2013.02.22 fri

新聞1面トップ 2013年2月22日【解説】タテ社会からヨコ社会へ

新聞1面トップ 2013年2月22日【解説】タテ社会からヨコ社会へ


【リグミの解説】

社会貢献意識
本日の日経新聞1面3番記事の連続企画「シニアが拓く」によると、意識調査で団塊世代の3人に1人が「地域貢献」、4人に1人が「社会貢献」がしたいと答えているそうです(
日経新聞が団塊1000人を調査)。

一方、内閣府の調査では、社会への貢献意識について「思っている」が60~69歳で70.5%という結果になっています。もっとも、世代別で見ても20~29歳が70.1%あり、他の世代も70歳以上(51.6%)を除いて7割前後の数字が並び、平均67.4%です。国民の3分の2以上が「社会貢献意識」を持っているというは大変高い数字だと思うのですが、「建前」の回答という側面もあるかもしれません。ただ、この調査を時系列でみると、1974年2月時点の35.4%から長期トレンドとして右肩上がりで2012年調査の67.4%にまで上がっていますので、国民の意識が社会に向かう歴史的傾向はあるようです。


名刺へのこだわり
現役世代と会話をしていると、「社会貢献意識」は持っていても、実際に行動に移すことは少なく、現役を退いた後に何かそういったことに取り組めれば、という漠とした感覚に留まる人が多い印象を受けます。そこで上記の日経記事の「4人に1人が社会貢献したい」というデータになりますが、「建前」でなく「本音」で本当に団塊世代の25%が差社会貢献活動を開始したら、どうなるでしょうか。絶対数が多く、一人ひとりのエネルギーレベルも総じて高いものがあり、さらに蓄積した経験や知識の厚みから考えても、相当の効果を発揮する可能性があります。

ただ、記事で触れらていることですが、団塊世代の男性は、名刺を捨てらず、肩書へのこだわりがあります。これは結構やっかいな問題だと思います。というのは、団塊世代の男性は、どんぐりの背比べのような状況で過当競争をしてきていますので、肩書や地位のちょっとした差異にこだわる傾向があります。いざ社会貢献というときも、女性や若い世代、あるいは社会的弱者などを、知らず知らずのうちに「上から目線」で見てしまう可能性があります。「答えを教えてあげよう」「世の中はこういうものだ」「自分たちはこうやって成功した」「やればできる」といった姿勢は、善意に基づくアドバイスや支援だとしても、会社組織以外では通用しないと思った方が無難です。

タテ社会とヨコ社会
シニア世代ができる社会貢献はたくさんありますが、これからの日本にとって本当に役立つ貢献を考えると、シニア自身の意識改革が伴う必要があるように感じます。なぜな
ら今必要なのは、「タテ社会」から「ヨコ社会」に変えていく活動だからです。国会事故調査委員会の委員長を務めた黒川清さんは、東京電力福島第1原発事故を「タテ社会の破綻」と捉えています。

「日本人は『所属している場』と『個人の属性』が異常に密着しているタテ構造の社会で、責任ある立場の人が責任を果たさない、責任をとる覚悟ができていない。それが、想定できたはずの事故を想定しなかった原因だと思う」(毎日新聞2月18日朝刊4面インタビュー記事)。

同じ「社会貢献」という質問に答えているジュニア世代が望んでいるのは、「タテ社会」を「ヨコ社会」に変えていく活動となる可能性が高いと思います。「いじめ」も「体罰」も、閉じた小さな「タテ社会」で逃げ場がない、反撃できない状況に追い込まれることで発生します。いじめまで行かなくても、「教室内カースト」という言葉で学級内の序列化、タテ社会化が起きているのはなぜでしょうか。それは大人社会の反映であり、社会の閉塞感が学校に重く覆いかぶさった結果ではないでしょうか。

「ライフストーリー」という社会貢献
黒川さんは、「インターネットが普及して、世界の構造はすごい勢いで水平方向につながってきている。そこに原発事故が起きたのは、タテ構造のシステムが破綻したという意
味で、暗示的です」と語っています。若い世代は、デジタル・ネイティブであり、ネットが当たり前です。横につながるソーシャルメディアも自在に活用しています。しかし同時に、鬱屈としたタテ社会の抑圧を感じています。それが今度はヨコ社会にも伝播し、「空気を読む」という形で不健全な同調圧力を生み出しています。黒川さんが指摘するヨコ社会は、本来的に世界に開かれたものであり、多様性や個性や価値観の違いを許容し、むしろ歓迎するものです。

リタイアした団塊世代は、自らの半生を虚心坦懐に振り返り、「ライフストーリー」を綴ってみることをおすめします。そしてたとえば「いじめ」や「体罰」が自分たちの時代にはどうだったかを探求してみて、今日の社会問題がどういう歴史的経緯で起きてきたのかを省察すると、きっと大きな気づきを得られると思います。団塊世代だけでなく、50代以上の人々はみな今の社会を作り上げてきた責任の一端を担っています。社会貢献とは、自分たち自身の欠点を見つめ、直していく活動だと言えます。手始めは、名刺や肩書を捨てること。そして閉鎖的な「タテ社会」を、開放的な「ヨコ社会」に変えるために何ができるか、身近な人々と「対話」を始める。50代のひとりとして、有言実行したいと思います。

(文責:梅本龍夫)





① 【独自取材】 「『大雪山』開発調査へ」

  • 北海道の大雪山国立公園内で今春、地熱発電所の建設に向けた地表調査が始まる。東日本大震災後の規制緩和により、国立公園内での地熱発電事業化に初の調査計画となる。
  • 日本は火山国であり地熱資源量に恵まれているが、適地の約8割が国立・国定公園内にあるとされ、開発が進んでいなかった。現在全国で稼働中の地熱発電所は17ヵ所で、総出力は52万キロワットと、原発1基分(約100万キロワット)の半分程度に留まる。
  • 2012年3月の規制緩和後の地熱発電所の計画や構想があるのは、大雪山国立公園(北海道)、阿寒国立公園(北海道)、栗駒国定公園(秋田県)、磐梯朝日国立公園(福島県など)。地熱発電は、天候に左右されず、安価で安定的であり、再生可能エネルギーの中核として普及が期待される。


    ② 【独自取材】 「民主・参院2氏、離党へ」
    民主党の参院議員、川崎稔氏(佐賀選挙区)と植松恵美子氏(香川選挙区)が、党本部に離党届を提出する。両氏は無所属になる考え。

    ③ 【連増企画】 「競争意識高め病院効率化 ~医療革新2」
    韓国は、1997年の経済危機で多くの病院が破綻。生き残った病院はICT(情報通信技術)による効率化を進め、治療と治験(開発中の新薬の効果テスト)を1ヵ所でできる「ハブ(拠点)病院」が生まれた。

     

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【独自取材】 「電力9社、原電支援へ」

  • 9電力会社は、日本原子力発電が資金繰りに行き詰らないよう支援する方針を固めた。1200億~1300億円規模の債務保証や資金支援をする方向で調整する。
  • 日本原電は4月に借入金1040億円の返済期限が来るため、銀行からの借り直しを進めようとしているが、一部銀行が電力会社の保証を強く求めている。
  • 銀行融資が継続しないと、日本原電は破綻する。しかし、電気料金値上げを相次いで決めている電力会社が、業界内の支援にお金を使うことに対して、利用者が反発する可能性がある。

    ② 【独自取材】 「患者遺族、近く東電提訴」
    東京電力福島第1原発に近い双葉病院の入院患者が避難から取り残され、多くが死亡した問題で、亡くなった患者のうち7人の遺族が、東電に損害賠償を求める訴訟を近く東京地裁に起こす。

    ③ 【政府広報】 「首相のGW訪ロへ調整」
    安倍首相の特使としてモスクワを訪問中の森喜朗元首相は、プーチン・ロシア大統領と会談した。安倍首相の親書を手渡し、ゴールデンウィーク中の首相の公式訪ロで調整を進める方針だ。

     

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【独自取材】 「ベント前、10キロ圏拡散」

  • 東京電力福島第1原発事故で、2011年3月12日に1号機格納器の水蒸気のベント(外部放出)を始める約5時間前から、放射性物質が約10キロ圏に拡散していたことがわかった。放射能モニタリングポストの観測データによる。
  • 福島県は、モニタリングポストを25基設置していた。5基は津波で流され、20基は電源喪失でデータ送信ができなかった。県は蓄積データを解析し、県のHPに結果を掲載していたが、ベント前に放射性物質が拡散していたことは、周知されていなかった。国会と政府の事故調も把握していなかった。
  • 放射線量が通常の720倍に達した地点もあった。住民が避難する前に、高線量にさらされていた実態が初めて数値で裏づけられた。


    ② 【政府広報】 「日露容認できる案模索」
    自民党の森喜朗元首相は21日、ロシアのプーチン大統領と会談。プーチン氏は北方領土問題の「引き分け」発言について、「勝ち負けなしの解決だ。双方が受け入れ可能な解決策のことだ」と説明した。平和条約締結の前提となる領土問題の解決に意欲を示した。

     

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【独自取材】 「女性の賃金、最高更新」

  • 厚生労働省が21日に発表した賃金構造基本統計調査によると、2012年のフルタイム勤務女性の平均賃金は、2年連続で過去最高の更新となる月額23万3100円(前年比0.5%増)となった。
  • 女性の賃金水準は、1990年には男性の6割程度だったが、2012年には7割を超えた。卸小売や生活関連サービスなど、女性比率の高い業種での伸びが目立つ。
  • 2%の物価上昇率目標を掲げる安倍首相の経済政策は、賃金水準が上がる必要がある。女性活用がアベノミクスの成果を左右するカギとなりそうだ。


    ② 【政府広報】 「『双方可能な解決策を』」
    安倍首相の特使として訪露中の森喜朗元首相は21日、プーチン大統領と会談。プーチン氏は「平和条約がないことは異常な事態」と強調し、北方領土交渉に関して「双方受け入れ可能な解決策」と「引き分け」発言の真意を説明した。

    ③ 【連続企画】 「第二の人生は地域貢献 ~シニアが拓く」
    日本の右肩上がりの成長を支え、数々の成功体験があり、激しい競争で培った知恵を持つ団塊世代には、他の世代が経験していない財産がある。意識調査では、団塊世代の3人に1人が「地域貢献」、4人に1人が「社会貢献」がしたいと答えている。

     

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【行政広報】 「災害時、学校で子ども保護」

  • 東京都教育員会は、都内の公立小中高校で、大規模災害時に原則的に校内で子どもを預かる。「学校で保護する方針を明確にすることで、親が無理に職場から帰らないようにしたい」と話す。
  • 4月から帰宅困難者対策条例が施行され、民間の事業者とその従業員に最長3日間の職場待機を求めることに合わせる動きとなる。
  • 震災時は地域の避難所となるため、方針転換後は児童生徒は教室で保護する。保護者が学校を訪れた場合は引き渡す。また保護者と連絡がつき寄託を認めた場合は帰宅させる。


    ② 【連続企画】 「『たまゆら』悲劇から学ぶ ~猪瀬知事の研究(中)」
    猪瀬都知事は、知事になる前の2012年11月、「高齢者向けケア付き住宅」を都の目玉事業として2013年度の予算案に入れるように強く働きかけた。ケア付き住宅は、中堅所得者で、簡単な介護を受けたい人向けの賃貸住宅。

    ③ 【政府広報】 「国内31%基準超え」
    国立環境研究所は21日、PM2.5(微量粒子状物質)の大気中濃度が1月31日に、国内の155測定局のうち48局(31%)で環境基準値を超えていたと発表した。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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