【リグミの解説】
LCCは「パイ」を増やせるか
本日の新聞1面は、日曜日とあって、各紙とも独自色を打ち出しています。
読売新聞は、「LCC、5倍増74機に」という独自取材記事です。格安航空会社の機数が今後大幅に増えそうです。今問題になっているデフレは、物の価格が下がることで、経済全体が縮小してしまう問題です。しかし、個々の商品やサービスは、「品質が同じならば安い方がいい」となりますし、品質水準を割り切って、価格を優先する消費者も多くいます。特に給与が増えず、むしろ減る時代には、少しでも安いものを求めるようになります。
これが巡り巡って、デフレを生み出すのだと思いますが、さて航空業界はどうなるのでしょうか。鉄道や長距離バスとの競争も厳しくなりそうです。全体として人の往来が増え、地方経済が活性化すれば、全体のパイが増える可能性もあります。「パイの奪い合い」ではない、新しいマーケットを創造することができるか。航空会社以外の関連産業との連携がカギを握りそうです。
「パイの奪い合い」
朝日新聞は、「カオスの深淵」という連続企画です。今回は、小選挙区制の問題を抱えるカナダの話。過去に与党が地滑り的な敗北をしたことが話題になりましたが、小選挙区制の威力は日本以上のようです。日本では、小泉チルドレンや小沢ガールズといった候補者が大量当選しましたが、カナダでは、まったく選挙運動すらしない素人候補が当選する極端な事例が出ています。有効な変化を生み出せない既成政党に対する「NO」があり、今回の衆院選で自民党が大勝した状況と似ています。
背景には、経済のパイが増えない状況がある、と朝日の記事は分析しています。経済成長と民主主義は、相性が良い。なぜなら果実の「山分け」ができるから。ところが経済が停滞すると、民主主義は「パイの奪い合い」を始め、政治が混迷する。そこで政治が逃げ込むのが、抗議できない相手に負担を押し付けること。これから生まれてくる世代にたくさんの借金を背負せるのはその典型、と指摘します。
将来世代に負担
民主主義が成熟し、洗練されていかないと、将来に大きな禍根を残します。そうした大きな問題として、①国家の借金、②原発の放射性廃棄物の最終処分問題、③少子化・高齢化と人口減―などがあります。どれも厄介な問題です。国家の借金は、個人や企業の借金とは違いますが、身の丈以上のことをしている、という意味では同じです。
借金は本来、2つしかありません。1つは、短期にキャッシュフロー(お金の流れ、資金繰り)がマイナスになる部分を補填する短期借入金。もう1つは、将来の成長のために設備を買ったり、人を増やしたりする投資の原資としての長期借入金です。こちらは将来に「パイが増える」ことを前提にしたもの。問題は、本当に経済が成長し、借金をたくさん減らせるほど税収が増やせるかです。
「負のパイ」の山分け
今日の産業は、製造工程で出る廃棄物や製品の最終処理の問題まで考えるのが常識ですが、なせか原発だけはこの常識が適用されていません。原発3大国の米国、フランス、日本は、核廃棄物の最終処理問題に答を用意できていません。この問題の専門家である田坂広志さんは、核廃棄物の「壁」が迫っており、原発推進と原発反対に関わらず、政権は直ちに核廃棄物の最終処理というバックエンド問題に対処しなければならない、と警告しています(日経BPO「安倍新政権に立ちはだかる『核廃棄物』の壁」)。
安価でCO2も少なく、安定した電源と思われた原発。しかし、迫りくる「核廃棄物の壁」を前に、原発エネルギーの恩恵を受けてきた都市圏は、廃棄物を地方に押し付けて終わりにはできなくなってきています。隠されていた「負のパイの山分け」をする覚悟がないと、問題は解決しないかもしれません。
「量」から「質」へ
そして少子高齢化と人口減の問題です。結局、国家の借金も、原発廃棄物の最終処分も、日本の次世代に負担を押し付けず、どう問題解決の道筋をつけるかということに帰着します。本気で若者や子供たち、そして未来に生まれてくる赤ちゃんたちのことを考えたら、問題の先送りはできないはず。単純にパイを増やす発想では、問題は解決しないと思います。なぜなら、そこには常に「量」で解決しようとする発想があるからです。今本当に必要なのは、「質」を転換していくことではないでしょうか。
パイは増えないかもしれない。しかしパイの中味がどんどん効率化し、変化し、気づくと決まったパイの中で、より「質」の高い生活や社会の在り方が見えてくる。今は夢想のようなことでしかないとしても、知恵を出し合えば、確実に変化を生み出せる可能性があります。「パイの奪い合い」ではなく、「パイの与え合い」に発想を転換すれば、自ずと「量」よりも「質」に目を向けることになるのではないでしょうか。そんな「利他の経済学」によって、「パイ」の意味を見直してみたいと思います。
(文責:梅本龍夫)
① 【独自取材】 「LCC、5倍増74機に」
② 【政府広報】 「最後の犠牲者、遺体帰国」
アルジェリアの人質事件で、最後に身元が確認された日揮の最高顧問(元副社長)の新谷正法さんの遺体が26日、成田空港に到着した。
③ 【独自取材】 「日銀法改正圧力に危機感」
政府と日本銀行の共同声明の作成をめぐり、政府が日銀総裁の解任権を持つべきとする強硬論が出ていた。危機感を持った日銀は、解任権を封じるために、自らインフレ目標の達成時期の「前倒し」を決定した。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【連続企画】 「風に乗ったベガスガール ~カオスの深淵」
② 【政府広報】 「4K放送、来年7月」
総務省は、次世代の高画質テレビ技術「4K」を使った放送を、2014年7月に開始をさせる方針を決めた。世界初となるもので、衛星放送のCSで始め、BS、地上波に広げる。
③ 【独自取材】 「ロケットスタート支えた訓練ノート」
第2次安倍内閣が発足して1ヵ月。安倍首相は「ロケットスタート」に賭けた。その陰には、失意の時期に書きためたノートが存在した。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【政府広報】 「教師の体罰は『いじめ』」
② 【連続企画】 「次世代担う覚悟 ~ストーリー」
自民党青年局長の小泉進次郎(31)と民主党幹事長の細野豪志(41)に共通するのは若さとルックスの良さだけではない。次世代のリーダー候補として、「党の顔」になろうとしている。
③ 【政府広報】 「新谷さん遺体帰国」
アルジェリアの人質事件で、日本人犠牲者10人のうち最後に死亡が確認された日揮の最高顧問(前副社長)の新谷正法さん(66)の遺体が26日、成田空港に到着した。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【独自取材】 「製造業、温暖化ガス14%減」
② 【連続企画】 「ゲーム1000年、枯渇を克服 ~ネット・人類・未来」
米ゲームデザイナーのジェーン・マクゴニガルは、1000年続くゲームを提唱する。ゴールはエネルギー問題の解決だ。ネットで世界中から節電のアイデアを募り、ポイントで評価する。プレー期間は一生。人間は遊び好き。ネットでのゲームは、様々な難題に「解」をもたらす可能性がある。
③ 【政府広報】 「最後の1人帰国」
アルジェリアの人質事件で、日本人犠牲者10人のうち最後に死亡が確認された日揮元副社長の新谷正法さん(66)の遺体が26日、成田空港に到着した。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【独自取材】 「若者と相撲、綱(TSUNA)げたい」
② 【政府広報】 「体罰もいじめ、報告義務」
自民党が検討する「いじめ防止対策基本法案(仮称)」の骨子案が26日、判明した。教諭による体罰もいじめと位置付ける。また死亡や大けが、長期欠席を伴う「重大事案」について市町村長らへの報告を義務化するのが特徴。
③ 【政府広報】 「新谷さんも無言の帰国」
アルジェリアの人質事件で、日本人犠牲者10人のうち最後に死亡が確認された日揮の最高顧問の新谷正法さん(66)の遺体が26日、成田空港に到着した。