【リグミの解説】
苦労する民主主義
民主主義が世界中で苦労しています。本日の朝日新聞1面3番記事は、連続企画「カオスの深淵」の最終回です。スイスの小さな町が、放射性廃棄物の最終処分場を巡る住民の25年にわたる直接民主主義的な取り組みによって、町が分断され疲弊していった様子を紹介しています。ドイツの例では、歴史ある中央駅舎の再開発に反対する運動で、反対派は「住民エゴ」とみられ、週刊誌が「切れる市民」と呼び、流行語大賞になったそうです。
スイスとドイツの事例は、共に「住民投票」という直接民主主義の手法に絡む問題を扱っています。直接的な利害が及ぶ地元での投票結果と、利害が関係するより大きなエリアでの結果が異なることが、ポイントです。この記事は、東京電力刈羽原発の再稼働の是非を問う新潟県民による投票条例を求める6万8千超の署名を、新潟県議会が否決した事例も引用。「国が責任を持って判断すべきで、県民投票はなじまない」というのが理由でした。
民意形成の方法
民意とは何か。これはとても難しいテーマです。例えば原発問題。原発を引き受ける地元住民の意思と、事故の際に影響が及ぶ地域の住民の意思、そして電力の恩恵を受ける都市部の住民の意思、さらには国民全体の意思。その立場や関与の違いによって、意見や感じ方も大きく異なってきます。健全な民意を形成する有効な方法はあるのでしょうか。
今日は、2つのまったく異なるアプローチの融合を提案したいと思います。1つは、科学的アプローチです。真理を発見するために、科学は「仮説」を立てます。そして「仮説」の有効性を「検証」する方法として、実験と観察をします。政治上の難しいテーマについても、科学者にあたる専門家が最初に「仮説」を立て、それを世論調査などのサンプルで「観察」したり、小グループの討論会で意見の変化の仕方などを「実験」したりします。大雑把すぎるアイデアですが、ポイントは、「民意」と言えるものが形成されるプロセスを客観化し、検証可能にすることです。
2つ目のアプローチは、科学的手法のある意味正反対のものとなります。あるテーマに「賛成」した場合と「反対」した場合で、どんな世界が出現するかをビジョンとして示す方法で、物語法ともいえるものです。科学的アプローチが論理や客観性を重視にするのに対して、物語法は感情や共感を大事にします。「なるほど!」と納得する瞬間は、この2つの手法がつながり、共有できる大きなベースができた時だと思います。
民主主義の進化
実は民主主義は、無意識的にこうした仕組みを織り込んで動いてきたのではないでしょうか。科学的アプローチは、選挙という仕組みを通して機能し、物語法は、選ばれた政治家が語り実行する政策やビジョンを通して有権者と共有されてきたのだと思います。ただ、世界が複雑化し、すべてがひとつながりになってきて、従来のやり方では、「仮説」づくりも「検証」もうまくいかず、有権者を納得させる「ストーリー」も創れなくなってきているのだと思います。
選挙や住民投票、あるいは世論調査の手法などは、徹底して科学的アプローチを志向し制度設計を試み、政治家は個々の政策がもたらす「大きな世界像」を語るストーリーテラーになる。そして、科学的アプローチと物語法をつなぐところに、たくさんの専門家たちのチームがいて、より健全で未来志向な政策決定が成されているように支援する。
グローバル時代の民主主義は、最低でもこれぐらいの構想を伴うことで、はじめて有効な「民意」を形成しはじめるのではないかと思います。より進化した民主主義のモデルづくりを、世界レベルで競争する時代が来ているのではないでしょうか。
(文責:梅本龍夫)
① 【警察広報】 「PC遠隔操作、30歳逮捕」
② 【政府広報】 「ベトナムにIT輸出」
総務省は、安倍政権が掲げる成長戦略の柱となる「最先端インフラ(社会基盤)の海外輸出」に関して、日本企業の情報技術(IT)システム輸出を支援する。最初の事例として、ベトナムで大気汚染や水質調査をなどを行うモデル事業を始める。
③ 【世論調査】 「内閣支持率上昇71%」
読売新聞社が実施した世論調査(電話方式:有効回答1072人、回答率59%)で、安倍内閣の支持率は71%で、発足から2回続けて上昇した。前回(1月11~13日)は68%。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【警察広報】 「PC遠隔操作、男を逮捕」
② 【独自取材】 「暴力、自殺の一因」
大阪市立桜宮高校のバスケットボール部主将の男子生徒が自殺した問題で、市の外部監察チームが、同部顧問の男性教諭による暴力行為が生徒を自殺に追い込む一因になったと認定したことが判明した。
③ 【連続企画】 「疲れ果てた町 ~カオスの深淵」
スイスの小さな町ウォルフェンシーセンに、放射性廃棄物の最終処分場を造る案が25年前に出た。町の住民は良く話し合い、事例研究もし、受け入れを決めた。しかし、州レベルで新たな住民投票がされ、否決された。賛成派と反対派の亀裂も深まった。「国全体で決めるべき問題を小さな町に背負わせた25年間だった」と町長は嘆く。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【警察広報】 「遠隔操作、30歳男逮捕」
② 【発表引用】 「柔道以外2競技で暴力」
共同通信が実施した、ロンドンオリンピックで実施された柔道以外の25競技の代表監督や強化責任者らへのアンケート調査によると、2競技で暴力行為の存在を認める証言があった。個人名、競技名は公表しない前提。
③ 【独自取材】 「五輪一番乗り」
アイスホッケー女子の日本代表は10日、ソチ冬季五輪最終予選でデンマークに勝ち、来年2月の同五輪への出場を決めた。日本勢のソチ五輪出場決定の一番乗り。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【企業広報】 「携帯3社、コンテンツ開放」
② 【独自取材】 「円安の恩恵、企業に広く」
円安により、海外展開する企業に幅広い恩恵がもたらされ始めている。1373社の決算を集計したところ、為替差損益は前年比5300億円改善し、自己資本が13兆円増加した。
③ 【政府広報】 「来年にも巡視船供与」
政府は、政府開発援助(ODA)の円借款を活用し、2014年初めにもフィリピンに巡視船を供与する方針だ。中国を牽制する狙いがある。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【独自取材】 「漫画誌、休刊続く」
② 【警察広報】 「都内の30歳男を逮捕」
警視庁などの合同捜査本部は10日、パソコン遠隔操作による犯罪予告事件に絡み、東京都江東区白河4、IT関連会社社員、片山祐輔容疑者(30)を威力業務妨害容疑で逮捕した。
③ 【独自取材】 「ソチ五輪第1号」
アイスホッケー女子の日本代表は10日、ソチ冬季五輪最終予選でデンマークに快勝ち、五輪出場を決めた。日本勢のソチ五輪出場権獲得は、全競技で初。