【リグミの解説】
本日の新聞1面のトップ3記事の「スタンプ」
読売新聞:
① 【政府広報】 「キャリア教育、高校必修に」
② 【企業広報】 「トヨタ世界1奪回」
③ 【独自取材】 「大雪、首都圏混乱」
朝日新聞:
① 【政府広報】 「省エネ耐震住宅、減税拡充」
② 【独自取材】 「大雪、けが350人超」
③ 【政府広報】 「富裕層増税、2015年から」
毎日新聞:
① 【政府広報】 「耐震基準適合ビル4割」
② 【独自取材】 「薬物相談1桁、10ヵ所 ~精神保健センター」
③ 【独自取材】 「首都圏大雪、都心で8センチ」
日経新聞:
① 【政府広報】 「生保の現物給付解禁」
② 【シリーズ】 「結婚・独り立ち、遠い夢 ~働けない若者の危機」
③ 【政府広報】 「8%時、見送りの公算 ~消費税の軽減税率」
東京新聞:
① 【独自取材】 「『追い出し』住民困惑」
② 【独自取材】 「大雪、首都圏を直撃」
③ 【独自取材】 「都、周知に触れず ~震災復興マニュアル」
量の世界1
本日の読売の1面2番記事は、「トヨタ世界1奪回」です。2012年の世界販売台数が970万台(ダイハツ工業、日野自動車を含む)となり、過去最高を記録し、2年ぶりに世界1に返り咲きました。東日本大震災と体の洪水で大幅減産となった昨年の反動増に加え、北米、アジア市場で販売好調だったことが要因です。
トヨタは、2009年から2010年にかけて、北米でのリコール問題も起き、巨大化し世界1に上り詰めた企業の課題を浮き彫りにさせました。2011年の相次ぐ自然災害に加え、昨年は中国での反日運動によって日本車排斥も起きました。
競争相手に目を転じれば、販売台数世界1を目標に掲げる独フォルクスワーゲングループ、倒産後に急速に経営を回復させた米ゼネラルモーターズと激しいトップ争いを演じています。また、品質とデザイン面での商品力を急速につけ、日本車を凌駕したとも言われる韓国車と世界中で競合しています。
質の世界1
そんなトヨタに求められているのは、「量の世界1」だけではありません。「質の世界1」こそ、トヨタが「日本のものづくり」の総本山としての矜持を示す領域ではないかと思います。初代レクサスLSが北米にデビューしたとき、その静粛性の高さに世界中が驚愕し、品質と比較してリーズナブルな価格と相まって、高級車の基準を塗り替えました。
世界初の量産ハイブリッド車の初代プリウスが生まれた1997年当時は、今と違いエコはまだメジャーな価値基準ではありませんでした。欧州メーカーは、その試みを見下していました。しかし、15年後の今日、欧州メーカーも次々とハイブリッド車を投じ、レースにおいてもハイブリッドが台頭してきています。今や単なるエコから、高性能と高効率の両立の切り札のひとつになっています。
トヨタは、当面のエコの現実解は「プラグイン・ハイブリッド」にあるとの立場ですが、将来を見据え、究極のエコと言われる燃料電池車(水素と酸素の化学反応で得られる電気エネルギーを利用、排出されるのは水だけ)の開発でも先頭集団にいます。またクルマの安全化への取り組みでは、完全自動運転を視野に、こちらも最先端の取り組みをしています。
変革のリーダー
トヨタは販売台数などの目標を公言しない経営をしてきましたが、ユニクロの柳井社長のように、量の世界1が目標と公言する企業家はすくなくありません。フォルクスワーゲンが量のナンバーワンを目指すのも、それがコスト効率に大きなメリットがあるからです。経営の合理性のみならず、世界1になることは、企業として名誉なことであり、企業家のモティベーションともなっています。
しかし、「世界1」の企業には、実はもっと深いテーマが与えられています。それは、今日のグローバル経済の中で、如何にして持続可能な調和の取れた社会を創造するか、というテーマです。有限の化石燃料に依存しないクルマ、CO2などの廃棄物をまき散らさないクルマ。究極の安全性の追及。廃車になっても資源をできるだけ100%再利用できる環境システムの構築。
尊敬される会社に
そして、企業に求められる足元のもっとも地道な使命は、雇用です。「仕事」は、単に生きるための糧を得る行為ではありません。雇用を生むことは、税金を納めることと同様に、企業の最も基本となる使命といえます。トヨタは、東日本大震災の復興に際し、国内雇用を守ると宣言しました。その証が、プリウスに続くハイブリッドのヒット商品「アクア」をすべて岩手工場で生産する取り組みです(参照:日経NBO)。
「働く」は「傍(はた)を楽にする」という言い換えができる、と言われるように、お互いを助け合う人間として最も基本の活動が「仕事」です。他者を助ける行為(利他)は、人間の尊厳を高めます。雇用の創造には、そういう本質的な意味があります。トヨタには、非正規雇用問題など、格差が進む日本の雇用環境に一歩も二歩も踏み込み、「利他の経済」を実践する「世界1尊敬される会社」を目指してもらいたいと思います。
(文責:梅本龍夫)
【記事要約】 「キャリア教育、高校必修に」
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
【記事要約】 「省エネ耐震住宅、減税拡充」
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
【記事要約】 「耐震基準適合ビル4割」
(毎日jp http://mainichi.jp/)
【記事要約】 「生保の現物給付解禁」
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
【記事要約】 「『追い出し』住民困惑」