2013.02.14 thu

新聞1面トップ 2013年2月14日【解説】選挙でのネット解禁の効用

新聞1面トップ 2013年2月14日【解説】選挙でのネット解禁の効用


【リグミの解説】

本日の新聞1面記事は、「グアムでの無差別殺傷事件」が大きく扱われています。海外で日本人が凶行の犠牲になるケースが続いています。亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り致します。

参院選でネット解禁
選挙の様相が変わりそうです。読売新聞は1面トップで「参院選からネット解禁」という政府広報記事を掲載しています。自民党と公明党が野党と共同で、インターネットを使
った選挙活動を認める法案を提出する方針です。ようやく政治が時代のテクノロジーに対応する動きを見せ始めました。

背景として、自民党が2009年の衆院選で民主党に敗退し、下野したことがあったと思います。野党になった途端、官僚の足は遠のき、経済団体も離れていき、マスコミも自民党の動向をまったくといっていいほど伝えなくなりました。政権を離れるとはどういうことか、その悲哀を味わった自民党は、自分たちの在り方を見直す過程で、広報マーケティング戦略を一から作る必要がありました。その結果、IT活用が一番確実という結論になりました。

自民党のIT活用
少し古いデータですが、日経ビジネスの2012年9月24日号に「国会議員『IT活用』ランキング」という記事があります。この中で、野党時代の自民党のみが「HP」「ブログ」「
動画配信」「メルマガ」「ツイッター」「フェイスブック」「ネット献金」の7分野を行っていました。自民党は、動画配信数とフェイスブックの「いいね!」の数でもトップ、ツイッターのフォロワー数でも2位でした。さらに、「政党と政治家個人の連携度合い」と「有権者との双方向のコミュニケーション」でもトップクラスの評価でした。

自民党・安倍政権は、広報マーケティングに関しては、政権時代の民主党を凌駕していると思います。野党時代にIT活用を学んだだけでなく、有権者との効果的なコミュニケーションが、認知率のアップと支持率の向上に大きく影響することを知り、専門家を雇い総合的な広報戦略を構築・実施しているのではないでしょうか。衆院選時の政権公約のコピーの作り方に始まり、安倍首相の語り口、目線や手の使い方、服装などの印象と、維新の会を大阪に訪問し連携の声かけをするタイミングや、沖縄に予算の手土産をもって知事を訪問する様子、などに基づく推測です。

ネット解禁の効果
仮に自民党の広報マーケティングが本当に総合的な戦略として推進されているとしたら、参院選のネット解禁でも、一番威力を発揮するのが自民党になる可能性は大です。日
経ビジネスの記事では、有権者が投票先を決める情報源についてのアンケート調査も載っています。

①テレビ、②新聞、③家族・友人の意見、④政見放送、⑤街頭演説、⑥選
挙ビラ、⑦ネット情報、⑧街宣車からの挨拶、⑨職場の人の意見、⑩選挙ポスター、の順番です。

ネット情報は現在は7番目ですが、既に選挙カーの連呼よりも効果があるとい
う結果です。ネットが解禁されたとき、その効果がどこまで上位に食い込むか、楽しみです。

演説から対話へ
政治家の資質を判断するひとつの指標は、演説力です。早稲田の雄弁会出身で元首相の森喜朗さんは、「演説こそ政治家の命」という意味の発言をインタビュー記事でしてい
ました。政治家が政治のビジョンを語り、有権者が良いと思う政策を大きなストーリーとして語る演説力・発信力は、確かに政治家の重要な仕事です。しかし、ネットの時代には、一方的な発信だけではかならずしも支持を広げられません。有権者と丁寧な双方向のコミュニケーションを積み上げていく「対話力」がカギを握るようになります。

政治家の「ストーリー発信力」と「対話力」が鍛えられ、有権者もまた「情報収集力」と「対話力」を求められるようになる。ネット解禁が、そうした効果を発揮することを期待したいと思います。さらに、今は政治への関心が低く、投票行動というコミットメントが不足しがちな若い世代が、政治との関わりを強め、「当事者」としての意識を高めていく効果も出る可能性があります。さらに、既得権益などで断絶しがちなシニア世代とジュニア世代が、ネット上で交流を始め、日本の未来という共通のテーマについて「対話」と「議論」を深めていく端緒になることを願っています。

(文責:梅本龍夫)
 





① 【政府広報】 「参院選からネット解禁」

  • 与党は、インターネットを使った選挙運動に関連する法案を2月中に野党と共同提出し、3月上旬に成立させたい考えだ。
  • 今夏の参院選から、ネット上のホームページやブログと共に、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や電子メールによる投票呼びかけが、ほぼ全面的に認められる。
  • 有権者同士がSNSで特定の候補者の応援や支持活動に利用できるようになる。演説の動画配信なども活発化しそうだ。一方、候補者の名をかたる「なりすまし」を防ぐため、ホームページやメールの送信者には、アドレス表示などの義務付けと罰則を設ける方向だ。


    ② 【政府広報】 「『大勢傷つけたかった』」
    外務省が13日明らかにしたところによると、米領グアム島で起きた無差別殺傷事件で、殺人、殺人未遂容疑などで逮捕されたチャド・デソト容疑者(21)は、現地警察の調べに対し、「車とナイフで、出来るだけ多くの人を傷つけるつもりだった」と供述しているという。

    ③ 【政府広報】 「ハーグ条約、今国会承認」
    安倍首相は、来週ワシントンで行うオバマ大統領との首脳会談で、ハーグ条約を取り上げ、日本が近く締結する見通しであると表明する方針を固めた。ハーグ条約の正式名称は、「国際的な子の奪取の民亊面に関する条約」。

     

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【独自取材】 「通貨安定策の自粛、確認」

  • モスクワで開催される主要20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明原案が判明した。
  • 原案の骨子は、以下の通り。▽各国は通貨安競争に走らないように為替相場を動かす政策を避ける、▽自国産業を守るために自由貿易を妨げる保護主義に反対する―。
  • 日本はG20で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」における金融緩和は、物価が下がり続けるデフレ脱却が目的と説明し、理解を求めたい考えだ。アベノミクスによる円安について、一部の国で「各国が通貨安を競い合う」「円安誘導だ」との懸念が出ている。


    ② 【独自取材】 「祝えなかった孫の結婚式」
    米領グアムで12日起きた殺傷事件で、祖母の上原和子さん(81)と孫の杉山利恵さん(28)が亡くなった。現地で行われる杉山さんの弟の結婚式に出席するためだった。

    ③ 【政府広報】 「日米首脳、電話協議へ」
    安倍首相は14日、北朝鮮の核実験への対応について、米国のオバマ大統領と電話で協議する。国連安全保障理事会での新たな制裁決議に向けた連携を確認する。

     

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【独自取材】 「3歳娘かばい母犠牲」

  • 外務省は13日、米領グアムで起きた12日の起きた無差別殺傷事件で亡くなったのは、上原和子さん(81)と杉山利恵さん(28)と公表した。ふたりは祖母と孫娘の関係。
  • 負傷者は11人に達しており、その大半は理恵さんの弟の結婚式に出席予定の親類関係者だった。
  • 容疑者の男は、突然車で突っ込んできて、車内から出て周囲の人々を刃物で次々と刺し始めた。利恵さんは抱いていた長女(3)をかばうようにして刺され、その場に倒れた。


    ② 【政府広報】 「ハーグ条約加盟へ」
    自民党は、ハーグ条約の承認案と関連法案を来週にも了承する方針だ。公明党も同意する方向。ハーグ条約は、国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めている。

    ③ 【同時取材】 「『大勢傷つけたかった』」
    米領グアム島で起きた無差別殺傷事件のチャド・デソト容疑者(21)は、現地警察の調べに対し、「車と刃物を使って出来るだけ多くの人を傷つけたかった」と供述していることが判明した。

     

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【財団広報】 「iPS、初の臨床研究」

  • 先端医療センター(神戸市)は13日、倫理委員会を開催し、目の難病患者を対象にしたiPS細胞を使った治療を試みる臨床研究を承認した。理科学研究所と共同で、来月にも厚生労働省の申請する。
  • 放っておくと失明の可能性がある目の病気「加齢黄斑変性」を対象にする。根本的治療法がない同病に対し、iPS細胞から作った網膜細胞のシートを使って視力の回復を試みる。移植の安全性を最優先で確認する。
  • 厚労省の手続きは半年ほどかかる見通しだ。順調に行けば、山中伸弥・京大教授が世界に先駆けて作成したiPS細胞を使う初の再生医療が、2013年度中にも国内で始まることになる。


    ② 【発表引用】 「米欧、FTA交渉開始へ」
    米国と欧州連合(EU)は13日、自由貿易協定(FTA)を含めた貿易・投資協定の交渉開始に関する共同声明を発表した。実現すれば、世界の貿易量の約3割を占める巨大市場が生まれる。

    ③ 【企業広報】 「難病治療で官民連携」
    第一三共は、政府系ファンドの産業革新機構と三菱UFJキャピタルの出資を受け、筋ジストロフィー症の治療薬を開発する新会社を設立する。

     

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【独自取材】 「水ぶくれ、補正予算」

  • 衆院を14日に通過予定の2012年度補正予算案は、総額13.1兆円に上る。既存の施策に何倍もの予算を積み上げた「増額ありき」が目につく。
  • 農林水産省は、「農山漁村地域整備交付金」の予算を、2012年度の96億円から、2012年度補正予算案だけで1650億円と17倍に大幅増額した。2013年度予算案も1128億円計上しており、合計では民主党政権時の29倍に達する。
  • 問題は、同交付金の目的だ。民主党政権時は「食料自給率の向上」と謳っていたが、安倍政権では「防災・減災対策」に変えられている。予算を獲得しやすい名目に替えて要求する霞が関のしたたかさが見える。


    ② 【独自取材】 「歩道100メートル暴走、刃物で無差別」
    日本人観光客らを巻き込んだグアムにおける12日の無差別殺傷事件。凶行は、多くの人々の目の前で突然起き、刃物で襲われた女性は、力尽きて地面に倒れ込んだ。

    ③ 【独自取材】 「中野に企業ラッシュ」
    東京都中野区が、ビジネス街に変わろうとしている。キリンビール14社が3~6月に本社移転する。栗田工業の本社とチューリッヒ生命の日本支店も転入している。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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