


(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【独自取材】 「1万9000人入れず」

  • 多くの子どもが認可保育所に入れない問題について、東京都23区では4月から計1万9000人が入所できないことが判明した。5年で約2.6倍に増えており、保護者のニーズに自治体行政が追い付かず、母親らが保育所探しに奔走しなければならない状況が裏付けられた。


② 【政府広報】 「日銀総裁、黒田氏起用」

  • 安倍首相は25日、公明党の山口代表に、日銀の次期総裁に黒田東彦・アジア開発銀行総裁を起用する人事案を伝えた。政府は、与野党の調整をし、今週半ばに人事案を国会に提示する。


③ 【独自取材】 「核潜在力に原発を」

  • 国際政治学者の若泉敬氏(故人)は、佐藤栄作首相のブレーンとして沖縄返還交渉の密使を務めた。若泉氏は、日本が非核3原則を維持しながら、核武装の潜在能力を持つべきと主張する報告書を、中国の核実験成功直後の1968年に、首相直属の内閣調査室に提出していた。当時の内調の調査主幹は、「大いに影響を受けた」と語る。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




【本日の新聞1面トップ記事】アーカイブ