【リグミの解説】
衆院選直前の論点整理
衆院選を翌日に控えた本日の新聞1面トップは、読売、朝日、東京の3紙が、国政選挙直前の争点をそれぞれの視点で整理しています。毎日と日経も、選挙直前の着目争点を記事にしています。各紙の特色は、以下の通りです。
読売新聞:
- 民主党が訴える「前進する政治」と、自民党が主張する「信頼できる政治」の選択
- 政治にベストはないという醒めた目で、投票という権利を行使し、国民の責任を負うことが大事
朝日新聞: - (主要争点1) 原発政策(①「原発依存―脱原発」、②「再稼働容認―再稼働反対」)
- (主要争点2) 税と社会保障政策(①「消費増税推進―消費増税反対)、②「個人や家族の自助・自立を重視―国にや自治体による公助・共助を重視」
- 東京電力福島第1原発事故に思いを馳せ、原発の是非をもう一度考えることが大事
毎日新聞:- 地方発の国政改革を訴える日本維新の会(橋下徹・大阪市長)と日本未来の党(嘉田由紀子・滋賀県知事)の可能性と限界が見える選挙
日経新聞:- 民主党の野田首相「2030年代原発ゼロ」と、自民党の安倍総裁「強い外交展開」
- 外交・安保で強硬論がじわり浸透
東京新聞:- 3つの主要争点=(1)原発政策、(2)消費増税、(3)憲法9条
- かすむ復興策、「復興を最優先」という言葉とは裏腹に置き去りにされる被災地
選挙期間中の政治環境
選挙期間中に、北朝鮮のミサイル(ロケット)発射があり、尖閣諸島では中国機による初の領海侵犯がありました。原子力規制委は、日本原子力発電・敦賀原発の原子炉直下の活断層判断を出し、東北電力・東通原発でも敷地内に活断層がある可能性が高いと指摘しました。一方で、有権者の大勢が投票判断の中心に「景気判断」を置いていることが、12月14日付の朝日新聞の世論調査分析にありました。
こうした状況下、12月14日の「リグミの解説」で「原発・エネルギー政策」を中軸に、「経済政策(景気対策)」「外交・安全保障」「憲法の扱い」の3本柱を等距離に配置し、選挙後も粘り強く議論していく場を創造する必要があると指摘しました。その際に、大事な前提があります。それは、どういう心理状態で臨むかということです。
ネガティブとポジティブ
「恐れ」「失望」「敵対」といったネガティブな感情を代弁する政治があります。一方で、「信頼」「希望」「友好」といったポジティブな感情に訴える政治もあります。今、日本の置かれた内政・外交問題を俯瞰すれば、ネガティブを冷厳に見るのが正しいリアリズム(現実主義)であり、ポジティブを見ようとするのは現実を無視した理想主義と一蹴されそうです。
読売新聞は、福沢諭吉とチャーチル首相の言葉を引用し、政治に「ベストアンサー」はないと示唆しています。「政治とは悪さ加減の選択である」(福沢諭吉)。「民主主義とは、これまでの歴史上に存在したあらゆる政治形態を除けば、最悪の政治形態である」(ウィンストン・チャーチル)。
福沢とチャーチルは、政治への失望や否定を語ったのでしょうか。ネガティブな表現を敢えて用いることで、政治の現実を冷徹に見据え、しかしその目線の先には、より成熟した民主主義がもたらすポジティブな未来を見ていたのだと思います。「理想」は、「現実」に働きかけることで、初めて実現します。明日は、投票日です。
(文責:梅本龍夫)
【記事要約】 「政権選択、あす審判」
- 16日が、第46回衆院選の投票日となる。民主党政権の継続か、自民党の3年3ヵ月ぶりの政権復帰か、有権者の判断が下される。
- 今回の立候補者数は、現行憲法下で最多の1504人(小選挙区1294人、比例区210人、重複立候補者除く)。12党が候補を擁立する多党乱立の選挙となる。
- 民主党の野田首相は、「民主党の政治を前に進めるのか、時計の針を戻して自民党の古い政治に戻るかが問われている戦いだ」と訴える。一方、自民党の安倍総裁は、「民主党のめちゃくちゃなマニフェスト(政権公約)で失われた政治への信頼を取り戻すことができるかが問われている選挙だ」と政権復帰への強い意欲を示す。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
【記事要約】 「国のかたち、選ぶ」
- 16日、東日本大震災後の初の本格的な国政選挙が行われる。大切な争点が「原発」と「税と社会保障」だ。震災後の日本をどうつくっていくか、選挙の結果によって、その流れが大きく変わる。
- 原発をめぐる各政党の主張は、以下の通り。▽「原発依存―再稼働容認」=自民党、国民新党、日本維新の会、▽「脱原発―再稼働容認」=民主党、公明党、みんなの党、新党改革、▽「脱原発―再稼働反対」=日本未来の党、社民党、共産党、新党日本、新党大地―。
- 税と社会保障をめぐる各政党の主張は、以下の通り。▽「消費増税推進―自助・自立重視」=自民党、日本維新の会、▽「消費増税推進ー公助・共助重視」=民主党、公明党、国民新党、▽「消費増税反対ー自助・自立重視」=みんなの党、▽「消費増税反対―公助・共助重視」=共産党、社民党、日本未来の党、新党改革、新党大地、新党日本―。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
【記事要約】 「誤認逮捕『認識不足が要因』」
- 警視庁、大阪府警、神奈川県警、三重県警は14日、PCの遠隔操作などで犯罪予告が書き込まれた事件での誤認逮捕について、検証結果を公表した。一連の誤認逮捕の共通要因として、遠隔操作についての認識不足があったと指摘した。
- 神奈川県警は、男性(19)の取り調べで「取調官の言動は、不安を助長させ、自供を強いられているように受け止められる可能性がある」と問題点を認識。警視庁は、男性(28)の供述について「秘密の暴露」にあたるものがなく、供述内容も変遷したことから、「自白の真偽を慎重に検討すべきだった」と指摘。
- 検証結果にもとづき警視庁は、①IPアドレスの過大評価と裏付け捜査の不徹底、②捜査部門と情報通信部門の連携不足、③不自然な供述の信用性の検討が不十分―などの反省点を挙げた。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
【記事要約】 「40~50代の賃金抑制」
- NTTグループは、社員を65歳まで継続雇用するための賃金制度を、2013年秋から導入する。40~50歳代の平均賃金カーブの上昇を抑制し、60~65歳の賃金原資を確保することで労使合意した。
- 原則として、年功的な基準内賃金を圧縮し、成果反映を強める賃金制度とする。成果部分の強まる40歳前後から平均賃金カーブの上昇が従来より緩やかになる。総人件費の上昇を抑制する仕組みで、現役世代と60歳以上の社員が賃金を分かち合う。
- 今回の賃金見直しは、NTTグループの組合員18万人を対象とする。管理職2万人については今後の検討。社員20万人規模の企業の労使合意は、産業界が模索している高齢者雇用のひな形となる可能性がある。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
【記事要約】 「かすむ復興策」
- 16日、東日本大震災後と東京電力福島第1原発事故後の初の本格的な国政選挙が行われる。東京都知事選も同時に行われる。12政党の党首らは、都市部を中心に街頭演説をし、支持を訴えている。
- 衆院選の主要争点は、「原発政策」「消費税増税」「憲法9条」だ。民主党は、政権維持を目指すが、選挙戦終盤も苦戦が続く。自民党は、単独過半数を確保する勢いであり、公明党とともに政権復帰を目論む。
- 東京都知事選は、石原慎太郎前知事の辞職に伴うもの。松沢成文氏(前神奈川県知事)、笹川尭氏(元自民党総務会長)、宇都宮健児氏(前日本弁護士会会長)、猪瀬直樹氏(元副知事、作家)ら新人9人の候補間で戦われている。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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