2013.02.09 sat

新聞1面トップ 2013年2月9日【解説】人生と社会の復元力

新聞1面トップ 2013年2月9日【解説】人生と社会の復元力


【リグミの解説】

江副浩正氏が残したもの
リクルート創業者の江副浩正さんが亡くなりました。リクルートは、起業家精神を持った人たちが集まり、情報誌やフリーペーパーなどで、ユニークな事業を次々と立ち上げ
ていきました。リクルート出身者は、同業の人材・就職就業・出版関連にとどまらず、ITマーケティング、教育、政治などに幅広くいます(Wikipedia)。リクルートが、日本の中でユニークな会社として大きな存在感を示してきたことは、間違いありません。

しかし、1988年に江副氏がリクルートコスモスの未公開株を政財界関係者に大量に譲渡したリクルート事件で、江副氏個人と、リクルートの評判は、大きく傷つきました。江副氏は贈賄罪で逮捕され、13年以上に渡る裁判の末に、2003年3月に執行猶予付きの懲役3年の刑が確定しました。江副さんは1992年にはリクルートの保有株を手放し、晩年は「江副育英会」の理事長として日本の文化の発展と若者の育成に力を注いだことを知りました。特に日本のオペラの「パトロン」として新国立劇場東京オペラシティの支援に尽力したそうです。

物故録(死去報道)の在り方
読売新聞の記事は、江副氏の「リクルート事件後」に相応の解説を加えていますが、朝日新聞は自社のスクープで事件が発覚した関係か、解説記事でも「リクルート事件」に
まつわる江副氏に終始する内容でした。事件の客観的な評価は他に譲るとして、ひとりの卓越した起業家の後半生が、大きなスキャンダルによって色づけされ、長い裁判の末に刑が確定したことばかりが記憶されるのは、偏っていると感じました。

江副さんが残したリクルート社は、事件を反省し倫理綱領を作成。法令順守を超える行動規範を従業員に求めています。そして、新たな「企業理念」と「経営の3原則」を定めました。3原則は、「①新しい価値の創造、②個の尊重、③社会への貢献」とあります(リクルートホールディングス)。筆者はここに、新しいものを生み出す起業家精神、その原動力となる個の創造性を尊重する姿勢、そして本当に革新的で価値あるものは社会に役立ち貢献するものでなければならない、という覚悟と矜持を読み取りました。

日本は、「出る杭を打つ社会」と言われます。目立つ人は、上り調子の時は高評価と好感のスポットライトを浴びますが、何か問題が起きると、手のひらを返したようにバッシングされます。中には完膚なきまでに叩かれ、再起不能になるケースも少なくありません。2月7日の朝日新聞の13面記事で、ビル・クリントン元大統領は、在職中の不倫問題も過去のものとなり、国民的人気を取り戻した、とありました。江副さんとクリントンさんでは、スキャンダルの内容も、立場も、パーソナリティーも違うので、本来比較対象にはなりませんが、それでも日米の国民性の違いのようなものを感じました。

ネガとポジのバランスシート
2月3日の日経新聞19面の「今を読み解く」というコラムで、「ポジティブ心理学」を紹介していました。「人間はネガティブな情報に興味をひかれやすく、私たちは、気の滅
入るようなニュースに囲まれている。例えば、現実の学校には、学ぶ喜びや仲間の楽しさ、そして、熱意のある先生方が少なくないのに、私たちは多くの学校にいじめが溢れているように感じがちだ」と問題提起しています。いじめや体罰は現実に深刻な問題であり、「リグミの解説」でも取り上げていますが、ネガ(否定的側面)の奥にどんなポジ(肯定的側面)の可能性があるかを見ていきたいと思っています。

個人の人生においても、同じです。どんな人にも「起承転結」のライフストーリーがあります。江副さんのように、社会を揺るがした事件が人生の「転」と位置付けられる人もいます。そんな人生のバランスシートは、負債だらけなのでしょうか。「ポジティブ心理学」は、人間や社会が本来もっている生きる力であるリジリエンシー(回復力)に着目しています。人生の「転」のあとに「結」があります。「個の尊重」という新しい価値観を日本にもたらした卓越した企業家であった江副さんは、晩年に文化事業に寄与しました。ネガを忘れず、だからこそ、ポジにもスポットライトを当てる。そういう懐の深いメディアの存在が、社会の復元力を高めていきます。

(文責:梅本龍夫)
 





① 【警察広報】 「介護施設火災4人死亡」

  • 8日午後7時40分頃、長崎市東山手町の認知症グループホーム「ベルハウス東山手」の2階から出火した。
  • 入所者10人(男性2人、女性8人)全員と当直職員ら2人が病院に搬送された。入所者の女性4人の死亡が確認された。
  • 午後9次49分に鎮火した。

② 【政府広報】 「原発賠償、時効なし」
政府は8日、東京電力福島第1原発事故の損害賠償について、損害賠償請求権の保護を明記した特例法案を今国会に提出する方針だ。民法上の時効(3年)を過ぎても請求できるようにする。

③ 【発表引用】 「国際柔道連盟調査へ」
国際柔道連盟(IJF)のマリアス・ビゼール会長は8日、柔道全日本女子前監督の暴力行為を女子選手15人が告発した問題について「柔道の道徳・倫理に関する規定にそぐわない」と批判し、IJFは全日本柔道連盟と合同で調査すると述べた。


(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【消防広報】 「高齢者施設火災、4人死亡」

  • 8日午後7時40分頃、長崎市東山手町の認知症のグループホーム「ベルハウス東山手」で火災が起きた。
  • 12人が運び出され、女性4人が死亡、8人が重軽傷を負った。
  • 出火当初、職員を含め12人がホームにいた。2階の居室が火元と見られる。


    ② 【政府広報】 「集団的自衛権、議論再開」
    安倍首相の私的諮問機関「安全保障の再構築に関する懇談会」が、5年半ぶりに再開され、集団的自衛権の行使容認に向けた一歩を踏み出した。

    ③ 【発表引用】 「江副浩正さん死去」
    リクルート(現リクルートホールディングス)を創業した江副浩正さんが8日、死去した。76歳だった。

     

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【警察広報】 「高齢者施設火災、4人死亡」

  • 8日午後7時40分頃、長崎市東山手町の認知症グループホーム「ベルハウス東山手」から出火し、1階部分約50平方メートルを焼いた。
  • 入所者10人と職員ら2人が病院に搬送された。12人のうち、女性4人が死亡した。
  • 4人はいずれも入所者で、身元の確認を急いでいる。


    ② 【報道引用】 「首相、中国に謝罪要求」
    安倍首相は8日、BSフジ番組で、中国海軍艦艇が海上自衛隊艦艇などに火器管制レーダーを照射した問題について、全面否定をした中国に反論し、「中国にはそういうことがあったら認めて謝罪し、再発防止に努めてほしい」と語った。

    ③ 【政府広報】 「発送電分離2018~20年」
    経済産業省の有識者会議「電力システム改革専門委員会」は8日、大手電力会社の発電部門と送電部門の分社化について、5~7年後の2018~2020年に実施する、とする報告書をまとめた。

     

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【独自取材】 「縮む黒字、円安後押し」

  • 火力発電用の燃料の輸入が増えて日本の貿易収支が赤字になり、日本の稼ぐ黒字が縮小した結果、円安が進行している。
  • 一方、欧米は経常収支が改善傾向にあり、円を売り外貨を買う取引が外国為替市場で相対的に優勢になっている。
  • 貿易収支に所得収支とサービス収支を加えた日本の経常収支の黒字は、長く円高を支える要因となってきたが、貿易収支のの赤字化によってその構造が様変わりしている。


    ② 【政府広報】 「TPP『聖域』あれば交渉」
    安倍首相は、環太平洋経済連携協定(TPP)について、2月下旬の日米首脳会談でオバマ大統領が関税撤廃の例外を認めた場合、交渉参加に踏み切る方向で調整に入った。

    ③ 【報道引用】 「首相、中国に謝罪要求」
    安倍首相は8日、BSフジ番組で、中国海軍艦艇が海上自衛隊艦艇などに火器管制レーダーを照射した問題について、「中国は素直に認めて謝罪し、再発防止に努めてほしい」と語った。

     

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【警察広報】 「火災、3人死亡」

  • 8日午後7時40分頃、長崎市東山手町のグループホーム「ベルハウス東山手」から出火した。
  • 大浦署のよると、入居者ら男女12人が搬送され、うち女性3人の死亡が確認された。男女3人が心肺停止状態となっている。
  • 火災は1階部分約50平方メートルを焼き、約2時間後に鎮火した。入居者が暮らす2部屋が激しく焼けていた。


    ② 【独自取材】 「諫早へ国費止まらない」
    総額2530億円を投じて完成した国営諫早湾干拓事業の開門に伴う対策工事に、さらに330億円が投じられる。税金の使われ方に厳しい目が注がれる。

    ③ 【独自取材】 「女子野球、私が引っ張る」
    3年前に関西で始まった日本女子プロ野球リーグ。今春に関東でも新球団が創設される。江戸川区生まれの楢岡美和さん(18)は、新球団入りする。「諦めなければ夢はかなう」。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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