【リグミの解説】
「巨人・大鵬・卵焼き」
戦後の高度経済成長期は、1954年から1973年までと言われます。それは、国民がひとつの方向に束ねられ、一直線に邁進していった時代です。国民生活を底上げする「三種の神器」と言えば、1950年代後半が「白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫」、1960年代後半には「カラーテレビ・クーラー・自家用車」になりました。嗜好や価値観もまだ多様化されておらず、多くに人々が共有する「好き」も共通項がありました。それが「巨人・大鵬・卵焼き」。日本中の子供たちがみんな好きなもの、と称されました。
大相撲の黄金時代を築いた元横綱・大鵬の納谷幸喜さんが亡くなりました。1956年に初土俵を踏み、幕内優勝32回、うち全勝優勝8回、6連覇2回、45連勝、といった華々しい成績を残し、1971年に引退しました。正に高度成長期の国民の高揚感を体現してくれた不世出の大横綱でした。巨人の黄金時代の9連勝を牽引した長島と王は、ONと呼ばれ、「記録の王、記憶の長島」とも言われましたが、大鵬は、「記録と記憶が1つに重なる国民的ヒーロー」でした。
裸一貫で築き上げたもの
その元大鵬・納谷さんは、巨人と並び称されることを嫌ったそうです。「冗談じゃない。俺は裸一貫でやってきたんだ。金で選手を集めて強くなった巨人とは違うんだ」(東京新聞1面の評伝)。「天才」と評されることも極度に嫌がりました。
高度成長期は、日本がどんどん物質的に豊かになっていった時代。巨人は、物質的な豊かさを集約すれば、どれだけ強くなれるかの象徴だった、とも言えます。大鵬は、それとは違う側面の体現者でした。日本は文字通り裸一貫の貧者として戦後をスタート。そこから「忍」と「努力」で這い上がり、大きく開花する姿と、大鵬の活躍は重なっていました。
時代は変わりました。今、国民生活を豊かにする3つの商品を挙げようという発想はありません。その時々の人気のスポーツやアイドルがいても、時代を10年単位で象徴できる存在はいないのではないでしょうか。大相撲も変貌しました。角界の「ウィンブルドン化」が進み、大相撲を引っ張るのはモンゴル勢を中心として外国人力士です。大相撲は、度重なる不祥事と八百長問題で何度も揺れました。
偉大なスポーツ選手、チーム、あるいは政治家や経営者、学者やアーティストでも、その偉大さは時代の反映でもあります。偉大なものが育っていった時代の土壌を大切にしなければ、次代でさらに発展していくことはできません。
「忍」から「夢」へ
納谷幸喜さんは、大鵬部屋を後進の大嶽親方に譲るときに、直筆の「夢」の字を贈りました。納谷さんは本当は別の字を書きたかったそうです。信条は「忍」でした。「刃に心。なにしろ心なんだよ」。しかし時代は「忍」を求めても、若者がついてこれなくなっていました。
大嶽親方の希望もあり、より前向きな「夢」に落ち着きました(東京新聞評伝)。「忍」とは「しのぶこと。こらえること。がまんすること」(広辞苑)。偉大な先人が目に見えないところで刻苦勉励して創り上げた戦後という土壌。そこに開花した大輪の花だけを見て、次代の「夢」を語るのは、片手落ちです。
ただ耐え忍ぶ努力を若者に求められる時代ではありません。体罰や非科学的なしごきは論外。しかし、甘えを許し、心身を鍛えなければ、次代の「夢」はどんどん萎んでいきます。21世紀の日本が必要としいるもの。それは人一倍努力し、創意工夫するのは「楽しい」という実感です。
自分たちには、潜在能力という土壌がある。そこに水を撒き、一所懸命努力すれば、素晴らしい花が咲くという希望を共有できる、新しい時代の「物語」が求められています。わくわくし、文字通り夢中になって取り組むうちに、「夢」がいつの間にか開花している。元横綱・大鵬の納谷幸喜さん遺してくれた「夢」の一字を、大鵬と同時代を生きたシニア世代は、次世代に継承する義務があります。
(文責:梅本龍夫)
① 【発表引用】 「法人複数死亡、不明」
② 【発表引用】 「元横綱・大鵬死去」
大相撲で最多の32回の幕内優勝を誇る第48代横綱大鵬の納谷幸喜さんが、心筋頻拍のため死去した。72歳だった。
③ 【独自取材】 「鵬翔、初V」
第91回全国高校選手権サッカーの決勝戦が国立競技場で行われ、鵬翔(宮城)が京都橘(京都)を破って初優勝を果たした。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
① 【発表引用】 「邦人死亡の情報、伝達」
② 【発表引用】 「元横綱・大鵬死去」
大相撲で歴代最多の32回の幕内優勝を果たした元横綱大鵬の納谷幸喜さんが、心筋頻拍のため死去した。72歳だった。
③ 【政府広報】 「軽減税率見送り」
安倍政権は19日、消費増税時に生活必需品の税率を低くする軽減税率について、2014年4月の8%引き上げ時の導入を見送る方針を固めた。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
① 【発表引用】 「日本人人質死亡か」
② 【発表引用】 「元横綱・大鵬死去」
大相撲史上最多の32回の幕内優勝を果たした元横綱大鵬の納谷幸喜さんが、心筋頻拍のため死去した。72歳だった。
③ 【人物物語】 「77歳、激烈で危うい挑戦 ~ストーリー」
蜷川幸雄は、77歳の今も、過激でセンセーショナルな舞台づくりをしている。イスラエルのテルアビブで上演した「トロイアの女たち」でもその姿勢は変わらない。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
① 【発表引用】 「邦人死亡の情報」
② 【連続企画】 「経営力ある人材結集 ~大学開国」
大学を国際的なレベルで改革するには、「研究業績、英語力、決断力」が必要。大学内部者は、外部からの招聘者に比べ、危機意識が薄い。大学は、ガバナンスとマネジメントを備えた「知の経営体」へ脱皮する必要がある。
③ 【発表引用】 「元横綱・大鵬死去」
大相撲史上最多の32回の幕内優勝を達成した元横綱大鵬の納谷幸喜さんが、心筋頻拍のため死去した。72歳だった。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
① 【発表引用】 「『柏鵬時代』築く」
② 【発表引用】 「『人質7人を殺害』」
アルジェリア南東部の人質事件について、国営アルジェリア通信は、「武装勢力がプラント内で人質にしていた7人全員を殺害し、その後に軍が武装勢力11人を掃討した」と伝えた。
③ 【発表引用】 「『水俣条約』で合意」
水銀による環境汚染や健康被害を防ぐ条約制定のための国連の政府間交渉は19日、水銀の輸出規制などの条約案に合意。名称は日本案の「水銀に関する水俣条約」に決まった。