2012.12.20 thu

新聞1面トップ 2012年12月20日【解説】隣国を見て日本を考える

新聞1面トップ 2012年12月20日【解説】隣国を見て日本を考える


【リグミの解説】

韓国の大統領選
本日の新聞1面トップ記事は、読売、朝日、毎日、日経がそろって韓国大統領選の結果速報です。東京新聞も2
番記事で報道しており、5紙ともタイトルもまったく同一。韓国の大統領は、3つの点で注目されます。

1つは、当選した与党・セリヌ党の朴槿恵(パククンヘ)氏が初の女
性大統領となること。2つ目に、同氏が朴正煕(パクチョンヒ)元大統領の娘であること、そして3つ目が選挙制度です。

女性比率
読売、朝日、日経、東京の4紙は、「韓国初の女性大統領」と表現。毎日は、「東アジア発の女性大統領」。韓国
は、東アジア文化圏の特徴である儒教の価値観を日本よりも強く継承しているように見えます。長幼の序を重んじ、男尊女卑の伝統も強いとも言われます。その韓国で、日本の首相よりも強大な権力を掌握する大統領に、女性が就任しました。

韓国も日本同様、女性の社会進出が遅れているようですが、データで見ると日本の先を行っています。韓国の国会議員の女性比率は、2009年で13.7%(299人中41人)で世界85位。対する日本の衆議院は、同じ2009年のデータで11.3%(480人中54人)で97位です(衆参合計では、722人中98人で13.6%。参照:IPU)。韓国の女性国会議員比率は、一貫して増えているようですが、日本は今回の衆院選で、女性議員は38人(16人減)の7.9%に後退です(毎日JP)。

朴正煕(パク・チョンヒ)の娘
朴正煕元大統領は、1963年から1979年まで5期大統領を務め、軍事独裁・権威主義体制を築きました。当時、
月刊誌『世界』はペンネームT.K生による「韓国からの通信」という連続ルポを掲載。これを読んでいた日本人は、戒厳令のもとで反政府活動家が弾圧される様子に震撼しました。

言論を弾圧し、韓国人の自由を奪った朴元大統領は同時に、日本の経済発展をモデルに開発独裁を進め、日本の強力な経済・技術支援も受けて、「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる高度成長を導きました(Wikipedia12)。親日派でもあった朴元大統領。政治の不自由と経済の発展という、現在の中国以上にいびつな社会体制の礎を作った朴正煕の娘は、極めて民主的な手続きを経て、2013年2月に第18代韓国大統領に就任します。

韓国の選挙制度
韓国の大統領を選出する制度は、米国と違って、国民が直接投票します。従って、獲得投票数を見れば、国民
の何割が支持したのか、一目瞭然です。任期は5年となります。日本も、衆議院選があれば、過半数を獲得した政党が政権を取り、その党首が首相の指名を受ける限り、国民による首相選択も可能ではあります。しかし、それは保障されたものではなく、さらに任期も定まらず、勝手に首のすげ替えが繰り返されています。

今回の韓国の大統領選は、候補が6人でしたが、事実上の一騎打ちでした。安哲秀氏が途中で候補を降り、野党候補の文在寅氏を支持したため、終盤に大接戦となり、得票率差わずか3%で朴槿恵氏が当選しました。投票率は、前回を12.8ポイント上回る75.8%でした。

日本の仕事
12政党乱立で票の食い合いになり、漁夫の利のように自民党が大勝した日本の衆院選。投票率は59%と前回を
10ポイント下回り、戦後最低。小選挙区制の課題が浮上して、国民の意志以上に一方的な結果が繰り返される衆院選。女性議員も数、比率で減ってしまいました。

韓国が独裁体制の鬱屈のもとにあったとき、日本は曲りなりに自由主義、民主主義を堅持してきました。そしてアジアで最も成熟した民主主義国家の地位を確立しました。否、確立したと思っていました。しかし、その在り方は、綻びだらけです。

韓国モデルが良いということはありません。米国も英国も、他の先進国も欠陥だらけです。それでも、より良い政治制度、より成熟した民主主義の在り方は生み出せます。日本の実力は、まだまだ発揮されていません。政治を嘆き、諦める前に、取り組むべきことがいっぱいあります。日本の仕事が、日本の未来を創造します。

(文責:梅本龍夫)
 





【記事要約】 「韓国大統領に朴槿恵氏」

  • 韓国大統領選は19日、投開票が行われ、保守系与党・セリヌ党の朴槿恵(パククンヘ)候補が当選した。朴氏は、朴正煕(パクチョンヒ)元大統領の娘で、韓国初の女性大統領となる。
  • 朴氏は、最大野党・民主統合党の文在寅(ムンジェイン)候補との接戦を制した。得票率は以下の通り(開票率96.4%)。▽朴槿恵(セリヌ党)=51.6%(1522万8936票)、▽文在寅(民主統合党)=47.9%(1414万1365票)―。投票率は75.8%(前回比+12.8ポイント)。
  • 日韓関係について朴氏は、未来志向の関係構築を公約している。しかし、竹島問題や歴史問題では強硬姿勢を表明している。安倍新政権に対しては、当面警戒感を持って接するものとみられる。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/





【記事要約】 「韓国大統領に朴槿恵氏」

  • 韓国大統領選は19日、投開票が行われ、保守系与党・セリヌ党の朴槿恵(パククンヘ)候補が当選した。朴氏は、朴正煕(パクチョンヒ)元大統領の娘で、韓国初の女性大統領となる。初の親子2代大統領にもなる。
  • 朴氏は、革新系の最大野党・民主統合党の文在寅(ムンジェイン)候補との大接戦を制した。文氏は、途中離脱した安哲秀氏の支持を得て急激に追い上げたが、有権者は、政界で長く活動し「危機克服の準備ができている」とアピールする朴氏を選択した。
  • 「経済民主化」が大きな争点になった韓国大統領選は、保守系政権の継続が決定した。ただ、朴氏は選挙戦で李明博大統領の政策を厳しく批判しており、大企業偏重の経済政策などに変化が出る可能性がある。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/





【記事要約】 「韓国大統領に朴槿恵氏」

  • 韓国大統領選は19日、投開票が行われ、保守系与党・セリヌ党の朴槿恵(パククンヘ)候補が当選した。朴氏は、1960~70年代にかけて政権を握った朴正煕(パクチョンヒ)元大統領の娘。東アジアで最初の女性大統領で、韓国初の親子2代大統領にもなる。
  • 朴氏は、最大野党・民主統合党の文在寅(ムンジェイン)候補との大接戦を制した。得票率は以下の通り(開票率93.45%)。▽朴槿恵(セリヌ党)=51.64%(1476万8173票)、▽文在寅(民主統合党)=47.92%(1370万4156票)―。投票率は75.8%(前回比+12.8ポイント)。
  • 文氏は、IT企業家の安哲秀氏と候補一本化を図り、安氏の全面支持を得て急激に追い上げた。しかし有権者は、政界で豊富な経験を持ち、「準備された女性大統領」をキャッチフレーズにする朴氏を選択。前回選挙で10年ぶりに復活した保守政権が継承された。

(毎日jp http://mainichi.jp/





【記事要約】 「韓国大統領に朴槿恵氏」

  • 韓国大統領選は19日、投開票が行われ、保守系与党・セリヌ党の朴槿恵(パククンヘ)候補が当選した。朴氏は、「漢江(ハンガン)の奇跡」と呼ばれる高度成長を導いた朴正煕(パクチョンヒ)元大統領の長女で、韓国初の女性大統領となる。
  • 朴氏は、最大野党・民主統合党の文在寅(ムンジェイン)候補との大接戦を制した。文氏は、若者に人気の高い安哲秀・前ソウル大教授との候補一本化で朴氏を猛追。しかし保守や中高年層などの支持基盤を固めた朴氏が逃げ切った。得票率差はわずか3%強だった。
  • 韓国の有権者は、保守政権の維持を選択したが、所得格差の拡大への不満は大きい。李政権のウォン安誘導を背景とした、財閥企業の輸出主導型の経済モデルの修正が求められている。朴氏は、成長維持と格差是正の両立という困難な課題を背負う立場となる。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/





【記事要約】 「精神的苦痛の賠償終了提示」

  • 東京電力は、福島第1原発事故の避難区域に住んでいた社員への「精神的苦痛に対する損害賠償」を基本的に終わらせる方針を明らかにした。東電は、国の中間指針に基づき、避難者に1人当り月10万円をめどに精神的苦痛への損害賠償を支払っている。
  • 東電社員が賠償されない主なケースは、以下の通り。▽「避難区域内に持家なし」①区域内のアパートなどに住んでいた②区域内の実家に住んでいた、▽「「持家あり」①事故当時、別の原発などに勤務し、社宅に居住②転勤により転居した―。
  • 避難生活を続けながら事故収束に当たる社員は、「避難する家族と離れて、事故収束のために現場にとどまっている人も多い。避難を転勤と同じように言われたのは、忘れられない」と語る。会社に切り捨てられた失望や憤りの声が上がっている。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)




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