【リグミの解説】
党首会談決裂
今日の新聞1面トップは、読売と朝日が「民自公の党首会談」の記事です。野田首相が、自民党の谷垣前総裁と交わした「近いうち」の衆院解散の約束がどう守られるかが焦点でした。
事前の幹事長打合せで、輿石幹事長は「明日、総理から新しい具体的な提案がある」と話したため、自民党の安倍総裁と公明党の山口代表は、年内の衆院解散にそれなりの期待を持って会談に臨んだのではないでしょうか。ところが野田首相が示した具体的な提案とは、「赤字国債法案の早期成立」、「選挙制度改革の実現」、「社会保障制度改革の国民会議の早期設置」でした。要するに、政府がかねて提示している方針に協力してくれ、というもの。
この「ゼロ回答」にたいして、安倍さんが「谷垣前総裁との8月の会談では、予算編成はしないと言ったではないか」と迫りました。しかし野田さんは「私はそういう認識ではない」とつれない返事。
野田首相の資質
野田首相は、1年前の首相就任当初は、党内融和を優先する「安全運転」ぶりを批判するマスコミに対して、「急ハンドルは危険、徐々に行き先を目指し加速していく」、という趣旨の返答をしました。消費増税を打ち出すと、最後は「政治生命をかける」と公言し、民主党が分裂する事態になっても、民自公の3党合意を取り付けて、大嵐の中をハイスピードで進み続けました。
そして今、自民党、公明党を相手の政局で、なかなかの老獪ぶりを発揮しています。野田さんに元々備わっていた資質が明確になっただけなのか、それとも権力の座に在る者だけが身に着けていくサバイバル能力の賜物なのか。
政治家受難の時代
グローバル化であらゆる事象が複雑につながり、しかも変化のスピードがどんどん加速する現代は、政治家受難の時代です。問題はつぎつぎ発生し、対策は後手後手に回ります。まずは政治家生命を維持しなければ、政治家になった志のかけらも実現できません。
しかし、国民は政治家がもたらす結果だけでなく、そのプロセスも同じぐらい大事にしています。一国のリーダーが言を左右にして、「約束」をどんどん変節させるのを見て、「またか」と小さな失望を重ねる現実があります。
子供たちの憧れの職業
国民栄誉賞授与が決まった女子レスリングの吉田沙保里選手を見て、子供たちは、自分もレスリングをやりたい、と夢見ることと思います。iPS細胞の発見でノーベル生理学医学賞を贈られた山中伸弥教授の姿に接して、自分も科学者になりたい、医者になって病気の人を救いたいと思った子たちもたくさんいると思います。
野田さんも、今はやりの二世議員ではなく、「庶民から宰相になった立志伝中の人」です。昔であれば、子供たちの憧れと尊敬の対象になったはず。
野田首相は、民主党代表選で再選を果たしたあとの演説で、「子どもたちの笑顔、そして若いお父さん・お母さんの笑顔、おじいさん・おばあさんの笑顔を目指す」と語りました。子供たちが憧れと尊敬を抱き、大人たちが共感し支持する政治家を、1人でも多く育てること。それが、野田さんが語った夢を実現する一番着実な方法です。
(文責:梅本龍夫)
讀賣新聞
【記事要約】 「民自公、党首会談決裂」
- 野田首相は19日、自民党の安倍総裁、公明党の山口代表と会談した。安倍氏と山口氏は、衆院解散時期の明示を主張したが、首相は具体的な時期を示さず、会談は物別れに終わった。
- 首相は、「近いうち」の解散を判断するために、以下の3つの環境整備を提示した。①赤字国債発行のための特例公債法案の早期成立、②衆参両院の「1票の格差」是正などによる選挙制度改革の実現、③社会保障・税一体改革を具体化する社会保障制度改革国民会議の早期設置―。
- これに対して、安倍氏と山口氏は、「『近いうち』をもっと具体的に明示してほしい。それがなければその先の話はできない」と述べ、3つの環境整備には応じられない考えを示した。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事要約】 「首相、年内解散応ぜず」
- 野田首相は19日、自民党の安倍総裁、公明党の山口代表と党首会談を行った。首相は衆院解散について、「政権の延命を図るつもりはない。条件が整えばきちんと判断したい」と述べたが、時期を明示しなかったため、会談は決裂した。
- 首相は、解散の条件として以下の3点を挙げ、自公に協力を要請した。①赤字国債発行のための特例公債法案の成立、②衆参両院の「1票の格差」を是正する選挙制度改革の実現、③社会保障制度改革を協議する「国民会議」の人選―。
- 首相は会談後、「(年末の)予算編成をしない政権は政権ではない」と述べ、自公が求める年内の衆院解散の確約には応じない考えを示した。党首会談が決裂したことで、29日からの臨時国会で自公は、審議拒否も辞さない構えであり、厳しい国会運営となるのは必至だ。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事要約】 「全米兵の夜間外出禁止」
- ルース駐日米大使とアンジェレラ在日米軍司令官は19日、沖縄県で起きた米兵2名による女性暴行事件を受けた再発防止策を発表した。日本に駐留するすべての米軍兵士の夜間外出を禁止する。外務省によると、米側が事件をきっかけに日本駐留の全米軍兵士の夜間外出を禁止するのは、初めてとなる。
- 在日米軍が発表した再発防止骨子は、以下の通り。▽「19日から、午後11時から午前5時まで夜間外出を禁止する(対象:日本に滞在する全ての米軍人。出張者や休暇中の者も含む)」、▽「違反者は統一軍法によって処罰する」、▽「軍人・軍属に対し、再研修を実施する」、▽「勤務時間外行動の指針を見直す」―。
- ルース大使は、今回の事件について、「この上なく憂慮しており、米政府の最高レベルの幹部が極めて深刻に受け止めている」、「日米両国間の信頼が失われるのは、私たちすべてにとっての損失だ」、と述べた。アンジェレラ司令官は、今回の防止策に加え、「他にもプログラムを実施する。詳細は情報は今後発表する」と語った。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事要約】 「CATV 1、2位統合」
- CATVトップ企業のジュピターテレコム(JCOM)は、同2位のジャパンケーブルネット(JCN)を買収する方針を固めた。JCOMのマーケットシェアは39%、JCNは11%であり、両社の統合により、CATV業界でシェア5割となる。
- JCOMは、住友商事が40%、KDDIが30.7%を出資。加入世帯は307万件、売上高3690億円、経常利益685億円(2011年12月期)。JCNは、KDDIが95.6%出資。売上高905億円、経常利益97億円(2012年3月期)。
- CATV会社は、有料多チャンネル放送とネット接続を主な収益源とする。光回線を使って番組を配信するNTT系の「ひかりTV」などと顧客争奪戦を繰り広げている。新会社は、コンテンツや設備の共同調達でコスト削減し、料金低下などで新規顧客を掘り起し、NTTの対抗軸となる。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事要約】 「米、外圧批判恐れ、口止め」
- 野田政権が「2030年代に原発ゼロ稼働」を目指す戦略を閣議決定する直前に、米政府が決定を回避するように求めた際に、米側が外圧批判を恐れ、口止めしていたことが判明した。米政府が、日本の脱原発世論の反発に神経をとがらせていることが浮き彫りになった。
- 5日にワシントンで行われた協議で、藤崎駐米大使が米エネルギー省のポネマン副長官に日本政府の新戦略を説明。これに対してポンネマン氏は、「あまりにも問題が重大すぎるため、大統領や国務省の意向を聞かずにコメントできない」と発言。さらに「くれぐれも外圧と取られないように注意してほしい。この協議は極めて機密性の高いものだ」と述べた。
- 米政府は、「日本の主権を尊重する」としながらも、協議を重ねるうちに次第に「閣議決定して政策をしばることを懸念する」、と閣議決定回避へ圧力を強めた。日本は、米国との意見交換後、「原発ゼロ」の閣議決定を見送り、「原発ゼロ法案」の整備も棚上げした。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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