【リグミの解説】
「いじめ防止基本法案」(読売:トップ記事、朝日:2番記事)
自民党は、「いじめ防止基本法案」を国会に提出する方針です。「いじめ」問題の深刻化を受け、政治が動く事態になっていることに複雑な思いがします。「物理的攻撃」と「心理的攻撃」の両方を明確に定義したことで、深刻ないじめの内容が明確になった一方で、「学校が直ちに警察に通報」すべき事案も提起されています。教育現場の問題を超えた刑法に触れる犯罪だという認識だと思います。
「いじめ」「体罰」「ハラスメント」に共通するもの
一方で、スポーツのクラブ活動における指導教諭による「体罰」で生徒が自殺するなど、「指導」の美名のもとになされた行為が「暴行」と判断される可能性が出てきています。「いじめ」も「体罰」も、根幹に共通の問題があるように感じます。それは、「いじめの加害者」と「体罰をする指導者」は、実は共に「心が傷ついている」ということです。
「体罰」を繰り返す教諭の多くは、自分も体罰をされた経験があると言います。体罰をするときに、指導ではなく過去の体験への仕返しの心理が無意識にある、と指摘する専門家もいます。「いじめ」をする子供は、幼少期などに何らかの理由で求める愛情が十分に得られなかった可能性があります。
もうひとつの共通項は、「いじめ」も「体罰」も、「仕返しができない」一方的な構造になっていることです。「いじめる側」は、自分が「いじめられる側」に転落しないことを前提に、執拗ないじめを繰り返します。教師が生徒からやり返される可能性は、余程のことがない限りありません。普通の社会通念では、こうした行為を私たちは「卑怯だ」と判断します。
職場で繰り返されるセクハラやパワハラも同じです。最近は、大手電機メーカーなどが生き残りのためのリストラを断行する手段として、候補者を大部屋に集め、「いじめ」とも「パワハラ」ともいえる心理的暴力を加え、辞表提出に追い込む事例が報道されています。「いじめ」も「体罰」も、社会全体の問題の反映に見えます。
如来、菩薩、明王
密教系の仏教では、仏は大きく分けて3つの姿で顕われると説きます。最初が「如来(にょらい)」です。お釈迦様が悟った状態を意味する如来は、仏の知恵の象徴であり、座して静かに悟りの道を諭(さと)します。如来は、この世界と完全に調和した存在であり、悟りの光に包まれています。人はその光輝に驚き、教えの深さに感銘を受け、仏の道に入っていきます。しかし、多くの人にとって、如来の姿はまぶしすぎて、太陽の光の一部のようになってしまい、事実上見ることも感じることもできません。ましてその声を聞くことはできません。
そこで仏は次に、「菩薩」の姿に変身し、私たちの前に再び顕われます。菩薩は、お釈迦様が悟りを求めて修行をしていた時代の姿です。仏の慈悲の象徴として、この世で苦しんでいる人々のそばに寄り添い、仏の道を一緒に歩み、共に修行をしようと手招きします。菩薩の姿も、当然人には本来見えないものですが、象徴的に言えば、自分の周りの人間の姿となって、さりげなく手助けしてくれたり、知恵を授けてくれていると言えます。自分が尊敬し、愛する人は、菩薩なのかもしれません。
菩薩の存在をありがたく感じる余裕もなくなると、菩薩の姿も見えなくなります。ここで仏は、3つ目の姿に変身します。それが「明王(みょうおう)」です。明王は一転して、「憤怒(ふんぬ)の形相」で私たちの前に立ちはだかります。もはや如来の静けさや、菩薩のやさしさは、そこにはありません。明王は、刀やこん棒や鎖、縄などを手に持ち、怒りの炎に包まれています。明王は、仏の意志の象徴です。悟るまで絶対にあきらめない心の強さです。明王は力を体現しますが、その力を物理的に行使することは、決してありません。明王を前にしても、観念できず煩悩(ぼんのう)の海に溺れる人を、力の限り救い上げるために、明王は鎖や縄を持ち歩いているのです。
教育とは
教育とは、「教える」と「育てる」の二語でできているという指摘をあるとき読み、なるほどと思いました。如来は「教える」存在で、菩薩は「育てる」存在なのかもしれません。残念ながら、悟りからはほど遠い場所にいる私たちは、如来よりも菩薩の方が身近であり、役に立ちます。言って聞かせるだけでなく、共に歩み、一緒に修行を積んでくれる存在を、私たちの多くは必要としています。「育てる」とは、同じ目線に降りて、子供や生徒の内側にあるものに働きかけ、自ら育っていくのを手伝う行為だと思います。
それでも言うことを聞かない子がいたとき、どうするか。「体罰をゼロにするのは机上の空論だ」。高校野球の甲子園常勝チームを育て上げた名監督が、インタビューにそう答えていました。この監督はおそらく、時には明王の姿になって生徒たちを指導する場面もあるのだ、と言いたかったのかもしれません。しかし、明王は、相手の肉体も心も決して傷つけません。たたかれて残るのは、「痛み」です。救われて残るのは、「感謝」です。
「痛み」も「感謝」に変わり得るという考え方は、あまりにも確率の低いもので、それこそ「机上の空論」ではないかと思います。「いじめ」「体罰」「ハラスメント」の問題を解決していく上で、「一方的にやる側」から「一方的にやられる側」に身を置いて考えることが、必要です。優れた教育者は、「教える以上に、子供や生徒や部下に教えられた」「育てようとしたが、自分の内側で育つものの方が多かった」と語っています。法律や警察に解決してもらう前に、できることはないか。社会全体で考えたいテーマです。
(文責:梅本龍夫)
① 【政府広報】 「ネット中傷は『いじめ』」
② 【独自取材】 「資産家夫婦、遺体か」
警視庁は、先月上旬から行方不明になっている東京都中央区銀座の金融業の男性(51)と40代の妻とみられる男女の遺体を、さいたま市中央区内で発見した。
③ 【政府広報】 「首相、経済再生へ全力」
安倍首相は28日、衆参両院本会議で所信表明演説を行い、経済再生を最大かつ喫緊の課題と位置付け、政権として全力で取り組む考えを強調した。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【政府広報】 「iPS臨床研究、承認制」
② 【政府広報】 「悪質いじめ、首長へ報告」
自民党は、「いじめ防止対策基本法案」の原案をまとめた。政府や自治体の責任を明確にし、学校や保護者らの役割を記す。体罰も含め、いじめ防止策づくりを進める。
③ 【政府広報】 「国会図書館の蔵書配信」
文化庁の呼びかけで、国立国会図書館の蔵書を電子書籍として配信する実験が2月1日から始まる。大日本印刷がファイルを作り、紀伊国屋書店が電子書籍ストアで無料配信する。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【国会報道】 「慎重に安倍カラー」
② 【独自取材】 「施設に武装勢力親族」
アルジェリアの人質事件で、武装勢力の親族が事件前に施設内で勤務していたことが、アルジェリア治安当局者への取材で判明した。武力勢力の「内通者」だった可能性がある。
③ 【企業広報】 「LSI事業、統合合意」
富士通、パナソニック、ルネサスエレクトロニクスは、システムLSI(大規模集積回路)の事業統合で大筋合意した。来年度中に新会社を設立する。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【企業広報】 「イオン、外国人採用1500人」
② 【連続企画】 「狭い国土、言い訳にしない ~ネット・人類・未来」
オランダは九州程の国土だが、農業輸出は日本の30倍に達する。フードバレーと称するIT農業地区には植物工場が並び、モニター室はトレーディングルームのようだ。トマトの単位面積当たり収穫量は、日本の3倍に達する。
③ 【企業広報】 「燃料電池車開発で提携」
日産自動車・仏ルノー連合と独ダイムラー、米フォード・モーターは28日、燃料電池車の共同開発で提携することを明らかにした。2017年にも量産車を発売する。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【政府広報】 「『直下に活断層』大筋了承」
② 【独自取材】 「看板百貨店バトル」
東急東横線と東京メトロ副都心線の相互乗り入れが3月16日から始まる。沿線の池袋、新宿、渋谷、横浜の4大ターミナル駅周辺に大手百貨店の看板店が集中するが、人の流が変わる可能性がある。
③ 【独自取材】 「命吹き込む頭師の技」
ひな人形は、頭、手、装束などが分業で生産される。人形工房「新世人形」では、年間約10万個の頭(かしら)を生産している。「もっとも難しい」のは、眉を引く「面相」の工程だ。