2012.11.26 mon

新聞1面トップ 2012年11月26日【解説】次は「対話」の場づくりを

新聞1面トップ 2012年11月26日【解説】次は「対話」の場づくりを


【リグミの解説】

読売と朝日の比較
読売新聞と朝日新聞は、そろって衆院選に向け連続世論調査をかけています。本日の両紙の1面トップは、民主党、自民党、日本
維新の会の「3極」の支持率の比較です(詳しい内容は、記事要約をご覧ください)。

読売: 自民党25%(▲1ポイント) 民主党10%(▲3ポイント) 日本維新の会14%(+1ポイント:前回は維新+太陽)
朝日: 自民党23%(+1ポイント) 民主党13%(▲2ポイント) 日本維新の会  9%(+2ポイント:前回は維新+太陽)


民主党と、日本維新の会の支持率の順番が、読売と朝日では逆転しています。この傾向は以前から続いています。電話調査の方法論も、調査スケールも回答率も、概ね一緒にもかかわらず、有意な差異が生まれているのはなぜでしょうか。

保守色とリベラル色
ひとつ考えられのは、調査依頼の電話を受けた有権者が、「読売新聞」「朝日新聞」と聞いて、「受諾」と「拒否」を恣意的に
していることです。もしこの仮説が当たっているとすると、調査結果の差異は、両紙の読者層の「違い」ということになります。読売はより「保守色」を好む読者層であり、朝日はより「リベラル色」を好む読者層が多いというのは、両紙の「主義」や主張にも一致しているようです。

ただし両紙とも、「自民党は現状維持」「民主党はやや後退」「日本維新の会はやや増進」というトレンドでは、一致しています

  • 「保守色」を鮮明にした自民党は、「支持したくなった人」と「支持したくなくなった」人が拮抗している結果、現状維持なのでしょうか。
  • 日本維新の会は、「脱原発」と「TPP交渉参加」の旗を降ろした結果、政策的には自民党に近づいたように見えます。また石原氏の参画によって「保守色」が一気に明確になりました。そのあたりと、支持率増大の関係は、どうなっているのでしょうか。
  • 「リベラル色」が鮮明にした民主党は、それが一因で支持率を落としているのでしょうか。


セグメント情報の大切さ
こうした「要因」を丁寧に見ていく世論調査は現状ではないので、新聞記事の大見出しが、3党間のメダルの色の競争のようにな
っているのは少し残念です。男女ごとのセグメント、年代別の情報、さらに地域別データなども、見ていくことで、有権者が今度の衆院選にどういう姿勢で臨もうとしているのか、さらに明確になっていきます。速報データで政局を煽るのでなく、丁寧な調査報道を期待したいと思います。

毎日新聞の1面トップは「橋下氏の改革方針は大都市有利と地方は憂慮」という記事で、秋田県横手市の副市長の声を紹介しています。また東京新聞の1面トップは、福島第1原発事故を受けた新しい防災計画地域で、避難地域が従来の半径8~10キロ圏から30キロ圏に拡大されたことで、滋賀県高島市が含まれたことを取り上げ、「30キロ圏、安心策示して」と訴えています。

「対立」の調査と「対話」の場づくり
東京新聞が主張するように、衆院選に臨む各政党は、「原発維持」を掲げるにしろ、「原発ゼロ」を目指すにしろ、スローガン
以上の具体策と行程表を明らかにする必要があります。大くくりにされてしまう全国世論調査では、地域の人々、さまざまな立場の人々の声が埋もれ、見えなくなります。

質問に「Yes、No」で受動的に答えるだけの調査は、「対立」するポイントは鮮明にしてくれますが、「ではどうすればいいか」が見えてきません。大きな選挙を前にして、有権者ひとりひとりの「思い」を引き出し、地元、地域、国の将来を真剣に考える「場づくり」をできないものか。メディアの今を問う問題意識へのひとつの回答は、政治家や有権者を巻き込んだ「対話」をどれだけ促進できるかにかかっている。リグミではそう考えています。

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事要約】 「自民25%、維新14%、民主10%」

  • 読売新聞は、衆院選向け継続全国世論調査の第1回を23~25日に実施した。
  • 衆院比例代表選の投票先の政党についての回答は、以下の通り。①自民党25%、②日本維新の会14%、③民主党10%―。自民党は、16~17日の実施された前回調査(26%)とほぼ同じ。日本維新の会は、前回の維新と太陽の党を合計した13%とほぼ同じ水準。民主党の前回は、13%。
  • 「野田首相、安倍・自民党総裁、石原・日本維新の会代表の3人の中で、衆院選後の首相にふさわしいと思う人」についての回答は、以下の通り。①安倍総裁29%、②石原代表22%、③野田首相19%―。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事要約】 「自民23%、民主13%、維新9%」

  • 朝日新聞は、衆院選向け連続世論調査の第2会を24~25日に実施した。
  • 衆院比例代表選の投票先の政党についての回答は、以下の通り。①自民党23%、②民主党13%、③日本維新の会9%、―。自民党は、17~18日の実施された前回調査(22%)とほぼ同じ。民主党の前回は、15%だった。日本維新の会は、前回の維新と太陽の党の合計は7%。
  • 「議席を伸ばして欲しい政党」についての回答は、以下の通り。①自民党25%(前回23%)、②日本維新の会22%(前回:維新16%、太陽4%)、③民主党14%(前回15%)―。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事要約】 「橋下流は大都市有利 ~政党を問う」

  • 日本維新の会は、政策の中核に「中央集権打破」「統治機構改革」を据える。「地方交付税の廃止」と「消費税の地方税化」が、「中央集権打破」の最初の政策として掲げられている。橋下氏は、消費税の全額を地方の自主財源にし、自立した道州制を目指すことを主張している。
  • 消費税などの一部を原資とする地方交付税は、全国的に一律の行政サービスを提供するために、国から財政力の弱い自治体に配分されている。地方の自立を縛る、配分基準が複雑で不透明といった問題が指摘されている。だが、地方交付税に頼る自治体は、日本維新の会のやり方で税収格差を調整できるか懸念がある。
  • 人口10万人弱で過疎化が進む秋田県横手市の鈴木信好・副市長は、「橋下さんが言っているのは大都市の意見で、中小都市、農村はほとんど頭にないように見える。税源移譲と言っても、税収は上がらない。地方交付税や財政調整機能はしっかりやってもらいたい」と、維新の設立挨拶にやってきた参院議員にクギを刺した。「橋下流は大都市が有利な変え方」という声だ。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事要約】 「ホンダ、主力セダン北米で開発」

  • ホンダは、世界販売の3分の1を占める主力セダン「シビック」「アコード」の次期型車(2016年頃発売)から、設計開発業務を北米に移す。車体や内装の設計から調達部品の選定まで、米国人技術者を中心に行う。
  • ホンダは、日本を中心に進めてきたクルマづくりを大転換する。開発体制を世界的な分業体制に切り替え、激化する新車販売競争に対応する。米国移管で浮いた国内技術者を、燃料電池車などの環境対応車や次世代技術の開発に振り向ける。
  • シビック、アコードは、北米販売が約半分ある。生産だけでなく、開発面でも現地化を進め、連結営業利益の4割を占める北米事業の強化を図る。グローバル化に対応する自動車メーカーの取り組みが、新段階に入った。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事要約】 「30キロ圏、安心策示して ~私たちの手で」

  • 衆院選の大きな判断材料となるのが、各党が掲げる政策だ。「原発政策」「消費増税」「憲法9条」の3つについて、暮らしの現場が直面する課題を探る。原発政策は、「原発維持」にしろ「脱原発」にしろ、多くの政党は、現場目線の回答を提示できていない。
  • 琵琶湖の西のほとりにある滋賀県高島市の北には、福井県の4つの原発がある。東京電力福島第1原発事故を受けて、防災計画地域が従来の半径8~10キロ圏から30キロ圏に拡大されたことで、高島市も新たに入った。対象地域には、7千人が暮らす。「安全神話」から、これまでは原発のことを殆ど意識することはなかった。
  • 民主党は原発稼働ゼロを打ち出すが、建設中の原発の工事再開を認めるなど矛盾する。自民党は当面、原発維持の方針だ。国民の生活が第一は、10年後を目途に原発ゼロ。公明党は、1年でも早い原発ゼロ。共産党や社民党は、即時全原発ゼロを打ち出す。だが、高島市で県や市に情報公開を求めるオンブズマンの沢忠起さんは、「どうやって原発ゼロにするのか。もう少し具体的に言ってもらわないと」と苦言を呈する。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



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