【リグミの解説】
あけましたおめでとうございます
アジアの成長
元旦の新聞1面トップは、原発関連が2つ(毎日、東京)、沖縄の基地問題が1つ(朝日)、サイバー攻撃が1つ(読売)、そしてアジア経済が1つ(日経)です。1年の始まりにふさわしい記事はどれでしょうか。
未来に跳ぼう、というメッセージを発する日経の記事は、アジアの時代を実感させるものです。2050年のアジア全体のGDPは、2013年の8倍となり、世界の5割以上を占める一大経済圏となります(アジア開発銀行の予測)。
日本の成長
日本の『経済白書』が「もはや戦後ではない」と記したのが1956年。戦後の復興需要と朝鮮戦争の特需が一巡し、経済が低迷するという予測でした。実際には、「戦後ではない」は、「高度成長の始まり」を意味しました。1956年のGDPが実質ベースで8倍に達したのは、32年後の1988年です(参照:Wikipedia)。
アジア開銀が予測するアジアのGDP成長は、37年間で8倍です。記事のデータのGDPが名目か実質かは明記されていませんが、仮に実質GDPだとしたら、日本の高度成長の軌跡が、今度はアジア全体で再現されることになります。これは注目すべきこと。日本に閉じこもっている場合ではありません。
子供の成長
経済の高度成長を、子供の成長に置き換えると、わかりやすいです。生まれたばかりの赤ちゃんの体重は約3キロ、身長は約50センチです。体重は半年で2倍以上に増え、小学校2年生の7歳で約8倍の24キロになります。身長も2.5倍の123センチまで伸びます(参照:子供・平均体重)。もちろん子供の体重、身長は、その後も成長し続けます。
経済の成長が、すべての問題を解決するわけではありません。日本の高度成長期には、公害問題などさまざまな負の側面もありました。しかし、そうした側面も克服しながら、日本は今日の地位を築きました。問題は、これからです。経済は、政治、社会、文化の基盤です。良質な経済活動をどう維持発展させるのか。
心の成長
これから経済成長の果実を得るアジアなどの地域に積極的に打って出るとともに、日本の国内経済の在り方を再設計し、持続可能な活き活きとした社会を創造する経済の在り方を、私たちは真剣に追求する必要があります。
12月30日の「リグミの解説」に記したように、「心の国境」を拡大し、グローバル・ニッポンとして、大きなチーム創りを進めることが、ヒントになります。それは、モノ(経済)の成長だけではなく、心(文化や生き方)の成長にも大きく貢献することになると思います。
今年もリグミをよろしくお願い致します
(文責:梅本龍夫)
【記事要約】 「農水機密サーバー流出」
- 農林水産省がサイバー攻撃を受け、機密文書が海外に流出した疑いがあることが判明した。対象は、2011年10月から2012年4月に作成された環太平洋経済連携協定(TPP)交渉などの内部文書20数点を含む延べ3000点以上。
- 農水省へのサイバー攻撃のイメージは、以下の通り。①攻撃者が農水省PCに対してウィルス感染、②攻撃者が韓国内のサーバーを経由して遠隔操作、③韓国内サーバーを経由して情報が攻撃者に流出―。
- 2011年11月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)があり、2012年4月には日米首脳会談があった。その時期に作成された内部文書が流出したとみられ、日本の外交方針が筒抜けになっていた可能性がある。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
【記事要約】 「つぶやきながら現場歩いた ビリオメディア(1)」
- ツイッターを使った取材を試み、沖縄をつぶやきながら歩いた。そのアンテナに反応したのが、沖縄県宜野湾市の高校3年、志村早紀さん。「沖縄の現状を知ってほしい」。
- 「経済的にやっていけるなら、本当はない方がいいんだけど」。志村さんの口調には、基地反対とは言い切れない迷いもにじむ。沖縄の基地が全部なくなって、沖縄の安全は守れるのか、疑問は尽きない。
- 志村さんと友人4人は、ファーストフード店で語り合う。話は平行線を辿るが、共通するひとつの思いがある。それは、本土でも、米軍基地を自分の問題として考えてほしい、ということ。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
【記事要約】 「原発10基超、防火に不備」
- 原子力規制庁と経済産業省の関係者によると、全国にある原発10数基で、火災対策上の不備が指摘されている。可燃性のケーブルを使用していたり、安全上重要な機器が近接し、延焼の恐れがある。
- 可燃性ケーブルを使用する原発は、以下の通り。▽東京電力=「福島第1原発5号機」、▽関西電力=「美浜原発1号機、2号機、3号機」「高浜原発1号機、2号機」「大飯原発1号機、2号機」、▽中国電力=「島根原発1号機」、▽四国電力=「伊方原発1号機」、▽九州電力=「玄海原発1号機」、▽日本原電=「敦賀原発1号機」「東海第2原発」―。
- ケーブルは1基当たり1000~2000キロあり、安全上重要なものだけで数100キロある。ケーブル交換や設備改修には時間がかかるため、経産省では数年単位で再稼働が遅れることを想定している。また高コストを回収できず、廃炉に追い込まれるケースも想定している。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
【記事要約】 「世界の5割経済圏 ~アジア跳ぶ①」
- アジアの経済成長が新しいステージに入った。成長の波は、中国、韓国から、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドに広がっている。
- アジアの消費総額は、2020年に14兆ドルとなり、米国を上回る。中間層は23億人と、2011年比で約6億人増える(英調査会社ユーロモニターのデータ)。アジアのGDPは、2013年に世界の約3割に達する。さらに2050年には、2013年の8倍に成長し、世界のGDPの5割を超える(アジア開発銀行の予測)。
- 一方の日本は、「品質さえよければ売れるという昔の成功体験を捨てきれていない」(タイの消費財最大手サハ・パタナプビン・グループ会長)。日本の時計の針は止まったままだ。ネジを巻き直し、成長の現場に飛び込もう。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
【記事要約】 「原発マネー保育まで」
- 東京新聞は、原発や核燃料サイクル施設のある23の立地自治体の原発マネー(電源立地地域対策交付金)の使途を調査した。住民サービスに計278億円が注ぎ込まれていた。
- 交付金の大半は、保育園や消防署の人件費、道路や施設の修繕費など、住民サービスの維持に不可欠な分野に注ぎ込まれていた。これらは本来、一般財源で充当すべき分野だ。
- 交付金は、原発の建設前から支払われ、運転開始後は発電実績などに応じて支給額が決まる。いわば「業績変動型ボーナス」に依存する危うい財政運営だ。過去に交付金で建てた施設の維持管理費が財政を圧迫するケースも多い。原発マネーに依存しない体質への転換が求めれる。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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