【リグミの解説】
言葉を得る
「 海の底に眠る石は / じっと隠れて潜んでいる / 海の深さに埋もれた闇に / じっと隠れてそのときを待つ 」(大越桂詩集より)
本日の東京新聞の1面トップは、「つたえたい―言葉を得た重度障害者たち―(上)」という連続企画です。819グラムの小さな体で生まれた大越桂さん(24)は、重い脳性まひで目も良く見えず、9歳の時に肺炎で気管切開をし、声も失いました。のちに、母親の紀子さん(51)の支えを得て、ペンで字を書く特訓をし、苦労の末に言葉を紡げるようになりました。
「みんなが話すことが分かっているのに、自分も言いたいことがたくさんあるのに、『石』になるのは悔しかった」と桂さん。冒頭の詩は、そのときの心境を綴ったものです。
耳を傾ける
私たちは、立場の強い人の発言、声の大きい人の意見、言葉巧みな表現に影響されます。逆に、弱い立ち場の意見は軽視し、小さな声に耳を傾けることなく、とつとつとした語り口を理解できずにいます。
でも、どんな人も、語るべきものを持っています。すべての人生は、独自でかけがえのないものであり、豊かな物語を内に秘めています。命あるものはみな、何かを表現するために存在しています。未だ語られていない言葉に耳を傾けることで、何かが見えてきます。
ライフストーリーを語る
言葉を得た人間は、「思い」を夢として語り、その実現に向けて一歩を踏み出すことができます。一つひとつの声は小さくても、一人の歩みはわずかでも、積み重ねていけば、それはいつか大きな力となり、人々を共感で結び合わせていくものとなります。私たちが生きているこの人生を、ひとつの物語、いわば「ライフストーリー」として表現してみることで、予想外の成果がもたらされるかもしれません。
互いの「ライフストーリー」を差し出し合うことで、それぞれの人が生きてきた時代や社会の在り方が、生きた現代史として浮かび上がってきます。個々の「ライフストーリー」を出し合ううちに、集合知としての「ソーシャルストーリー」(社会の物語)が語られ始める可能性もあります。それはただ社会のさまざまな断面の集積ということに留まらず、より良い社会とはどういうものか、どんなことをすれば社会は健全に発展していけるかを、一緒に探求していくプロセスになります。
ソーシャルストーリーを創る
世論や民意といわれるものは、政策課題に「Yes、No」で答えるだけのものではありません。本当の民意とは、国民一人ひとりがより豊かな生きられ、自分の本来の姿を前向きに表現し、お互いの役に立つ社会を作り上げていきたいという「思い」であり、「志」であると思います。
政治家は、そうした「声なき民」の声を束ね、あるべき「ソーシャルストーリー」として物語れる人であるべきでしょう。また私たち自身も、政治家に一任せず、自ら当事者として、こんな人生を生きたいのだという「ライフストーリー」の構想を語り、発信する必要があります。
大越桂さんは、「言葉は私を人にして、この美しい世界とつなげてくれた。相棒なのです」と語っています。「 ことばはうまれて / 育って生きる / 大切に大切に / 大事に大事にやさしくすれば / みんなの心に種をまき / ちゃんと芽を出し実をつける 」(詩集より)
(文責:梅本龍夫)
① 【政府広報】 「200人居住メガフロート」
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【独自取材】 「被災地、生コン高騰」
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【政府広報】 「PM2.5高濃度で外出禁止」
- 環境省は18日、大気汚染源として中国からの飛来が懸念されるPM2.5(微小粒子状物質)について、大気中濃度の測定局を整備する自治体の財政支援を検討することを明らかにした。
- 環境省は、2009年にPM2.5の環境基準を策定し、測定局を全国1300ヵ所に配備する計画を立てたが、現状は約600ヵ所にとどまる。財政難の自治体が測定局整備を後回しにしてきたためだ。
- 3~4月にはPM2.5が黄砂に付着して飛来する恐れがあり、全国的な観測網を強化する。環境省は、一定濃度を上回った場合には、外出自粛などの注意喚起をする暫定指針を今月中に策定する。
② 【独自取材】 「北朝鮮女性、相次ぎ失踪」
北朝鮮当局が中国国内で運営するレストランの北朝鮮従業員の女性らが、昨年末から今年初めにかけて相次いで失踪している。体制の緩みが生じているとの指摘もある。
③ 【発表引用】 「調査地点半数で基準超」
中国環境保護省が春節(旧正月)期間中の大気汚染を調査したところ、調査地点のほぼ半数でPM2.5(微小粒子状物質)が中国の環境基準を上回った。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【政府広報】 「首相『農業、成長産業に』」
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【連続企画】 「石だった私、言葉で咲く ~つたえたい(上)」
- 体をほとんど動かせない重度障害者は、簡単な言葉しか理解できないと考えられてきた。しかし周囲の支援を得たところ、豊かな内面世界が明らかになった。
- 仙台市の大越桂(24)さんは、重い脳性まひで目もよく見えないが、母との二人三脚の特訓で字をかけるようになった。2011年10月28日に野田首相(当時)が、復興への決意を語る演説の締めくくりに自分の詩を読み上げるのを聞いた。
- 「 嬉しいなという度に / 私の言葉は花になる / だから / あったらいいなの種をまこう / 小さな小さな種だって / 君と一緒に育てれば / 大きな大きな花が咲く 」
② 【独自取材】 「母ら異議申し立て」
東京都杉並区の母親らがは、認可保育所への入所を申し込みながら「入れない」と通知されたのは「異常事態」「区の対応は不適切」とし、区に対して集団で行政不服審査法に基づく異議申し立てを行う。
③ 【企業広報】 「山形の再生エネ、都内生協が購入」
生活協同組合パルシステム東京は、4月からバイオマス電力で消費電力の約8割を賄う。さくらんぼ栽培などで出る剪定材などが原料となる。