【リグミの解説】
アルジェリアの欧米不信感
アルジェリアでの邦人人質事件は、依然として全容がわからない状況が続いています。アルジェリアの情報相の話として、人質の死者数がさらに増える可能性が指摘されています。
毎日新聞の3面に掲載された小倉・欧州総局長の解説記事によると、「アルジェリアでテロが続発するようになったのは、軍が民主化をつぶしたことが原因」とのこと。チュニジアで始まった「アラブの春」は2年前のことですが、アルジェリアでは1988年から民主化の動きがあり、1991年の民主的選挙でイスラム主義政党が圧勝しました。しかし翌1992年に軍がクーデターで政権を掌握。これを欧米が黙認したことで、アルジェリア市民の欧米不信が一気に高まり、その不満が過激なイスラム主義に向かいました。日本や欧米政府が繰り返し人命保護優先の要請をしたのもかかわらず、アルジェリア政府が無視した背景には、アルジェリアの根深い欧米不信がある、と解説しています。
昨日の東京新聞27面の「こちら特捜部」でも、欧米不信の背景を解説しています。過去の植民地支配、その後の民主化に関する二重基準に加え、「アラブの春」を機に無警戒なまま「パンドラの箱」を開け、その脅威にうろたえる欧米の迷走ぶりに対する不信が、アルジェリア政府の軍による強硬策に走らせた背景にあると指摘します。一方、民放のテレビ番組の解説では、アルジェリアの経済は欧米等に輸出する天然資源に依存しており、重要施設が破壊されないことを優先したのではないか、との観測も出ていました。
イスラム圏との和解
今回の事件で、「イスラム=過激派」というレッテルが貼られ、宗教や民族の対立が一層強まることを懸念しています。イスラム教の教義そのものが、一神教のルーツを共有するユダヤ教やキリスト教と比べて、原理的に過激であるとか、排他的で狭量であるということはないと思います。生活など規律を厳格に定めているとしても、その教えが他者に対して戦闘的になることを教唆することは本来ないはず。
にもかかわらず、なぜ今日の世界はこれほどイスラム系の武装勢力が跋扈(ばっこ)するようになったのか。植民地主義の過去をもつ「欧米先進国」と「イスラム圏」の対立の歴史を過去の遡って紐解き、和解の道筋を見つける必要があるのではないでしょうか。
日本の立ち位置
先に引用した東京新聞の記事の続きです。「今回の事件では、日本人が例外扱いされることはなかった。かつて、日本には欧米とは一線を画した対イスラム友好外交の蓄積があった。だが、イラク戦争への事実上の参戦など対米追随外交の結果、過去にあった友好の『貯金』はすでに使い果たされている」。
9.11以降、テロに対して妥協しないことは、世界中の国々の基本姿勢となっています。しかし、「拳(こぶし)」に対して「拳」で返す対応だけでは限界があります。むしろ、矛盾やひずみが広がり、事態は何倍も深刻な姿になって戻ってきます。握った「拳」を包み込む「握手」の両手を誰がどうやって差し出すか。
キリスト教とイスラム教の和解を取り持てるとしたら、その筆頭格に上げられるのが日本のはずです。日本が戦後積上げてきた「平和主義」の姿勢を、今一度原点に戻って考察し、複雑混沌とした現代世界における自分たちの「立ち位置」をしっかり築くべき時だと思います。
(文責:梅本龍夫)
① 【政府広報】 「政府専用機派遣へ」
② 【企業広報】 「日揮『厳しい状況』」
日揮の遠藤広報・IR部長は21日、安否不明の日本人10人と外国人7人について、「総合して判断すると、厳しい状況です」と述べた。
③ 【発表引用】 「人質『23人死亡』」
アルジェリア内務省は19日、イスラム武装勢力への攻撃が修了し、人質23人、武装勢力メンバー32人が死亡したと発表した。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【発表引用】 「人質死亡23人確認」
② 【連続企画】 「技術のみ込み膨らむ竜 ~限界にっぽん」
ハイテクの粋を集める液晶やプラズマディスプレーは、高価な生産設備を買う資金力があり、工場稼働の世話を焼く外国人がいれば、後発国でも容易に参入できる。中国は、技術をのみ込み膨らむ竜のようだ。
③ 【政府広報】 「城内政務官、現地入り」
菅官房長官は21日未明、人質事件でアルジェリア入りしていた城内外務政務官と日揮の川名社長が、事件現場のイナメナスに到着したことを明らかにした。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【発表引用】 「人質ら23人死亡確認」
② 【行政広報】 「センター試験問題持ち出し」
大学入試センターは20日、長崎市の活水女子大試験場で19日に実施したセンター試験で、女子受験生が問題冊子を不正に持ち出し、試験場外の予備校講師に渡した、と発表した。
③ 【政府広報】 「政府専用機の派遣準備」
菅官房長官は21未明、無事が確認された邦人7人の帰国のため、政府専用機をアルジェリアに派遣する準備に入ったことを明らかにした。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【発表引用】 「『人質23人死亡』発表」
② 【連続企画】 「授業作り、企業も担い手 ~大学開国」
世界と戦える大学や学生を育てるには、国も企業も社会も応分な負担をし、みなで支え合う覚悟が必要だ。
③ 【政府広報】 「外務政務官ら現地入り」
菅官房長官は21日未明、城内外務政務官と日揮の川名社長が、日本人の安否確認のため、イナメナスに入ったことを明らかにした。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【独自取材】 「廃止・見直し、続々復活へ」
② 【発表引用】 「内務省『人質23人死亡』」
アルジェリア南東部イナメナスでの人質事件で、アルジェリア内務省は19日、3日間にわたる軍事作戦で、人質23人と武装勢力32人が死亡したと発表した。
③ 【独自取材】 「銭湯に奇跡の一本松」
千葉県の銭湯に、東日本大震災での津波に耐えた「奇跡の一本松」の壁画がある。千葉市の主婦が本紙に投書で紹介。市外から絵を見に来る人もいる。