2013.01.24 thu

新聞1面トップ 2013年1月24日【解説】健全な国家像

新聞1面トップ 2013年1月24日【解説】健全な国家像


【リグミの解説】

オバマ大統領の就任式
オバマ米大統領が2期目の就任式で、「銃規制」「同性愛者の権利」「気候変動への取り組み」「移民制度改革」などについて触れました。シカゴ大学法科大学院で、オバマ氏
と共に教壇に立ったダグラス・ベアード教授は、「昨年の選挙戦であまり議論されなかった課題が集中的に取り上げられたことに驚いた。自分の政治家人生が終点に近づき、やりたいことを率直に言うべきだと大統領が自覚したということだと受け止めた」と語っています(読売新聞1月23日朝刊6面)。

オバマ氏は、米国大統領としての仕上げの仕事を始めるにあたり、リベラリズムを前面に打ち出し、自分の理想がどこにあるかを明確にしたのだと思います。リンカーンの奴隷解放宣言をした1862年9月から150年、キング牧師が公民権運動で人種の壁を超えた社会の夢を語った1963年8月の演説から50年経った時期に、オバマ氏の2期目が始まります。人々の「公正」(フェアネス)を打ち出すリベラリズム。「自由」(フリーダム)の価値を第1に置く共和党系の保守派とは、主張が真っ向から対立しています。

リベラリズムと保守主義
リンカーン大統領とキング師を意識するといわれるオバマ大統領は、これから4年間で米国をどこに導いていくのでしょうか。「1つのアメリカ」を諦めて、米国の歴史の大き
な潮流のひとつであるリベラリズムの価値を大きく開花させていくのか。それとも保守派をも納得させる米国流のプラグマティック(実用主義的)な現実解を目指していくのか。注目したいと思います。

衆院選で大勝した自民党の安倍首相は、どうでしょうか。第1次内閣の時は「美しい日本」というキーフレーズを掲げました。今回は、「日本を、取り戻す」。自主憲法、国防軍、強い外交姿勢、歴史問題への言及内容など、保守色が強い印象があります。海外メディアは、右傾化に対する懸念を打ち出しています。米国では、保守系からオバマ氏を「社会主義者」と批判する声がありますが、日本のメディアは客観的、中立的で価値観の論評を避けています。なぜでしょうか。

オバマ氏と安倍氏の違い
ここで検証を経ていない、少々乱暴な仮説を提示したいと思います。オバマ氏のリベラリズムは、米国の良き伝統に根差した「主義」を継承するものであり、人類史的に見て
も、その主張には普遍的な価値があるのではないか。これに対して、安倍氏の保守主義の主張は、日本の歴史や伝統を本当にフェアに評価し継承するものであるか不明な点が多い。その主張には特殊性が多く、人類が普遍的に共有する価値を見出しにくい。そういう見立てではないのかと感じます。

事はリベラリズムが良いのか、保守主義こそ正しいのか、という価値評価や選択の問題ではありません。2つの異なる立場、「主義」を貫く普遍的な何かがあれば、対立する主張が折り合い、融合し、進化した新しい時代を創造していくことは可能です。「自由」と「公正」は二項対立の関係にありません。互いを補完し合い、「1つのアメリカ」という理想に向けて推進させていくエンジンであり、クルマの両輪です。そのような可能性を常に実感できるからこそ、米国はどれほど分断されても、2大政党のダイナミックな運動を経て進化していけるのだと思います。

日本の健全な国家像
翻って日本はどうか。安倍政権は、新経済政策で足元の景気が浮上するのではないかという期待で、支持率も上昇しています。その現実主義的な対応についても、政策の論評
は必要ですが、それ以上に安倍首相が日本をどこに導こうとしているのかについて、もっと真剣な議論が成される必要があります。夏の参議院選までに経済を回復し、参院でも勝利して安定した政権を作ることで、日本の未来像づくりに本格化するというのが安倍氏の構想のようです。であるならば、その姿がどのようなものなのか。

経済は「体」のようなもので、政治的な理想は「心」にあたります。長い目で見れば、「心の健康」(健全な民意)こそが、「体の健康」(国力)の礎になります。健全な国家像とは何か。戦後が終わり、新しい時代を迎えた今、日本人が真剣に探求しなければならないテーマが、ここにあります。

(文責:梅本龍夫)
 





① 【独自取材】 「新たに2邦人死亡確認」

  • 政府は、アルジェリア東部イナメナスでの人質事件で、安否不明の日本人3人のうち、2人の死亡を確認した。
  • 関係者によると、2人のうち1人は、派遣社員・内藤文司郎さん(44)であることがわかった。
  • 安否不明の残る1人は、出張で現場を訪問していた大手プラントメーカー「日揮」の最高顧問(元代表取締役副社長)の新谷正法さん(66)であることがわかった。


    ② 【政府広報】 「軽減税率8%時見送り」
    自民、公明両党は23日、食料品などの消費税率を低く抑える「軽減税率」を、公明党が主張していた2014年4月の8%増税時ではなく、2015年10月の10%増税時に導入を目指すことで合意した。

    ③ 【政府広報】 「那覇第2滑走路工期短縮」
    政府・与党は、年内着工予定の那覇空港第2滑走路について、沖縄県の要請に応じ、工期を少なくとも1年短縮する方向で調整している。

     

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 





① 【政府広報】 「道路特定財源、復活へ」

  • 自民党税制調査会は23日、消費増税に伴って自動車取得税を廃止し、自動車重量税については減税のうえ「道路特定財源」にする方針を打ち出した。
  • 取得税は「地方税」のため財源を失う地方自治体の反発が大きい。このため重量税を道路特定財源にすることで、地方の道路整備などに回すが、かつての自民党政権で「無駄な道路づくりの温床」となった仕組みの復活となる。
  • 生活必需品の消費税率を低くする「軽減税率」については、2015年10月の10%増税時に導入を目指すことで合意した。


    ② 【政府広報】 「新たに2人死亡確認」
    菅官房長官は23日、アルジェリア東部イナメナスでの人質事件で、安否不明の日本人3人のうち、2人の死亡を新たに確認したと発表した。

    ③ 【政府広報】 「生活保護、最大10%減」
    厚生労働省・自民党は23日、生活保護のうち生活費にあたる「生活扶助費」を、3年間かけて約800億円減らす検討に入った。子供がいる世帯などで最大10%の引き下げとなる。

     

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 





① 【政府広報】 「日本人死亡9人に」

  • 菅官房長官は23日、アルジェリア東部イナメナスでの人質事件で、安否不明の日本人3人のうち、2人の男性の死亡を新たに確認したと発表した。同事件で死亡が確認された日本人は、計9人になった。
  • 政府が派遣した警察関係者や日揮関係者が、首都アルジェに搬送された国籍不明の複数の遺体の中から歯型などで確認した。
  • 菅氏は、犠牲者の氏名公表について、「会社(日揮)を通して家族に照会しているが、大変動揺していて『勘弁してほしい』ということだ。今の時点で公表するつもりはない」と述べた。


    ② 【政府広報】 「生活保護6~7%減」
    政府・与党は23日、生活保護費のうち日常生活費にあたる「生活扶助」を6~7%カットする方向で調整に入った。


    ③ 【独自取材】 「柏崎刈羽、活断層か」
    東京電力柏崎刈羽原発の直下を走る複数の断層が、活断層と判定される可能性が高まった。東電の公表資料などから判明した。

     

(毎日jp http://mainichi.jp/
 





① 【企業広報】 「東芝・GE、火力で合弁」

  • 東芝と米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、火力発電設備の開発・販売を目的とする合弁会社を年内にも設立する。詳細はこれからだが、折半出資となる見通しだ。
  • GEのガスタービンを組み込んだ燃焼効率の高い天然ガス用の発電設備を共同開発する。東芝は日本市場に強く、GEは米欧やインドなどの新興市場に強い。
  • 世界で新設される発電所の投資額は、2035年までの850兆円と予測されている。火力発電能力は、同年に2009年比で7割増える見通し。CO2排出が石炭の半分とされる天然ガスが主流となる見込み。


    ② 【政府広報】 「2邦人死亡確認」
    菅官房長官は23日、アルジェリア東部イナメナスでの人質事件で、安否不明の日本人3人のうち、新たに2人の遺体を確認したと発表した。

    ③ 【政府広報】 「電力制限、命令前に勧告」
    経済産業省は、電力需給が逼迫したときに節電に動きやすくするために、罰則(罰金)を伴う電力使用制限令の前に、罰則のない節電の「勧告」をする仕組みを検討している。

     

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 





① 【独自取材】 「海洋汚染、対策後回し」

  • 東京電力は、福島第1原発事故後で建屋にたまった高濃度汚染水が、海に漏れる危険性を知りながら、対策を後回しにしていた。東電が今回公開した社内テレビ会議映像で明らかになった。
  • 東電は3月20日前後、放射性物質が海に流れ込む可能性を非常に気にしていたが、24日に3号機タービン建屋地下で作業員らが高濃度汚染水で被曝。汚染水の移送先の確保に追われ、海への漏出防止策が後回しとなった。
  • 早い段階で立て坑をコンクリートでふさいでいれば、海への漏出を防げた可能性が高い。東電は、「汚染水の海への漏出を把握したのは4月2日が最初で、その時点でできる対応をした」と釈明した。


    ② 【政府広報】 「新たに2人死亡確認」
    菅官房長官は23日、アルジェリア東部イナメナスでの人質事件で、安否不明の日揮の日本人従業員3人のうち、新たに男性2人の遺体を確認したと発表した。

    ③ 【企業広報】 「3地区に大型ビル5棟」
    JR東日本、東急、東京メトロは23日、東京・渋谷駅周辺の3地区で5棟のビルを、2027年までに建設する都市計画案を都に提出した。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




【本日の新聞1面トップ記事】アーカイブ