2012.11.15 thu

新聞1面トップ 2012年11月15日【解説】民主主義の勝者

新聞1面トップ 2012年11月15日【解説】民主主義の勝者


【リグミの解説】

「伝家の宝刀」を抜く
「勝負」とは文字通り、「勝ち」と「負け」を決する行為です。昨日の「リグミの解説」で、野田首相が「最後の大勝負に出よ
うとしているように見える」と述べました。

国民は、政局というリアル・ドラマをワイドショー的に見ている部分があります。実際、昨日の『ミヤネ屋』は、党首会談を生中継している最中に、野田首相が「16日に解散してもいい」と言い出し、スタジオは大騒ぎになりました(参照「LGMI ワイドショー講座」)。

首相の専権事項が「衆院解散権」。その「伝家の宝刀」をついに
抜いた瞬間でした。

「違憲状態」での選挙
本日の読売、朝日、毎日、日経、東京の5紙の1面トップは、すべて「12月16日衆院選」が決まったことを大きく報道しています
。各紙の社説の見出しを比較します。

読売: 「首相の重い決断を支持する ~『1票の格差』是正を先行せよ」
朝日: 「『異常な選挙』の自覚もて」
毎日: 「首相の決断を評価する」
日経: 「国民に信を問うときが来た」
東京: 「違憲状態で総選挙とは」


首相はいつ「勝負」するのか、散々煽り続けた全国紙が、首相の抜き身を見て、突然「違憲状態」と言い出した構図です。唯一、東京新聞だけは、以前から最高裁の判決を放置したまま衆院解散・総選挙に突入することの異常を指摘していました(「リグミの解説」2012年11月10日)。

最高裁の判事たちは、今何を思っているでしょうか。自民党の求める「0増5減」を先行実現しても、最高裁が「違憲状態」と判断した現行の区割りで選挙が成されます。今度の衆院選は「無効」とする訴訟が、間違いなく起きると思います。もし選挙そのものが無効との最高裁判決が出たら、どうするのか。日本の民主主義の制度とその運用について、今から分析とシミュレーションをしておくべきです。

誰が「勝者」となるのか
今回の衆院選は、与党民主党と、野党の自民党・公明党、そして第3極と呼ばれる日本維新の会などの新党との三つ巴の戦いにな
りそうです。自民党が議席数を大幅に伸ばし、民主党が凋落するのは必至と見られています。そこに第3極が大きく食い込んでくる構図ですが、選挙のプロたちは、自民党・公明党で過半は取れず、大連立を模索する動きを予想しています。

それは「政策」の一致による連携となるのか。それとも「政局」の思惑による連携となるのか。①社会保障の在り方、②エネルギー政策の在り方、③経済政策の在り方、④そして外交の在り方。政党の責任は、この4点で、自党の「政策」を明示すること。そして、その政策の一致を前提に連携すべきです。

そして国民の責任は、各党の政策を判断して投票すること。

この「勝負」、日本人全体が「当事者」です。なぜなら、「失われた20年」と「3.11」を経た日本の未来がかかっているからです。「勝負」を決するのは投票です。投票率が67%(有権者の3分の2が参加)に達すれば、選挙の結果がどうであれ、国民は民主主義の「勝者」になれます。

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事要約】 「衆院選、来月16日」

  • 野田首相は14日、国会の党首討論で、今月16日に衆院を解散し、総選挙を実施する考えを表明した。その前提として、次期通常国会での衆院議員定数削減の実現などを約束するよう求めた。自民党は、安倍総裁、石破幹事長らが対応を協議し、首相の提案に応じることを決めた。
  • 首相が求めた解散条件が整うのは確実となり、政府・民主三役会議は14日、衆院選の日程を「12月4日公示―16日投開票」と決定。各党は、3年4ヵ月ぶりとなる衆院選に向け、一斉に走り出す。
  • 衆院選の主な政策争点は、以下の通り。▽民主党政権3年の総括、▽消費税を柱とする社会保障と税の一体改革、▽原子力・エネルギー政策、▽環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加の是非―。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事要約】 「あす解散、来月16日総選挙」

  • 野田首相は14日、国会の党首討論で、16日に衆院の解散する意向を表明した。党首討論で首相が解散を表明するのは初めて。「1票の格差」の是正は間に合わず、最高裁から「違憲状態」の指摘を受けた区割りのままで実施される。
  • 政府・民主三役会議は14日、「12月4日公示、同16日投開票」を決定した。東京都都知事選と同日選となる。民主党がマニフェスト(政権公約)を掲げて政権交代を果たして以来の衆院選。民主党は、与党として初めて国民の審判を受ける。
  • 野田政権は、消費増税法の成立を果たしたが、民主党から大量の離党者を出し、分裂の危機に陥った。マニフェストに掲げた政策の多くは実現されず、世論の厳しい批判を浴びた。党内には、代表である首相の解任動議を提出する動きもある。離党者がさらに増える可能性もある。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事要約】 「あす解散、首相表明」

  • 野田首相は14日、国会の党首討論で、16日に衆院の解散する意向を表明した。首相は、自民党の安倍総裁に対して、残る2日間で特例公債法案と、「1票の格差」是正法案を成立させるよう要求。これに対し自民党は、討論後に協力を決定した。
  • 政府・民主党は、次期衆院選の日程を「12月4日公示、同16日投開票」と決定した。3年前に政権交代を果たした民主党。政権奪還を目指す自民・公明両党。既存政党への戦いを挑む日本維新の会などの「第3極」。3つの勢力が絡む選挙戦に事実上突入した。
  • 民主党からは、解散反対論が噴出していたが、首相の決断を受け、政府・民主三役会議で衆院選日程を決めた。首相は「解散は首相の専権事項だ。タイトな日程だが私をお支えいただくと確認された」と強調、輿石幹事長も「首相が判断したがらそれでいいのではないか」と容認した。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事要約】 「衆院選、来月16日」

  • 野田首相は14日、国会の党首討論で、16日に衆院の解散する意向を表明した。首相が解散日を明言するのは異例。
  • 首相は、自民党の安倍総裁などの党首討論で、赤字国債発行法案と選挙制度改革関連法案の今週中の成立への協力を要請。比例代表定数の40削減に関して、①「今国会で結論がでなくても来年の通常国会で定数削減実現」、②「実現までの国会議員の歳費2割削減」―の協力を求めた。その上で、「決断してもらえるなら16日に解散してもいい」と言及した。
  • 政府・民主三役会議は14日、「12月4日公示、同16日投開票」を決定した。2009年8月以来の衆院選となる。与野党の対決に、「第3極」の結集の動きが絡む選挙となる。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事要約】 「あす衆院解散」

  • 野田首相は14日、衆院を16日に解散することを決めた。首相は14日の党首討論で、赤字国債発行法案と、衆院小選挙区「1票の格差」是正と衆院議員の定数削減、さらに定数削減実現までの国会議員の歳費2割削減について、協力を要請した。
  • 自民党の安倍総裁は、党首討論では確約を避けたが、党幹部と協議し、首相提案を受け入れることを表明した。公明党の山口代表も同様の意思を表明した。これを受け、政府・民主党は、三役会議で解散・総選挙の日程を決めた。東京都知事選と投票日が重なるダブル選挙となる。
  • 脱原発や消費増税、憲法改正の是非が、主な争点となる。東日本大震災の復興の遅れや、東京電力福島第1原発事故の処理を投げ出し、震災後初の国政選挙に突入する。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



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