2012.11.19 mon

新聞1面トップ 2012年11月19日【解説】何が日本の「転換点」なのか

新聞1面トップ 2012年11月19日【解説】何が日本の「転換点」なのか


【リグミの解説】

「転換点」と言われ続けて20年
「今、日本は大きな転換点にいる」。このフレーズが使われるようになった何年経ったでしょうか。バブル崩壊以降、「転換できない点」が連続20年以上続いているのが、日本の状況です。「転換点」は中立的な言葉ですが、そのニュアンスは「良い方に転換する」でしょうか、それとも「悪い方に転換する」なのでしょうか。


本日の新聞1面トップ記事は、朝日、毎日、日経が衆院選を前にした全国世論調査です。焦点は3つ。第1が「比例代表区の投票先」、第2に「日本維新の会と太陽の党の合併の評価」、そして第3が「選挙後の政権の枠組み」です。各紙の調査結果を比較してみます。

「比例代表区の投票先」

朝日: 民主党=15%    自民党=22%    日本維新の会+太陽の党= 7% 
毎日: 民主党=12%    自民党=17%    日本維新の会+太陽の党=17% 
日経: 民主党=16%    自民党=25%    日本維新の会+太陽の党=15% 


3紙の数字は、大きく変動しているため、確かなことは言えませんが、「日本維新の会+太陽の党」が「第3極」あるいは場合によって民主党を超えて「第2極」になる可能性は感じさせます。民主党が若干回復し、自民党の評価が伸び悩んでいるため、毎日の数値のように「三つ巴」の様相になる可能性もあります。

「日本維新の会と太陽の党の合併の評価」
朝日:  「合流するほうがよい」42%    「そうは思わない」39%
毎日:  「連携する必要はない」36%   「連携すべきだ」34%
日経:  「期待する」54%           「期待しない」35%


政策が大きく隔たるにもかかわらず、両党の合併に対して肯定的な意見が上回っています。「変化」を求める声を反映してのことでしょうか。

「選挙後の政権の枠組み」
朝日:  「民主中心の政権」18%  「自民中心の政権」32%  「第3極中心の政権」34%
毎日:  「民主中心の政権」11%  「自民中心の政権」18%  「第3極中心の政権」35%  「民主、自民の大連立」26%


毎日の調査が示すように、3択を4択にするだけで、数字が大きく変化します。質問の選択肢と文言で結果が大きく変わる世論調査は、あくまでひとつの参考資料にすぎません。投票する意志のない人の意見も入っている可能性もあります。そんな留保つきの数字ですが、「第3極」が3分の1の比率となっていることは、注目に値します。

「転換」すべきは何か
「転換できない日本」の主因が、政治の機能不全にあることは、間違いありません。2009年の政権交代に何を期待し、結果として何が起きたかを客観的に棚卸し、しっかり検証する必要があります。


しかし必要なのは、「発想の転換」かもしれません。実は日本は、既に大きく転換し始めているのではないか。そういう「仮説」を置き、この20年を振り返ると、見えてくるものがあります。

特にこの10年、着実な変化の胎動があります。ネット2.0が確立し、あらゆる人が「メディア」となり始めたのが2005年頃。「裁判員制度」の施行によって、一般市民が裁判の「当事者」となる自覚に芽生えたのが2009年。その同じ年に、初めて国民は意志をもって「政権交代」を選択しました。そして、2011年の東日本大震災。国家にお任せだった災害対策や原子力エネルギー政策が、実はまったく機能していなかったことに私たちは気づきました。

「衆愚主義」と「衆知主義」のせめぎ合い
今、2つの流れがせめぎあっています。1つは大衆に迎合するポピュリズムです。ポピュリズムに傾く政治家の本音は、大衆は愚かだという「衆愚主義」ではないかと思います。向う受けのいいことを言えば、有権者は支持してくれる。とにかく当選すれば、あとは好きにやれる。そんな本音です。


もう一方には、有権者を成熟した政治意識をもった大人として遇する少数の政治家も出てきています。その前提は、「転換点」を超えた大衆は、互いにつながり、知恵を出し合い、当事者として意識的に行動し始めているという認識です。

政治を遠いものとして傍観したり、無関心にやり過ごすのでなく、自分自身と対等のものとして、そして身近なテーマとして実感する。そして政治や社会の諸々に「当事者」としてかかわっていく。戦後70年近く経って、民主主義の成熟と新たな進化の可能性が見え始めています。

私たちは、「衆知主義」(みんなで知恵を出し合う社会)へ向かう「転換点」を既に超えつつある。その「仮説」で衆院選を迎えれば、日本は「良い方に転換する」ことが十分可能だと思います。

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事要約】 「復興住宅建設遅れ」

  • 岩手県、宮城県、福島県で計画されている災害公営住宅(復興住宅)のうち、仮設住宅の入居期限となる2014年度末までに完成する見通しが立っているのは、6割弱にとどまる。要因として、①用地不足、②担当職員の不足、③自力での自宅再建をあきらめ、復興住宅への入居希望する人が増えていること―がある。
  • 復興住宅の整備状況は、以下の通り。▽岩手県=計画戸数5594、2014年度末までの入居可能戸数5118(91.5%)、▽宮城県=計画戸数1万5317、2014年度末までの入居可能戸数5852(38.2%)、▽福島県=計画戸数3019、2014年度末までの入居可能戸数2723(90.2%)、▽合計=計画戸数2万3930、2014年度末までの入居可能戸数1万3693(57.2%)―。
  • 復興住宅は、被災者が仮設住宅を退去した後に入る住宅。東日本大震災では、建設・買い取り費の8分の7を国が負担する。県や市町村が提供。仮設住宅は家賃無料だが、復興住宅では所得に応じて徴収される。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事要約】 「比例、自民22%民主15%」

  • 朝日新聞は17~18日に、衆院選に向け、連続世論調査の1回目を実施した。衆院比例区の投票先の質問に対する回答は、以下の通り。▽自民党22%、▽民主党15%、▽日本維新の会6%、▽公明党4%、▽みんなの党1%、▽太陽の党1%、▽(その他の政党は0%)、▽答えない・わからない46%―。日本維新の会が、公明党以下から一歩抜け出した。
  • 日本維新の会と太陽の党の合流についての評価は、以下の通り。▽「合流するほうがよい」42%、▽「そうは思わない」39%―。評価は二分された。衆院選後の政権の形を3つの選択肢から選ぶ質問の回答は、以下の通り。▽「第3極の政党が中心の政権」34%、▽「自民党が中心の政権」32%、▽「民主党が中心の政権」18%―。
  • 今回の衆院選への関心度合いを問う4つの選択肢への回答は、以下の通り。▽「大いに関心がある」39%、▽「ある程度関心がある」35%、▽「あまり関心はない」20%、▽「全く関心はない」6%―。2009年の衆院解散直後は、「大いに関心がある」が49%であったのに比べると、関心は下がっている。但し、「ある程度関心がある」は35%で同レベル。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事要約】 「自民17% 維新13% 民主12%」

  • 毎日新聞は17~18日に、衆院解散を受けて、世論調査を実施した。衆院比例代表の投票先の質問に対する回答は、以下の通り。▽自民党17%、▽日本維新の会13%、▽民主党12%―。日本維新の会に合流する太陽の党は4%を占めている。単純合算では、合併後の日本維新の会は17%となり、トップの自民党と並ぶ。
  • 全国8地域別で見た特徴は、以下の通り。▽自民党がトップ(5ブロック)=中国・四国26%、南関東21%、九州18%、北海道18%、東京15%、▽日本維新の会がトップ(2ブロック)=近畿22%、北陸信越・東海16%、▽民主党がトップ(1ブロック)=北関東20%―。
  • 自民党は、政党支持率が17%で最多だったが、前回調査(9月)に比べ8ポイント下落した。民主党は11%で横ばい。日本維新の会は10%で2ポイント増やした。自民党は、比例代表の投票先と政党支持率で「第1党」となったが、党勢は伸び悩んでいる。日本維新の会と石原慎太郎氏の連携については、「連携する必要はない」が36%、「連携すべきだ」は34%だった。
  • 衆院選後の望ましい政権の枠組みを問う4つの選択肢への回答は、以下の通り。▽「民主、自民以外の政党中心の政権」35%、▽「民主、自民の大連立」26%、▽「自民党中心の政権」18%、▽「民主党中心の政権」11%―。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事要約】 「投票先 自民25%、民主16%」

  • 日経新聞とテレビ東京は16~18日に、世論調査を実施した。衆院選で投票したい政党は、以下の通り。▽自民党25%(10月調査から2ポイント下落)、▽民主党16%(前回から5ポイント上昇)、▽日本維新の会11%、▽太陽の党4%、▽公明党3%、▽みんなの党3%、▽共産党2%、▽国民の生活が第一2%、▽減税日本1%、▽社民党1%―。
  • 環太平洋経済連携協定(TPP)についての回答は、以下の通り。▽「参加に賛成」43%、▽「参加に反対」34%―。民主党支持層では、「賛成」53%、「反対」29%。自民党支持層でも「賛成」44%、「反対」38%で、賛成が上回った。
  • 日本維新の会と太陽の党の合流については、「期待する」54%、「期待しない」35%と、期待が上回った。一方、「第3極」の連携については、「政策に隔たりがあっても連携した方がいい」が29%にとどまったのに対し、「政策に隔たりがあるなら連携しない方がいい」が58%に上った。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事要約】 「脱原発票、無駄にするな ~私たちの手で(上)」

  • 1945年の終戦後と並ぶ大転換点に立つ中、私たちの一票が日本の針路を決定する。衆院解散で議員たちが「万歳三唱」していたとき、国会近くのカフェで、十数人の老若男女が集まっていた。脱原発政党の大同団結を呼びかけるさまざまな市民団体のメンバーだ。「足の引っ張り合いはダメだ」。一人のメンバーがつぶやいた。
  • メンバーの集計では、解散前の脱原発議員は、民主党内の100人強をはじめ、中小政党などで約170人いた。この勢力を保った上で、過半数の241人には、70人余が必要となる。脱原発議員の大量当選で過半数を制し、影響力を発揮することが、メンバーたちの構想だ。
  • 壁になるのが政党の多さだ。脱原発を掲げる政党が多く、脱原発票が分散すれば、結果として民意を反映できない。メンバーは、脱原発候補の空白区に国替えをし、当選の可能性を高めるべき、と政治家たちを説得したい、と考える。転換期の日本は、政治判断の一つ一つが、国の将来の在り方を決する。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



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