2012.11.13 tue

新聞1面トップ 2012年11月13日【解説】コンビニの社会貢献

新聞1面トップ 2012年11月13日【解説】コンビニの社会貢献


【リグミの解説】

一国一城の主
「宮仕えを続けるか、一国一城の主になるか」。勤め人で行くか、独立開業するかは、働く人の2大選択肢として常にあります。
「一国一城の主」派には、ベンチャー事業を立ち上げ、大きく成功させるという夢を持つ人も少なくないと思います。しかしベンチャーは、有望なアイデア、資金手当、チームづくり、協力先の開拓など、関門がたくさんあり、いささか狭き門でもあります。より現実的な道として、フランチャイズの店を始めるという選択肢があります。

そのフランチャイズの雄であるコンビニの経営者が、地域との関係づくりで苦労しています。東京新聞の本日の1面トップ記事は、コンビニ経営者の苦悩を追っています。きっかけは、同紙に掲載された投書でした。東京都大田区の神社の例大祭のおり、地元の町会副会長が奉納金を集めた際、大手コンビニが200円しか出さなかったことが発端でした。「地域の人たちをお客さんにしているコンビニ店が200円とは理不尽ではありませんか。個人商店のやっかみでしょうか」と批判。この投書に反響が相次ぎました。

コンビニのフランチャイジーになるメリット
東京都内でもシャッターの降りたままの商店が目立ち始めている昨今、経営の苦しい商店も少なくありません。そんな中で、祭
となれば地元商店街が音頭取りをし、街の活性化に取り組みます。奉納金の相場は、3千~5千円ぐらい。中には、売り上げの維持も苦しい中、毎年1万円を払う商店主も見かけることがあります。「おつきあい」ということもあるでしょうが、「商売繁盛」を願う気持ちも込められているのだと思います。

東京新聞の記事を読むと、コンビニの本部ロイヤルティーは、粗利益額の3~7割を支払わなければならないそうです。国内のコンビニは、4万6千店を超え、今も成長を続けています。高額のロイヤルティーを支払ってでも、コンビニのフランチャイジーになるメリットが大きいから、これだけたくさんのコンビニが存在していることがわかります。

「一国一城の主」を目指す者にとって、大手コンビのブランド力(信頼感、集客力)、商品調達と開発力、経営指導は、喉から手が出るほど欲しいものばかりです。たくさんのロイヤルティーを支払っても、それ以上の坪当たり売上高を達成すれば、儲けることができます。大手コンビの中でも、たとえばセブンイレブンは、2割ぐらい坪当たり売上高が高いようで、№1になるのには、ちゃんと理由があります。

コンビニ本部のメリット
問題は、コンビニのフランチャイズがモデル設定する売上高を達成できなかったときです。一定のアルバイト数がいないと、店
は回せないので、しわ寄せはオーナー夫婦に来ます。24時間体制で店に入り、しかも自分の給料をきりつめる。コンビニ本部の目に触れないところで、労働条件の悪化が日常化してしまいます。「宮仕えの方がよかったな」、と経営者が弱音を吐きたくなる状況がずっと続き、構造化してしまう問題もあるのではないでしょうか。

一方、コンビニ本部側のメリットとデメリットはどうでしょうか。フランチャイズシステムは「ヒト、カネ」の経営資源を節約でき、高効率であり、システムを確立すれば、早期に全国展開できます。日本のコンビニは、本部(フランチャイザー)とコンビニ経営者(フランチャイジー)の切り分けによって、大きな成功を収めた純国産のビジネス・モデルです。

フランチャイズ方式か直営出店か
コンビニの成功にもかかわらず、直営方式にこだわる小売・飲食チェーンもあります。直営方式は、高コストになりますが、出店戦略の自由度が高いこと、店舗スタッフの教育などに一元的に取り組めるメリットがあります。フランチャイズ方式と直営方式は、経営の合理的な判断のみならず、企業文化の違いも生みます。たとえば、スターバックスコーヒーが直営方式にこだわるのは、「カネ」がよりかかっても、「ヒト」という経営資源にコミットすることが、ブランドにとって一番大切だと知っているからです。

コンビニを初めとする全国展開チェーンがかならず取る基本戦略は、地域ドミナント出店があります。1店の商圏を細かく設定し、あるエリアをできるだけ自店で独占しようとします。その結果、ブランド力と流通システムや経営指導体制で、優位に立てます。「一国一城の主」は、いわばこの本部の冷厳な戦略を担う先兵のように位置づけられています。実態は、「コンビニ王国の一傭兵」なのかもしれません。

コンビニの社会貢献
コンビニは、世界に輸出できる優れたビジネス・システムです。でもまだ完璧ではありません。コンビニ経営者にしわ寄せがい
くうちは、日本が世界に誇る「ソフトパワー」と公言することはできません。コンビニ経営は、スピードの競争をしています。他社より速く出店する。他社より速く新商品を開発し導入する。他社より速く商品を回転させ売上を稼ぐ。

しかしコンビニはもうひとつの競争をしています。時間をじっくりかけて、地域社会のインフラとなることです。災害や犯罪に強い街となる上で、コンビニの果たすべき役割はますます大きくなりつつあります。かつて街の中心にあった酒屋や米屋や雑貨店がコンビニ変わって何十年。街の様相は一変しました。しかし、街のすべての店をコンビニにすることはできません。それは望ましくもありません。コンビニのビジネス・モデルは、社会との共生、「Win-Win」のモデルへと進化すべき時期に来ています

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事要約】 「解散へ民自公前進」

  • 民主党、自民党、公明党は12日に政調会長会談を行い、特例公債法案の修正で大筋合意した。民主党の細野政調会長は、「安定的な財政運営を確保する観点から、2015年までの間は赤字国債発行を認める」とする確認書を提示した。自民党の甘利政調会長は内容を評価、公明党の石井政調会長も異を唱えなかった。
  • 自民党は、社会保障制度改革国民会議の人選案を示すことにも合意した。これで、野田首相が衆院解散を判断する3条件のうち、2つが成立することになる。首相が検討している年内解散の環境整備が前進した。
  • 野田首相は、残っている3つ目の条件の衆院選挙の「1票の格差」是正と定数削減の同時決着について、「この問題が決着しない、させないことによって、解散を先送りするという考えを持っていない」と述べた。首相は、解散時期について「私が責任を持って判断する」と強調し、時期の明示を拒否した。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事要約】 「年内解散、流れ加速」

  • 民主党、自民党、公明党は12日に政調会長会談を行い、特例公債法案の修正で大筋合意した。民主党の細野政調会長は、①「今年度予算の減額補正の実施」、②「2015年までの4年間は自動的に赤字国債発行を認める」とする法案修正を提示した。衆院選挙改革法案について首相は、「憲法と関係のある1票の格差是正が最優先だ」と述べ、「0増5減」の先行実施を求める自民党に理解を示した。
  • 野田首相が衆院解散を判断する3条件の環境整備が進んでいる現状を踏まえ、自民党の谷垣前総裁に約束した「近いうち」の衆院解散について、「自分の言葉は重たいと自覚している」と述べ、約束を実行する考えを強調した。年内解散に慎重な民主党の輿石幹事長も、最終的には首相の判断に従う考えを示した。
  • 想定される衆院解散・総選挙の日程パターンは、以下の通り。①11月22日「解散」⇒12月4日「公示」⇒12月16日「投開票」、②11月30日「解散」⇒12月11日「公示」⇒12月23日「投開票」、③12月4日「解散」⇒12月25日「公示」⇒2013年1月6日「投開票」、④12月25日「解散」⇒2013年1月8日「公示」⇒1月20日「投開票」ー。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事要約】 「民自公、修正に大筋合意」

  • 野田首相が年内解散・総選挙の意向を固めたことを受け、民主党は首相が提示する「解散時期決定の3条件」の早期実現へ向け、自民・公明両党との調整を加速させている。12日に3党の政調会長は、赤字国債の発行の前提となる特例公債法案の修正で大筋合意した。
  • 社会保障制度改革国民会議の設置に向け、各党が委員のリストを近く提示することも合意した。これで、野田首相が衆院解散の環境整備として掲げる3条件の2つがほぼ達成され、解散の環境整備が加速している。残る「1票の格差」是正と比例定数削減の扱いについて、民主党は輿石幹事長に一任した。
  • 想定される衆院解散・総選挙の日程パターンは、以下の通り。①11月16日「解散」⇒11月27日「公示」⇒12月9日「投開票」、②11月22日「解散」⇒12月4日「公示」⇒12月16日「投開票」、③11月30日「解散」⇒12月12日「公示」⇒12月24日「投開票」―。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事要約】 「首相、年内解散を決意」

  • 野田首相が解散の3条件として掲げる課題の1つである赤字国債発のための特例公債法案を巡り、民主・自民・公明の3党は、修正で大筋合意した。解散への環境整備が前進している。
  • 首相が掲げる「衆院解散の3条件」の進捗は、以下の通り。①「赤字国債法案の成立」⇒民自公3党が法案修正で大筋合意、②「社会保障制度改革国民会議の設置」⇒有識者人選と設置に道筋、③「衆院選挙制度改革法案の成立」⇒首相が比例代表定数削減の先送りを容認する発言―。
  • 首相が衆院選の争点として検討しているTPP交渉参加は、前向きな党内閣僚と、輿石幹事長ら慎重な党内意見が対立状態にあり、離党を示唆する議員もいる。首相は、TPPの交渉参加に向けた米国との事前協議の進捗や、衆院選マニフェストなどの選挙準備の進捗も見極め、解散時期を最終判断する。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事要約】 「コンビニ、地域密着に壁」

  • コンビニは、不審者に会った子供の「駆け込み寺」になったり、過疎地で移動販売車を走らせるなど、地域貢献の実績をもつ。しかし、コンビニ加盟店の経営者は、本部へのロイヤルティー(経営指導料)の負担が重く、休みも取りづらいため、地元恒例の行事への参加や祭礼費の支払いが難しい、と苦悩する。
  • 大手コンビニの仕組みでは、粗利益(売上高から商品仕入れ値を引いた額)の3~7割をロイヤルティーとして支払うことになっている。人件費、光熱費、売れ残り商品の損失などを差し引くと、経営者の手元に残るのは、売上高の2~5%だ。銀行から借金をし、ぎりぎりで経営している例では、「社会貢献の余裕はない」とコンビニ経営者は語る。
  • 経産省の2009年の報告書によると、コンビニの商店会加入率は、2割強で、周囲の商店からは「商店街の努力にただ乗りしている」との声があるという。祭礼日の支払いや懇親会への参加などは、経営者の個別判断で、費用も自己負担になっている。「コンビニ本部は、コンビニ経営者の地域活動を支援し、顔が見える経営でファンづくりを進めるべき」と地域経済の専門家は指摘する。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



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