2013.02.19 tue

新聞1面トップ 2013年2月19日【解説】「ライフストーリー」を語る

新聞1面トップ 2013年2月19日【解説】「ライフストーリー」を語る


【リグミの解説】

言葉を得る
「 海の底に眠る石は / じっと隠れて潜んでいる / 海の深さに埋もれた闇に / じっと隠れてそのときを待つ 」(大越桂詩集より)


本日の東京新聞の1面トップは、「つたえたい―言葉を得た重度障害者たち―(上)」という連続企画です。819グラムの小さな体で生まれた大越桂さん(24)は、重い脳性まひで目も良く見えず、9歳の時に肺炎で気管切開をし、声も失いました。のちに、母親の紀子さん(51)の支えを得て、ペンで字を書く特訓をし、苦労の末に言葉を紡げるようになりました。

「みんなが話すことが分かっているのに、自分も言いたいことがたくさんあるのに、『石』になるのは悔しかった」と桂さん。冒頭の詩は、そのときの心境を綴
ったものです。

耳を傾ける
私たちは、立場の強い人の発言、声の大きい人の意見、言葉巧みな表現に影響されます。逆に、弱い立ち場の意見は軽視し、小さな声に耳を傾けることなく、とつとつとした
語り口を理解できずにいます。

でも、どんな人も、語るべきものを持っています。すべての人生は、独自でかけがえのないものであり、豊かな物語を内に秘めています。命あ
るものはみな、何かを表現するために存在しています。未だ語られていない言葉に耳を傾けることで、何かが見えてきます。

ライフストーリーを語る
言葉を得た人間は、「思い」を夢として語り、その実現に向けて一歩を踏み出すことができます。一つひとつの声は小さくても、一人の歩みはわずかでも、積み重ねていけば
、それはいつか大きな力となり、人々を共感で結び合わせていくものとなります。私たちが生きているこの人生を、ひとつの物語、いわば「ライフストーリー」として表現してみることで、予想外の成果がもたらされるかもしれません。

互いの「ライフストーリー」を差し出し合うことで、それぞれの人が生きてきた時代や社会の在り方が、生きた現代史として浮かび上がってきます。個々の「ライフストーリー」を出し合ううちに、集合知としての「ソーシャルストーリー」(社会の物語)が語られ始める可能性もあります。それはただ社会のさまざまな断面の集積ということに留まらず、より良い社会とはどういうものか、どんなことをすれば社会は健全に発展していけるかを、一緒に探求していくプロセスになります。

ソーシャルストーリーを創る
世論や民意といわれるものは、政策課題に「Yes、No」で答えるだけのものではありません。本当の民意とは、国民一人ひとりがより豊かな生きられ、自分の本来の姿を前向き
に表現し、お互いの役に立つ社会を作り上げていきたいという「思い」であり、「志」であると思います。

政治家は、そうした「声なき民」の声を束ね、あるべき「ソ
ーシャルストーリー」として物語れる人であるべきでしょう。また私たち自身も、政治家に一任せず、自ら当事者として、こんな人生を生きたいのだという「ライフストーリー」の構想を語り、発信する必要があります。

大越桂さんは、「言葉は私を人にして、この美しい世界とつなげてくれた。相棒なのです」と語っています。「 ことばはうまれて / 育って生きる / 大切に大切に / 大事に大事にやさしくすれば / みんなの心に種をまき / ちゃんと芽を出し実をつける 」(詩集より)

(文責:梅本龍夫)





① 【政府広報】 「200人居住メガフロート」

  • 政府と造船・重機大手5社などが、「メガフロート」(大型浮体式構造物)を開発する方針を固めた。ブラジル沖の海底油田を採掘する作業員らが滞在できる施設となる。
  • メガフロートは、沖合約200キロに設営する。横315メートル、縦80メートルで、海底にいかりを打ち込み海上に浮かべる。事務所と宿泊施設を持ち、最大200人滞在可能。
  • ブラジル政府系企業に提案し、2014年までに受注し、2016年にも設置したい意向。政府は3年間で計14億5000万円の補助金を出す予定。官民一体のインフラ輸出となる。


    ② 【政府広報】 「景気判断2ヵ月連続上げ」
    政府は2月の月例経済報告で、景気判断を2ヵ月連続で上方修正する方向で検討に入った。26日の月例経済報告関係閣僚会議で上方修正を決定する見通し。

    ③ 【政府広報】 「PM2.5注意喚起へ指針」
    環境省は18日、中国からの飛来が懸念されるPM2.5(微小粒子状物質)の大気中濃度が高くなった場合、外出や屋内換気を控えるなど、注意喚起の指針を作ることを決めた。

     

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【独自取材】 「被災地、生コン高騰」

  • 建設物価調査会の調査によると、生コンクリートの値上げが目立つ。東日本大震災の被災地の復旧・復興工事に使う建設資材が足りなくなり、価格が上昇している。
  • 仙台では、震災前の2011年2月には生コンが1立方メートルあたり8050円だったのが、今年2月は43%高の1万1550円になり、最も値上がりした。亘理(宮城県)で39%高、宮古(岩手県)で35%高となっている。
  • 被災地では、資材高騰と合わせて、建設作業員も不足しており、復興がさらに遅れる可能性がある。


    ② 【独自取材】 「来月中にもスピード判決」
    昨年12月の衆院選における「1票の格差」をめぐり、全国14の高裁・支部に選挙の無効を求め、弁護士グループが一斉に提訴した訴訟の判決が、3月下旬に出そろう。異例の速さとなる。

    ③ 【独自取材】 「民主党初の綱領案」
    民主党は18日、党の綱領の最終案を決めた。「生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立つ」と明記し、「既得権益や癒着の構造と闘う改革政党」と定める。

     

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【政府広報】 「PM2.5高濃度で外出禁止」

  • 環境省は18日、大気汚染源として中国からの飛来が懸念されるPM2.5(微小粒子状物質)について、大気中濃度の測定局を整備する自治体の財政支援を検討することを明らかにした。
  • 環境省は、2009年にPM2.5の環境基準を策定し、測定局を全国1300ヵ所に配備する計画を立てたが、現状は約600ヵ所にとどまる。財政難の自治体が測定局整備を後回しにしてきたためだ。
  • 3~4月にはPM2.5が黄砂に付着して飛来する恐れがあり、全国的な観測網を強化する。環境省は、一定濃度を上回った場合には、外出自粛などの注意喚起をする暫定指針を今月中に策定する。

② 【独自取材】 「北朝鮮女性、相次ぎ失踪」
北朝鮮当局が中国国内で運営するレストランの北朝鮮従業員の女性らが、昨年末から今年初めにかけて相次いで失踪している。体制の緩みが生じているとの指摘もある。

③ 【発表引用】 「調査地点半数で基準超」
中国環境保護省が春節(旧正月)期間中の大気汚染を調査したところ、調査地点のほぼ半数でPM2.5(微小粒子状物質)が中国の環境基準を上回った。

 

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【政府広報】 「首相『農業、成長産業に』」

  • 政府は18日、産業競争力会議において農業強化策の検討に入った。安倍首相は、「農業を成長産業として伸ばしたい」と強調する。
  • 首相は、「若い人たちに魅力的な分野にしていきたい」と述べ、流通、ITなど多様な業種との事業連携を政府が後押しする考えを示した。林農相は、①農産物輸出拡大、②農商工連携、③農地の有効活用を表明。
  • TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加表明に向けた環境整備を進め、6月をめどにまとめる政府の成長戦略に盛り込む。


    ② 【企業広報】 「事業部制、12年ぶり復活」
    パナソニックは、2000年代初頭から続けてきた機能別組織を見直し、4月1日付で12年ぶりに事業部制を復活させる。

    ③ 【連続企画】 「若者パワー復活の秘密 ~アジア跳ぶ」
    人手不足と賃金上昇が広がるアジアで、フィリピンは若者比率が高く、公用語も英語のため、企業進出が続いている。

     

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【連続企画】 「石だった私、言葉で咲く ~つたえたい(上)」

  • 体をほとんど動かせない重度障害者は、簡単な言葉しか理解できないと考えられてきた。しかし周囲の支援を得たところ、豊かな内面世界が明らかになった。
  • 仙台市の大越桂(24)さんは、重い脳性まひで目もよく見えないが、母との二人三脚の特訓で字をかけるようになった。2011年10月28日に野田首相(当時)が、復興への決意を語る演説の締めくくりに自分の詩を読み上げるのを聞いた。
  • 「 嬉しいなという度に / 私の言葉は花になる  / だから / あったらいいなの種をまこう / 小さな小さな種だって / 君と一緒に育てれば / 大きな大きな花が咲く 」

② 【独自取材】 「母ら異議申し立て」
東京都杉並区の母親らがは、認可保育所への入所を申し込みながら「入れない」と通知されたのは「異常事態」「区の対応は不適切」とし、区に対して集団で行政不服審査法に基づく異議申し立てを行う。

③ 【企業広報】 「山形の再生エネ、都内生協が購入」
生活協同組合パルシステム東京は、4月からバイオマス電力で消費電力の約8割を賄う。さくらんぼ栽培などで出る剪定材などが原料となる。

 

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)