【リグミの解説】
武力衝突の危機
何らかの理由で武力衝突しそうになったら、どうするか。3択問題で考えてみます。第1の選択肢が「相手に非があるのだから、譲らない。武力衝突も辞さない」。第2の選択肢として「相手に非があっても、武力衝突はしたくないので、一方的に譲る」。そして第3の選択肢となるのが「無用の武力衝突とならないように話し合う」。もちろん、これ以外の選択肢もありますし、組み合わせて対応していくのが現実とも言えますが、何を優先するかによって、有事の際の「究極の選択」も変わってきます。
第1の選択肢は、「正義が自分にあること」を優先する態度ともいえます。その強さが魅力ですが、一歩間違えば取り返しのつかない災厄を生み出します。テロリストも同じ考え方を取っていることにも注意する必要があります。第2の選択肢は、「衝突を回避すること」を優先する態度であり、敗北主義に見えます。しかし格闘技の一流選手は、攻撃と同じぐらい防御が上手であり、防御の最たるものは打たれないこと、つまりうまく攻撃をかわすことです。「君子危うきに近寄らず」は、1つの選択肢です。要は、より大きな目的、究極に達成したいことが何かを問う姿勢が大事だと思います。
第3の選択肢
そして第3の選択肢ですが、これは「話せばわかる」という期待や価値観を反映した態度です。無用の武力衝突を避けようという大前提はありますが、それが究極の目的ではありません。話し合っても解決しなければ、衝突は致し方ないという最後の見切り線は保持します。その上で、個々のリスクの回避を図るとともに、そもそも衝突のリスクが起きにくくする構造を構築しようとします。
本日の読売新聞の1面トップ記事は、「日中ホットライン要請へ」です。日中防衛当局による緊急連絡体制を構築しようと日本から中国に働きかける意向を伝えています。最初のホットラインは、1963年のキューバ危機の後に、米国のホワイトハウスとソ連のクレムリンとの間に、危機回避のために設けられた直通回線でした(Wikipedia)。その後も米ソの冷戦は20年以上続きますが、キューバ危機を上回る危機に見舞われることはありませんでした。かつては米ソの艦艇同士が、射撃用レーダーを照射し合うことが続きましたが、偶発衝突を避けるため、話し合いによってやめた、という経緯もあります。
体罰路線と対話路線
今日も、日中の問題と体罰問題をつなげて論じてみます。2月6日の日経新聞社会面に「”愛の鞭”消えぬ容認論 ~見過ごされた体罰(中)」という連続企画記事が載っていました。「言い聞かせる余裕なんてない。力で上下関係を示さないと授業にならない」「指導上、やむを得ない体罰はある」とする元教員の声を紹介しています。これは、「生徒に非があるのだから、譲らない。体罰も辞さない」という姿勢であり、上記の第1の選択肢の言い換えとなります。
この記事は同時に、体罰から対話へ転換し、成果を上げた九州のスポーツ強豪校の監督の事例を取り上げています。教え子に手を上げることで「かえってコミュニケーションが減り、主力選手と衝突した。チーム崩壊の危機を招いただけだった」。監督はその後、徹底した対話路線で信頼を取り戻し、チームは昨年の全国大会で優勝したそうです。
対話路線は、武力衝突を回避する第3の選択肢と趣旨は同じです。体罰をしない(武力衝突を回避する)ことが目的なのではなく、体罰をしなくても(そして体罰をしない方が)成果を上げられるアプローチです。
対話の投資効率
「対話」はどうして成果を上がられるのでしょうか。基本にあるのは、相手を本当に理解できるようになることがあります。「建前」をかざしているときには見えない「本音」が明らかになります。そこでびっくりしたり、がっかりしたりせず、対話を地道に続ければ、共感のベースができてきます。そして対話する両者の共通の目標が見えてきます。さらに目標達成の道程も一緒に考えるようになります。
対話は、主義や理念や価値観に関係なく有効な方法論です。体罰と違って、目の前の即効性はありません。しかし体罰と反対に、繰り返しているとじわじわと良い効果が発揮されます。長い目で見れば、対話は高いROI(投資回収率)を期待できます。副作用の多い体罰に頼るのは、合理性を欠きます。「武力衝突を辞さず」も同様です。日本中で、そして日本と外国との間で、有用な「対話」が無数に始まることを期待します。
(文責:梅本龍夫)
① 【政府広報】 「日中ホットライン要請へ」
② 【政府広報】 「公取委員長、杉本氏提示へ」
政府は6日、空席となっている公正取引委員会の委員長に元財務次官の杉本和行氏を充てる案を、衆参両院に提示する方針を固めた。
③ 【独自取材】 「困難極めた情報収集 ~検証アルジェリア人質事件(中)」
アルジェリアの人質事件で、日本政府は情報収集に苦労した。焦る日本政府に米英が手を差し伸べた。特にアルジェリアに軍事顧問を派遣している英国から、事前情報が伝えらえた。情報機関を持たない日本政府にできることには限界がある、とある政府高官は頭を抱える。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【独自取材】 「東電、国会事故調に虚偽」
② 【独自取材】 「人質事件、首謀者の館」
アルジェリアの人質事件の首謀者が拠点としていたマリ北部ガオの建物を、メディアとして初めて取材した。平屋建て7部屋の中には、手製の爆弾や自動小銃の一部などが残されていた。
③ 【独自取材】 「終値もリーマン後最高値」
白川・日銀総裁の任期前辞任表明で、金融緩和が前倒しに進むとの見方が広がり、6日の東京株式市場は株価が大幅に上がった。終値は1万1464円75銭と、リーマン・ショックによる株価暴落後の最高値を更新した。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【独自取材】 「首相、照射公表で対抗」
② 【独自取材】 「東証、リーマン後最高値」
6日の東京市場は、前日の白川・日銀総裁の任期前辞任の表明などを材料に、金融緩和が一層拡大するとの期待が広がり、円安・株高が加速した。
③ 【独自取材】 「1年後へ準備着々」
ソチ冬季オリンピックが、1年後の2014年2月7日に開幕する。ソ連時代の1980年のモスクワ夏季オリンピック以来で、ロシアでは初の冬季オリンピックとなる。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【企業広報】 「米、日本にシェールガス」
② 【独自取材】 「終値、リーマン後最高値」
6日、日経平均株価が大幅に上昇し、終値は1万1463円75銭(3.77%高)となり、リーマン・ショック後の高値(1万1339円)を上回った。
③ 【連続企画】 「質が量呼ぶ取引所の原点 ~金融ニッポン」
取引所の株式会社化にはメリットも多いが、利益を追うあまり、市場の質を磨く努力がおろそかになる危険がある。特定の投資家に売買が偏ると、相場が荒れ、市場の魅力が下がる。質の優先は、市場の原点だ。日本の取引所は、質こそが量を呼ぶと、株主を説得できるか。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【独自取材】 「諮問会議、危うい中立」
② 【行政広報】 「大気汚染対策、都が発信」
東京都は、国に先んじてディーゼル車規制など環境施策を推進してきた実績について、海外への発信に力を入れ始めた。猪瀬都知事は、北京市長に環境問題の解決向けた交流を文書で呼びかけた。日中は、領土問題で険悪な関係だが、自治体レベルで友好促進となるか。
③ 【行政広報】 「荒川区、木密地域を守れ」
東京都荒川区は、震災で断水した場合も火災に対応できるよう、隅田川から防水槽に取水し、消火用水として使用する事業を始める。