2013.02.20 wed

新聞1面トップ 2013年2月20日【解説】世代間をつなぐ

新聞1面トップ 2013年2月20日【解説】世代間をつなぐ


【リグミの解説】

世代間ギャップ
どんな時代でも、年長者は、年少者の状況が心配だったり不満だったりして、いろいろと注文をつけたくなるものです。一方の若者も、年寄の言動は実態を見ない押し付けや
身勝手と映り、鬱陶しい存在であることが多いものです。しかし今日ほど世代間の「ギャップ」が大きくなったのは、戦後70年近い現代史の一大特徴かもしれません。

高度経済成長、安定成長を経て、バブル景気となり頂点を打った日本経済。その後、「失われた20年」に入りましたが、それでも日本は長くGDP世界2位を維持し現在も3位であり、経済社会は裕福な先進国といえます。しかし、内閣府が調査した世代別の「受益・負担」が、1943年生まれ以前(70代~)では「プラス4875万円」、逆に1984年生まれ以降(~20代)は「マイナス4585万円」になるという数字を知ると、経済成長の恩恵を受けた世代と、受けない世代という色分けがくっきり見えてきます(参照:毎日新聞2月17日朝刊14面)。

「得と損」
本日の読売新聞1面トップは、「改正高年齢者雇用安定法」が4月から実施されることに伴い、企業が65歳までの雇用継続にどう対応しよとしているかを追った記事です。厚生
年金の支給開始年齢が、2025年に65歳に段階的に引き上げられることに伴い、定年後に賃金も年金もない「空白期間」が生じないようにするのが、同法の趣旨です。社会の「安定と安心」のために、これはこれで合理的な措置のように見えます。

ただ、賃金を抑制した企業の対応を見ると、しわ寄せが下の世代に向かう可能性もあります。特にNTTグループのように、60~65歳の賃金を引き上げのために40~50歳代を抑制する制度設計では、詳細はわかりませんが「得する世代」と「損する世代」が出る印象があります。日本の戦後の経済的成功をもたらした企業制度の「三種の神器」は、「終身雇用」「年功序列」「企業別組合」と言われました。賃金体系の変化と、雇用体験の変化、特に非正規雇用の増大によって、世代間で「得と損」に、そして世代内では「勝ちと負け」に分断される状況が生まれました。

「勝ちと負け」
自由な活動による市場原理で優勝劣敗を決め、結果責任を個人がもっぱら負う社会の在り方は、不合理な面が多いことが判明したのが、この20年です。日本の政治状況で、相
対的に軽視されている「若者」と「非正規雇用者」について、どうしていくか。答えは簡単には見つかりませんが、特に「得」をし「勝ち」を収めている人々から、「損」をし「負け」ている人たちへ、何らかの還元をしていく考え方が必要になっていると思います。

政治・社会・経済の状況は、世代論や時代論のテーマでもあります。自分たちが生きていた時代や、同世代の在り方を通して、人は現在を見ます。それは一種の色眼鏡であり、何を見て何を見ないかを分けるフィルターにもなっています。公的な「受益・負担」の分岐点は、ちょうど50代半ばあたりです。そういう意味で、50代後半以降を「シニア世代」、40代前半以前を「ジュニア世代」と分けることは可能です。ちょうどバブル景気の恩恵を受けた否かを分ける分水嶺です。社会に伸び代を感じるか否か、鮮明な違いがあります。

シニア世代は、ジュニア世代に「がんばればパイは増える」と言いたいところですが、パイは増えず、むしろ減っていき、自分たちは配分で損をしていると感じているジュニア世代には説得力がないことは、自覚する必要がありそうです。


世代間をつなぐ
では、「シニア世代」と「ジュニア世代」が、構造的なギャップを超え、どう連携していくか。カギとなるのは、第1に、得たものをどうやって物心両面で社会的に「恩返し」するか
ということ。第2に、「チャレンジをして失敗しても再起できる」仕組みや環境をどう用意していけるかです。

「得」をし「勝ち」を収めた者は、それを後進に差し出すことで
、「もっと豊か」になれます。今は「損」をし「負け」ている者は、自立し挑戦し達成できる環境を得ることで、「もっと豊か」になれます。それは社会全体が「Win-Win」になれる状況です(参照:まじめな雑談「シニア世代とジュニア世代」)。

(文責:梅本龍夫)





① 【独自取材】 「賃金体系、労使攻防」

  • 企業は、「改正高年齢者雇用安定法」が4月から施行されることへの対応を進めている。同法は、希望者を対象に65歳までの雇用継続を企業に義務付ける制度。
  • 継続雇用義務化への企業対応例は、以下の通り。▽トヨタ自動車=「ハーフタイム勤務」の導入検討、▽サントリーホールディングス=定年を4月から65歳に引き上げ、成績考課も導入、▽NTTグループ=60~65歳の賃金を引き上げ、40~50歳代を抑制する制度を10月に導入、▽日本マクドナルドホールディングス=定年制を復活し65歳までの再雇用制度を導入―。
  • シニアの雇用継続対応は、今春闘の主要テーマの1つとなる。人件費増を抑制したい経営側と待遇改善を求める労組側が、雇用形態や賃金体系を巡る攻防を本格化する。


    ② 【独自取材】 「五輪残留、10ヵ国会合へ」
    国際オリンピック委員会がレスリングを2020年オリンピックの除外候補とした問題で、存続を目指す日米露やイランなど10ヵ国以上の関係者が20日、テヘランで会合を開く。

    ③ 【独自取材】 「亀岡暴走少年に不定期刑」
    京都地裁は、昨年4月に京都府亀岡市で集団登校中の児童ら10人が軽自動車にはねられ死傷した事故で、自動車運転過失致死傷罪と道交法違反(無免許運転)に問われた同市の無職少年(19)に懲役5年以上8年以下の不定期刑を言い渡した。

     

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【政府広報】 「胆管がん、労災認定」

  • 厚生労働省は、大阪の印刷会社「SANYO-CYP」で働いていて胆管がんになった16人(うち7人は死亡)の労災請求を認める方針を固めた。
  • この問題は昨年5月、産業医科大の熊谷教授の研究グループの調査で表面化し、その後全国の印刷会社で発症例があることが判明した。2月12日までの労災申請は計62人(うち死亡38人)。
  • 厚労省は、仕事内容と胆管がんに因果関係があるとして、時効を柔軟に運用する。胆管がんの労災認定は初めてのケースとなる。


    ② 【独自取材】 「日本、今も戦時加算」
    日本は、米国、英国、フランスなど第2次世界大戦の戦勝国の作品に対する著作権料を約10年長くしないといけない国際ルールを課せられているが、この敗戦国扱いのルールの撤廃を、日本音楽著作権協会(JASRAC)が岸田外相に申し入れる。

    ③ 【政府広報】 「事前報道ルール、与野党廃止合意」
    与野党の国会対策委員長は19日、事前報道された国会同意人事案の提示を認めない「事前報道ルール」を廃止することで合意した。

     

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【政府広報】 「辺野古埋め立て来月申請」

  • 政府は19日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に際して必要となる水面埋め立てを、3月にも沖縄県に申請する方針を固めた。
  • 22日にワシントンで行われる日米首脳会談で、オバマ大統領に政府方針を伝える。
  • 埋め立ての許認可権を持つ沖縄県の仲井真知事は、「県外移設は県民との約束」との姿勢を変えていない。しかし、安倍政権は、普天間の移設が着実に進めているということを米側に具体的に示す必要があると判断した。


    ② 【政府広報】 「高校生に給付型奨学金」
    文部科学省は、返済が必要ない「給付型奨学金」を高校生を対象に新設する方針を固めた。給付型の制度は、高校のみならず大学を含めても初のケースとなる。

    ③ 【政府広報】 「被災地『入札不調』増加」
    国土交通省によると、東日本大震災の被災地自治体が発注する公共工事において、入札参加者が不足しているために落札者が決まらない「入札不調」が相次いでいる。

     

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【政府広報】 「燃料安想定、値上げ圧縮」

  • 経済産業省は、電気値上げの審査において、燃料費を抑制する仕組みを導入する。大手電力会社の最も低い調達価格を基本に、新型ガス「シェールガス」の輸入拡大により、現在の6割程度の価格でLNGを調達できる前提とする。
  • 経産省は今まで、人件費や設備費の削減には言及しても、発電コストの半分近くを占める燃料費については電力会社の言い値をほぼそのまま受け入れてきたが、電力会社の試算に基づく総括原価方式を見直す。
  • 茂木経産相は産業競争力会議で「電気料金の厳正な査定」を表明。新基準は、4月からの値上げを申請した関西電力と九州電力の審査に初適用する。両社とも、最大500億~600億円程度の燃料費を削減し、値上げを申請時より1ポイント前後縮める。


    ② 【政府広報】 「原発ゼロ修正、米に表明」
    安倍首相は、22日にワシントンで開催される日米首脳会談でオバマ大統領に「2030年代原発稼働ゼロ」を目指すとした民主党政権の目標の見直しを伝えるとみられる。

    ③ 【政府広報】 「首相『個別品目触れず』」
    安倍首相は19日、22日にワシントンで開催される日米首脳会談で、「今の段階でTPP(環太平洋経済連携協定)に交渉参加しいないから、個別(の品目)について交渉することにならない」と述べ、関税撤廃の例外品目は議論しない考えを明らかにした。

     

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【行政広報】 「悩む東京駅、甘辛追放作戦」

  • 創建当時に復元され新たな人気スポットになったJR東京駅周辺で、放置自転車が急増しているため、東京都千代田区は、駐輪場を増やす「甘」と取締りを厳しくする「辛」の両面作戦を本格化する。
  • 東京駅周辺はの放置自転車は、2011年に830台と都内で赤羽駅に次ぐワースト2位。背景には、近隣の晴海、豊洲地区などでマンションが増え、住民が丸の内や大手町に自転車で通勤している状況がある。
  • 東京都と警視庁は、千代田区、JR東日本、国土交通省、地元商店会などと連携する「東京駅周辺放置自転車対策会議」を発足。問題解決に向け、本格的な協議を始める。


    ② 【独自取材】 「母ら『気持ち届かない』」
    東京都杉並区議会は19日、認可保育所に希望者の3分の2にあたる約1800人が4月に入所できない問題を取り上げた。「都市部全体の問題」などとし、傍聴した母親らからは「私たちの気持ちが届き切っていない」という不満の声が出た。

    ③ 【独自取材】 「『かんだやぶそば』火災」
    東京都千代田区神田淡路町の老舗そば店「かんだやぶそば」で19日、火事が発生した。店は営業中で、従業員16人と客約30人がいたが、全員退避し、けが人はなかった。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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