2013.02.15 fri

新聞1面トップ 2013年2月15日【解説】社会の「信頼」を取り戻す

新聞1面トップ 2013年2月15日【解説】社会の「信頼」を取り戻す


【リグミの解説】

日米世論調査
本日の新聞1面で注目した記事は、読売新聞の2番記事の「日米両国の共同世論調査」です。主な調査結果については、記事要約の通りです。ここでは、「信頼」に関する質問に注目
しました。

「とくに信頼する組織や公共機関(複数回答)」
 
日本                                米国

自衛隊 71%                  軍隊 93%
病院 68%                      病院 83%
新聞 57%                      教会 77%
裁判所 56%                  警察・検察 71%
地方自治体 46%           学校 69%
首相 44%                      裁判所 62%
警察・検察 44%             地方自治体 57%
寺・神社・教会 41%        大統領 56%
学校 41%                      新聞 53%
テレビ 34%                    労働組合 46%
大企業 28%                   テレビ 44%
労働組合 26%               連邦省庁 43%
国会 25%                      大企業 38%
中央省庁 24%              連邦議会 24&


日米の公の組織に対する「信頼」の差
このデータを見ると、日本人は米国人に比べて全般に「信頼」の度合いが低いことがわかります。米国より高い数値となったのは、「国会(連邦議会)」と「新聞」ですが、
その差はわずかです。平均で日本人の公的機関や組織に対する信頼度は米国人の7掛け程度です。14項目中、50%以上の信頼率になったのは、日本は4項目だけですが、米国は倍の8項目です。

こうした全体傾向に加え、3つほど特徴的な差異に気付きます。第1に、「日本は新聞の信頼度が相対的に高い」。第2として、「日本は警察・検察への信頼度が相対的に低い」。第3は、「日本は寺・神社・教会と学校への信頼感が相対的に低い」。

新聞への「信頼」
第1のポイントは、日本が世界に冠たる全国紙好きの国民であることと関係していると思います。読売新聞の1000万部、朝日新聞の800万部という販売部数は、世界トップクラ
スです。日本の新聞が建前上は「公正中立」を謳い、購読者もそれを求めていることも影響している可能性があります。

しかし、リグミの記事要約を見ていただければわかる
ように、1面記事では特に「政府広報」的な記事が多く、公正中立というよりも、似たり寄ったりの情報というのが実態です。また、各紙とも、実際には立場や主義主張(すなわち偏り)は、かなり明瞭にあります。国民が新聞に信頼を置きつつ、特定の新聞だけ読んでいる状態は、かならずしも健全とは言えません。海外のメディア情報にも触れ、「サードビュー」をより鮮明にする必要もあると思います。

警察・検察への「信頼」
第2のポイントの警察・検察への信頼度は、どう考えたら良いでしょうか。警察の誤認逮捕や警察官の不祥事、検察の取り調べや調書の作り方の恣意性の指摘など、確かに不信感を抱く要
素はたくさんあります。

しかし同時に、日本の相対的な治安の良さに警察・検察が果たして役割も大きいと思いますが、その点は当たり前の役割とみなされ、あまり評価され
ていないのかもしれません。

寺・神社・教会と学校への「信頼」
第3のポイントは、地域コミュニティーの在り方に関連します。米国はキリスト教国であり、教会が地域コミュニティーの中核に位置付けられてきたと言われます。学校もその
延長にあります。教会と学校がセットになり、小さな町の基本が出来上がるというイメージがあります。

ひるがえって日本は、神社仏閣に参拝する慣習は大変盛んな国で、特
に正月の初詣の参拝者数は、ナンバーワンの明治神宮だけで300万人を超えます。これは「聖地巡礼」として比較すると、世界でも突出していると思います。しかし、寺・神社・教会が地域コミュニティーで顔の見える存在感を持つことはまずありません。学校も、閉鎖的な体質があり、いじめや体罰の問題などのせいか、信頼度は高くありません。

日本人は「信頼」を求めている
日米のどちらが「優れている」「より良い」ということはありません。ただ、「違い」に注目することで、日本の課題が浮上してきます。日本人の「信頼」が低いことは、日本人の方が
米国人よりも「公」に対する信頼感を求めている裏返しと考えられます。米国人は、自治自衛の伝統が根強く、「私」の自由と権利が中核にあった上で、「公」への要求と信頼が形成されます。

日本は伝統的に「私」が弱く、「公」に依存してきました。その「公」の信頼が揺らぎ、かろうじて新聞が相対的に信頼軸を保っている構図になります。ところが
、その新聞が連日流すネガティブ情報によって、社会全体の「信頼感」が低下する作用も起きていると思います。

「公と私」の中間領域を創る試み
日本の大きなテーマは、「安全・安心」ですが、その背景には「公に対する信頼」が傷つき、その喪失感に戸惑っている実態があります。「公」がよりしっかりし、信頼の再
構築に取り組むべきことは論を待ちません。

日本人は同時に、自らもっと当事者になり、自分たちで信頼のベースを創り上げていく必要があります。いわば「公と私
」の中間領域をネットワークで結ぶ試みも有効だと思います。「寺・神社・教会」と「学校」と「中間的なネットワーク」が連動するコミュニティーを各地で作ることが、日本社会の問題解決に大きな突破口になる可能性があります。

(文責:梅本龍夫)
 





① 【政府広報】 「混合診療の適用拡大」

  • 政府の規制改革会議による規制改革の「論点」が明らかになった。成長戦略の具体策として検討されるもので、①健康・医療(12項目)、②エネルギー・環境(11項目)、③雇用(17項目)、④創業・産業の新陳代謝等(28項目)の全68項目となる。
  • 規制改革会議の「論点」の骨子は、以下の通り。▽混合診療(保険診療と保険外診療の併用)の範囲拡大、▽医療機器の承認業務で民間開放を推進、▽石炭火力発電所の新設要件の緩和、▽農地への太陽光パネル設置手続きの簡素化、▽高校新卒採用の仕組みの見直し、▽個人情報の利用の見直し―。
  • 15日の第2回会合で事務局が提示する。政府が6月にまとめる新成長戦略への反映をめざし、早期の結論を得る方針だ。


    ② 【世論調査】 「日米関係『良い』50%」
    読売新聞と米ギャラップによる日米共同世論調査(電話方式)で、日米関係が「良い」との回答が、日本で50%(前回2011年11~12月は35%)、米国で52%(同52%)だった。「悪い」は、日本で27%(同41%)、米国は9%だった。

    ③ 【連続企画】 「圧力と対話、探る安倍政権 ~金正恩の核(下)」
    オバマ大統領は14日、安倍首相との電話会談で、「核の傘」で日本を防衛する意向を改めて表明したことは、北朝鮮に対する最大の抑止力となる。拉致問題解決にも意欲を示す安倍首相は、「常にドアは開いておく」と述べ、北朝鮮に「対話」のメッセージを送った。

     

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【独自取材】 「背水レスリング、反攻」

  • 「オリンピックからレスリング除外」の衝撃に対して、ロシアと米国がフォール間際の逆転・復活を目指して共闘に動いている。
  • ロシア・オリンピック委員会は、レスリングを除外しないようIOCに書面で正式に要請すると表明。米国レスリング協会も「オリンピックにレスリングを残そう」というフェイスブックページを立ち上げた。
  • 同協会のリッチ・ベンダー会長は、ロシアや日本に加え、外交関係が途絶しているイランやキューバの名も挙げ、「連携を取りたい」と語る。IOCの最終決定は9月となる。


    ② 【独自取材】 「建設業35%、人手不足」
    公共事業が増えるため全国の建設業者の35%が人手不足となっている。特に東日本大震災の被災地では、64%の業者が人手不足に陥っており、被災地復興がさらに遅れる可能性がある。

    ③ 【政府広報】 「米高官、極秘訪朝3回」
    米政府高官が2011年11月から2012年8月にかけて、少なくとも3回、平壌で北朝鮮政府高官と極秘接触していたことが判明した。同盟国の日本も共有できない「情報の壁」がある。

     

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【政府広報】 「混合診療の拡大議論」

  • 政府の規制改革会議が取り組む約70の検討課題が14日、明らかになった。規制を緩和した場合のメリットとデメリットなどを議論している。
  • 同会議の主な検討課題は、以下のとおり。▽混合医療の範囲拡大、▽一般用医薬品のネット販売規制見直し、▽医療機関の処方箋の電子化、▽自然公園での地熱発電の開発可能地域の設定、▽石炭火力発電所建設の環境アセスメント条件の明確化、▽農地の太陽光パネル設置手続きの簡素化、▽裁量労働制の対象業務の拡大、▽派遣労働の対象業務範囲の見直し、▽解雇規制の明確化と柔軟化、▽農業の競争力強化―。
  • 同会議は、政府が6月にまとめる成長戦略に反映させるために、具体的な規制改革案を策定する方針だ。


    ② 【政府広報】 「田中規制委員長、承認へ」
    原子力規制委員会の田中俊一委員長の国会同意人事が14日、衆院本会議で自民、公明、民主、日本維新の会などの賛成多数で可決された。自民党は消極的支持を選択した。

    ③ 【独自取材】 「歌舞伎座、新たな息吹」
    4月2日に開場する新しい歌舞伎座のライトアップ試験があった。約150台の発光ダイオード照明器具により、白壁がくっきり浮かびあがった。

     

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【政府広報】 「シェールガス1兆円支援」

  • 政府は、新型ガス「シェールガス」事業などに参入する日本企業の資金調達支援のため、1兆円の債務保証枠を新設する。エネルギーコスト低減策の柱となる。
  • 福島第1原発事故後に燃料調達費が急騰しているが、円安により原油がガスの輸入コストが上昇する副作用が出ている。
  • 米国の「シェール革命」などで、天然ガス価格が大幅に低下しており、政府は資源政策の軸足を「安定調達」から「コスト抑制」に転換する。


② 【企業広報】 「欧州運用大手を買収へ」
オリックスは、世界有数の資産運用会社、ロベコを買収する方向で最終調整に入った。買収額は、2500億円程度で交渉中で、日本勢による海外運用会社の買収としては最大級となる。

③ 【政府広報】 「解雇条件見直し」
政府の規制改革会議は、論点整理案として、正社員の解雇条件の基準の明確化を提起する。解雇権の乱用として無効判決が出たときに、労使が金銭で労働契約を終了する解決策の導入も検討する。

 

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【独自取材】 「灯油急騰で被災地悲鳴」

  • 安倍政権の金融政策への期待から円安が進み、株式市場は値上がりしているが、輸入物価が上昇している。特にガソリンや灯油の価格急騰が止まらない。
  • 宮城県石巻市の仮設住宅に暮らす内海孝子さんにとって、石油ストーブと灯油は必需品。その灯油価格は昨冬に比べ1リットル8円も高く、毎月70リットルは使う内海さんにとって、月500円以上の生活費の負担増となる。
  • 政府は、2%の消費者物価上昇を目指すことで賃金上昇も見込むが、今のところは株などの資産を除けば、燃料など生活必需品だけの値上げにとどまっている。


    ② 【独自取材】 「日韓の絆『若い力で』」
    東京新聞と友好紙・ソウル新聞は14日、国際フォーラム「2013 日韓 未来への道を問う」をソウルで共催した。参加した両国の有識者は、日韓の絆強化のために、両国の若者に期待する意見を多く語った。

    ③ 【行政広報】 「漱石山房よみがえれ」
    東京都新宿区は、夏目漱石が晩年を過ごした自宅「漱石山房」を復元するための基金を設ける。漱石生誕150周年にあたる2017年の開館を目指す。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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