2013.01.31 thu

新聞1面トップ 2013年1月31日【解説】国民的議論を続ける

新聞1面トップ 2013年1月31日【解説】国民的議論を続ける


【リグミの解説】

「原発ゼロ見直す」
読売新聞1面トップ記事は、「首相『原発ゼロ見直す』」。安倍首相は、「2030年代に原発の稼働ゼロを目指す」とした民主党の政策を全面的に見直す考えを表明しました。

相は、「民主党のように無責任に『原発ゼロ』と言うつもりはない。使用済み核燃料の問題を解決するためにも、原子力の技術は必要です。世界と連携しながらこの問題を解決したい」と発言しています(毎日新聞のインタビュー記事:1月27日8面)。

「反面教師」
安倍氏は、毎日新聞のインタビューで「民主党政権を見ていて分かりやすかった(=反面教師として学ぶところがあった)んですが、(政治は)何をめざすのかという目標を
示すべきなんですね。それも自分の理想だけではなく、国民的なニーズのある目標を。大目標を持つことが大切だなと思いましたね」ということも述べています(1月28日2面)。

原発をどうするかは、衆院選の最も大きな争点でした。しかし現実には、国民は原発よりも景気回復など、目の前の生活を優先する判断をした結果、「原発政策という大目標」を唯一掲げなかった自民党が、大勝しまし
た。

国論を二分するテーマ
原発問題は、依然として国論を二分する一大テーマであると思います。このところまたまった世論調査がないため、国民の傾向を正確に知る術はないのですが、「原発依存度
を下げるべき」とするのが「最大公約数」ではないかと推測しています。

参考まで、朝日新聞の2012年12月3日の世論調査では、「原子力発電は今後どうしたらよいか」という
設問への3択回答で、「早くやめる」18%、「徐々に減らしてやめる」66%、「使い続ける」11%―でした。

一方、日経新聞の2012年12月8日の世論調査では、「電力供給のために
今後も必要」13%、「脱原発を目指すべきだが、当面は必要」61%―という結果が出ています。

原発問題の「最大公約数」
安倍首相は、昨日の国会答弁で「原発依存度を低減させていく」と発言していますので、国民の「最大公約数」には合致した方向性を打ち出しているとも言えます。ただ、「
国民的なニーズのある大目標を持つことが大切」という発言との整合性としては、どうでしょうか。

自民党は、原発政策を争点にしない選挙戦略で衆院選に臨みました。「全
ての原発の再稼働の可否について3年以内に結論」「10年以内に持続可能な『電源構成のベストミックス』を確立」という判断先送りです。

責任ある「原発ゼロ」か、責任ある「原発維持」か
野田政権が作成した「革新的エネルギー・環境政策」は、検討プロセスも決定プロセスも、問題を多く含んでいました。しかし、「無責任に『原発ゼロ』と言うつもりはない
」といういい方は、民主党批判と見せかけた判断先送りのレトリックだと思います。

では安倍政権は今後、「責任ある『原発ゼロ』」を打ち出すのか、それとも「責任ある『
原発維持』」を打ち出すのか。原子力を含む国のエネルギー政策は、「国民的な大目標」となるものです。そして、大目標の設定に当っては、安倍首相の言葉にある「国民的なニーズ」を汲み取る必要があります。

国民的議論の流れを強化する
自民党・安倍政権は、民主党政権時の政策を全否定する傾向がありますが、政治は大きな流れを創り、その流れの根底のあるものを一貫して推進する責務があります。3.11以
後の大変化のひとつは、原子力政策をもはや政府や電力会社や専門家に一任できないという国民の意識です。

そんな中、思いつきや感覚回答の世論調査ではなく、熟議を重ね、公に責任
を負える意見を形成する「国民的議論」の手法が、昨夏の民主党政権の取り組みで見えました。安倍首相は、「討議型世論調査」(DP)を含む公論(パブリック・オピニオン)づくりの新しい手法などを継承し、国民を原子力エネルギー政策の議論に巻き込む流れを強化すべきだと思います。

(文責:梅本龍夫)
 





① 【政府広報】 「首相『原発ゼロ見直す』」

  • 安倍首相は30日、衆院本会議で野田政権時の「革新的エネルギー・環境政策」について、「ゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を構築する」と述べた。2030年代に原発の稼働ゼロを目指すとした民主党の政策を全面的に見直す考えを表明。
  • 首相は、「原発依存度を低減させていく」と述べ、「いかなる事態でも国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期す」と強調した。
  • 持論の憲法改正については、「まずは多くの党派が主張している96条の改正に取り組む」と述べた。現職首相が、国会答弁で憲法改正を明言するのは異例。


    ② 【政府広報】 「再生医療、承認制へ」
    厚生労働省は30日、人間の細胞を使った医療を規制する法律を作り、事前審査の手続きを定める方針を決めた。iPS細胞(人工多能性幹細胞)による再生医療などが対象となる。

    ③ 【独自取材】 「21自治体、新年度に先送り」
    国の要請を受け、自治体職員の退職手当削減を進めるにあたり、今年度は削減を見送り、4月1日以降とする方針の自治が13道府県、8政令市に上ることが判明した。

     

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【政府広報】 「トンネル点検、手順書ゼロ」

  • 国土交通省に調査によると、全国の市町村道にある2362本のトンネルを管理する692市町村すべてが、トンネルの点検方法などを定めたマニュアルを持っていなかった。
  • トンネル管理の責任があるにもかかわらず、財源不足、人手不足などを理由に、まともな点検がほとんど実施されていなかったとみられる。
  • 国交省は、早急な点検を市町村に要請すると共に、2月中旬を目途に市町村向けのマニュアルを作成・配布する方針だ。都道府県や指定市は、マニュアルを指定したり、国のマニュアルを参考にしていた。


    ② 【発表引用】 「イスラエル、空爆か」
    ロイター通信によると、イスラエルの戦闘機が30日、シリアとレバノンの国境地帯を空爆した。AFP通信は、シリアからレバノンに入った武器を積んだ車列をイスラエル軍が国境付近で空爆したと伝えた。

    ③ 【独自取材】 「『ドラマは録画』くっきり」
    視聴率は放送時間中の見られた数値しか公表していないが、視聴実態をより反映する録画を含めた数値では、人気ドラマの中に録画再生率が視聴率を上回るケースもあった。

     

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【政府広報】 「原発事故対策を義務化」

  • 原子力規制委員会が31日に検討会で示す原発の新しい安全基準が明らかになった。地震、津波、火災、テロ、航空機落下などを念頭に置き、過酷事故の発生を前提にした安全対策の重要性をうたう。
  • 新安全基準の概要は、以下の通り。▽特定安全施設(第2制御室など)の設置、▽フィルター付きベント装置の設置、▽緊急時対策所の設置、▽原子炉内の可燃性ケーブルの交換と防火壁の設置の義務化、▽活断層は「12万~13万年前以降」で確認できない場合は「40万年前以降」までさかのぼり調査、▽原発ごとに「基準津波」を想定し防潮堤などで対応―。
  • 規制委は、国民の意見を求めた上で、7月に法制化し再稼働の申請を受ける。


    ② 【政府広報】 「幹細胞治療、法で監視」
    厚生労働省は30日、再生医療の安全性確保を目的とした新法に関し、ヒトから採取した細胞や組織を治療目的で使うすべての医療機関に対して、国への届け出や承認を義務づける方針を示した。

    ③ 【独自取材】 「揺れ・津波想定、追加 ~検証・大震災」
    内閣府の有識者会議「南海トラフの巨大地震モデル検討会」は、過去最大級の宝永地震(1707年)を参考に、地震の揺れや津波の高さの新想定づくりに乗り出す方針を固めた。

     

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【独自取材】 「日本株買い、一段と厚み」

  • 衆院解散が決まった昨年の11月14日から日経平均株価は28%上昇、30日の終値が2年9ヵ月ぶりに1万1000円を超えた。東証1部の株式時価総額は、327兆円(72兆円増)。
  • 円高修正に伴う企業収益の改善期待が背景にある。さらに、海外投資家が日本経済の中長期的な変化を見据えた資金振り向けの動きを拡大していることがある。個人投資家も取引を再開する例が増えている。
  • 「日経平均は年央に1万3000円を目指す」(BNPパリバ証券)との見方も多く出ている。株高は、企業や家計などにも恩恵をもたらす可能性がある。


    ② 【連続企画】 「ITが示す脱貧困の道 ネット・人類・未来」
    スマートフォンを使った海外送金により、銀行口座を持てない層の人々も消費に回せるお金が増えている。大学授業のネット公開が進み、ネットでの試験やリポート達成度を測る「MOOCs」という仕組みもできた。ネットとグローバリゼーションで貧困を大きく減らす可能性も見えてきた。

    ③ 【政府広報】 「日銀法改正、なお視野」
    安倍首相は30日の衆院本会議で、政府と日銀の役割を再定義する日銀法改正について、「将来の選択肢として、引き続き視野に入れる」との考えを示した。

     

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【独自取材】 「汚染水、海へ放出検討」

  • 東京電力が、福島第1原発の高濃度汚染水を処理した大量の水の海洋放出を検討している。敷地内に水を貯めるタンクの増設に限界が見えてきたためだ。廃炉計画を審議する24日の原子力規制委員会の検討会で担当者が発言した。
  • 東電は、セシウム以外の放射性物質を除去できる新しい処理装置に期待をかけている。実験では、一部の物質を除き、法定濃度を満たす水準まで浄化できたという。しかし、地元漁協は強く反発している。「とんでもない話だ。たとえ、どれほど念入りに処理したとしても放出は一切認められない」(福島県漁協協働連絡会の中田参事)。
  • 東電の尾野原子力・立地本部長代理は、「現段階で放出は具体的に考えていない」と釈明する。しかし、いずれ処理水が貯蔵しきれなくなるのは明白であり、地元も納得できる解決策を打ち出す必要がある。


    ② 【記者会見】 「園田監督『死ね』暴言も」
    全日本柔道連盟の上村春樹会長は30日の記者会見で、女子柔道日本代表の園田隆二監督らに暴力などを受けたとして女子選手15人が告発した問題について、「真の解決は見ていないと思っている」と述べ、新たな処分の可能性を示した。

    ③ 【行政広報】 「赤ちゃんのため禁煙を」
    東京都練馬区は6月から、喫煙者がいる新生児家庭を対象に、ニコチンパッチなど禁煙補助剤2000円分を薬局で購入できる「禁煙スタート券」を贈る。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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