2012.10.03 wed

新聞1面トップ 2012年10月3日【解説】世論調査って正しいの?

新聞1面トップ 2012年10月3日【解説】世論調査って正しいの?


【リグミの解説】

野田内閣の支持率は?
読売新聞の1面トップ記事は、「緊急世論調査」です。同様の世論調査を朝日新聞も実施し、1面の2番目記事として掲載してい
ます。両方の調査結果を比較してみます。

  • 野田内閣を支持するか 
    • 読売: 「支持する」34% (9月=27%)  「支持しない」56% (9月=63%)
    • 朝日: 「支持する」23% (9月=25%)  「支持しない」56% (9月=53%)

読売新聞は、野田内閣の支持率が、前回調査の9月に比べて7ポイント上昇し34%になったことを大々的に報じています。しかし朝日の調査では23%と逆に前回調査を2ポイント下まわる結果でした。調査方法はどちらも電話によるRDD法、有効回答数と回答率も似ており、調査対象日も同じで、質問文もほぼ同一です。

読売の見出しと記事は、自社調査の結果を反映したものですが、「セカン
ドオピニオン」として朝日の調査を見ると、留保つきで見た方が良さそうです。NHKも毎月世論調査をしており、まもなく10月の結果が出ると思いますので、そちらも参照すると良いと思います。

支持政党は?

  • 持する政党は  
    • 読売: 民主党18% (9月=15%)  自民党28% (21%)  日本維新の会 2% ( 2%)
    • 朝日: 民主党14% (9月=16%)  自民党21% (15%)  日本維新の会 2% (- )

ここでも、読売は民主党の支持率が3ポイント上昇し、そのことを記事でも指摘していますが、朝日では逆に2ポイント低下しています。野田内閣と民主党の支持率については、変動は誤差の範囲とも考えられます。一方、自民党支持率の回復は、読売で+7ポイント、朝日で+6ポイントであり、傾向として一貫性があるようです。

投票する政党は?

  • 次の衆院選比例区投票 
    • 読売: 民主党18%(9月=14%) 自民党36%(9月=31%) 日本維新の会13%(9月=16%)
    • 朝日: 民主党17%(9月=15%) 自民党30%(9月=23%) 日本維新の会 4%(9月= -)

比例代表区に関しては、日本維新の会の評価が大きく分かれました。どちらが実態に近いのでしょうか。日本維新の会の評価が低い朝日の調査ですが、「日本維新の会が国会で影響力を持つような議席を取って欲しいか」という質問に対しては、「取ってほしい」=47%、「そうは思わない」=43%と拮抗する結果でした。9月調査では、50%対36%でした。

読売新聞は、日本維新の会
の勢いに陰りが見えるとしますが、もう少し様子を見て判断した方が良いかもしれません(朝日は論評なし)。

世論調査の着眼点
世論調査の着眼点は、3つあると思います。

  • 第1は絶対数です。Yes、Noの比較と共に、未定・未回答がどれぐらいいるかにも着目します。実際の選挙などでは無党派層・浮動票の動きが大きな影響を持つ可能性があります。
  • 第2に、トレンドを見ます。過去調査に比してどう変化したかは、絶対数以上に傾向を示す大事な指標になります。
  • 第3がセグメント別の情報です。支持政党別の回答、男女別の回答、そして世代ごとの回答などがあります。新聞社の電話調査は固定電話を対象としていることもあり、若い世代を中心に固定電話を持たない世帯や調査時に家庭にいない有権者の声は反映されない問題があります。それもあってか、新聞社は世代別の情報をまず開示しません。

第2のトレンド情報には、変化の理由があります。そこを丁寧に聞くことと、第3のセグメント別分析を加えることで、世論調査はより精度の高いものになります。

しかし、新聞社の電話調査は固定電話を対象としていることもあり、若い世代を中心に固定電話を持たない世帯や調査時に家庭にいない有権者の声は反映されない問題があります。それもあってか、新聞社は世代別の情報をまず開示しません。

トレンド分析とセグメント分析を重視しない新聞社の世論調査は、構造的な偏りがあり、速
報レベルの参考情報にとどめるべきだと思います。

女と男が二分する国論?
朝日の世論調査で注目したのが、「原発ゼロ」に関連する質問です。

  • 原発をどうしたら良いか  2030年代より前にゼロ 36% (女性45%―女性で最多の答え)
    • 2030年代にゼロ  15%
    • 2030年代より後にゼロ 11%
    • ゼロにしない  31% (男性39%―男性で最多の答え)
    • その他    7%

大雑把に言って、脱原発派が3分の2、原発推進派が3分の1という構図の中、女性が脱原発を牽引し、男性は原発推進を支持している様子が垣間見えます。あなたは、この結果をどう見ますか?

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事要約】 「内閣支持上昇34%」

  • 読売新聞の世論調査(10月1~2日)によると、野田内閣の支持率は34%。前回調査(9月15~17日)の27%から7ポイント上昇した。不支持は56%(前回63%)。支持率の30%台回復は7月以来となり、内閣改造は一定の効果を発揮した。ただ、し政権浮揚を期待される田中文科相を「評価しない」が51%(評価する39%)、細野政調会長の起用の評価は拮抗(「評価する」39%「評価しない」40%)する結果だ。
  • 調査の主な結果は以下の通り。▽「首相にふさわしいのは」野田首相34%、安倍総裁44%、▽「民自公は国会審議で協力すべきか」協力すべきだ77%、そうは思わない18%、▽「政党支持率」民主党18%、自民党28%、日本維新の会2%、▽「次期衆院比例選の投票先」民主党18%、自民党36%、日本維新の会13%。
  • 自民党も総裁選の効果で支持率が野党転落後で最高となった。ただし、安倍総裁の選出を「評価しない」53%(「評価する」40%)と厳しい視線も向けられている。対照的に、石破幹事長の起用は「評価する」が70%に上った。日本維新の会は、勢いに陰りが見え始めている。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事要約】 「天井の崩落防止強化」

  • 国土交通省は、大規模な施設での天井崩落防止策をまとめた。東日本大震災では、天井の落下事故が相次いだ。これまで具体的な基準がなかったが、建築基準法施行令の改正を行い、早ければ来年度中に施行する。
  • つり天井の主な対策は以下の通り。①1㎡当り2kg以下の天井=つりの長さは3m以下、②2~6kgの場合=ボルトは2㎡に1本以上(つりの長さは3m以下)、③6~20kgの場合=ボルトは1㎡に1本以上(つりの長さは3m以下)、④その他の方法=耐震性を構造計算で確認(もしくは天井の下にネットを張るなどして落下防止)。
  • 東日本大震災では、全国で2千件あまりの天井崩落があった。国交省が全国の大規模つり天井物件約1万9千件を調べたところ、2割超に問題が見つかった。避難所に指定されている体育館や、客席が固定されて避難が困難な映画館については、優先的に改修を求める。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事要約】 「福島健康調査で秘密会」

  • 福島県は、東京電力福島第1原発事故を受けて実施中の健康管理調査について、委員らを事前に集め秘密裏に「準備会」を開いていたことが判明した。調査結果に対する見解をすりあわせ、「がん発生と原発事故に因果関係はない」ことなどを共通認識とした上で、本会合の検討委でのやりとりを事前に打ち合わせていた。
  • 関係者によると、事務局を務める県保健福祉部の担当者が非公開の準備会を開催し、配布した資料は回収し、議事録も残さず、準備会の存在を外部に漏らさないようにと口止めもしていた。9月11日に開催された第8回検討委の直前にも準備会を開き、子供の甲状腺がんが初めて確認された事例は、原発事故と因果関係はない、などの見解を確認していた。
  • 毎日新聞の取材に対し、県保健福祉部の担当者は準備会の存在を認め、「あらかじめ意見を聞き本会合をスムーズに進めたかった。秘密会合と言われても否定できず、反省している。(今後は)開催しない」と回答した。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事要約】 「カローラ全量現地生産」

  • トヨタ自動車は、為替相場に左右されない生産体制の構築するため、主力車種「カローラ」の輸出車をすべて、現地生産に切り替える検討を始めた。長引く円高で、海外生産を増やす流れは、今後も続くとみられる。
  • カローラは、トヨタの海外販売を支える主力車種で、日本からの輸出台数は年間20万台超で推移していたが、昨秋の米ミシシッピ工場の稼働で、国内生産分は7万台程度となっている。円高などで1台当りの採算性が数万から数十万円悪化しているため、2014年にも原則全量を現地生産に切り替える。
  • トヨタは今後3年間で21車種のハイブリッド車(HV)を投入する。HVで国内生産を維持し、高級車「レクサス」も大半を国内で生産する。高い技術が必要な最先端車種で国内生産とすることで、豊田章男社長が掲げる「国内生産300万台」の方針を堅持する。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事要約】 「町田市、コストコの構造変更を見逃す」

  • 町田市は、東日本大震災で崩落した「コストコ多摩境店」の駐車場スロープの検査で、構造変更を見逃していたことが判明した。震度6強に耐えなければならない施設が、震度5強で崩落し、2人が死亡した。
  • コストコが町田市に提出した書類では、店舗とスロープは一体構造となっていたが、実際には店舗とスロープを6ヵ所で溶接しただけだったことが、コストコ側の調査で判明した。2002年5月、町田市は工事途中で内部構造を確認する中間検査を実施。2回目は完成後に目視で確認する完了検査でも「問題なし」としていた。
  • 町田市は、「構造を変えるなら建築基準法では設計変更の申請が必要。だが申請はなかった」とコストコ側の責任を強調する。だが、なぜ構造変更を見逃したのかについては、「検査内容の記録が残っておらず、わからない」(建築開発審査課)と説明。事故からまもなく1年7ヵ月経つが、いまだに検査見逃しの原因がはっきりせず、検査制度の改善にもつながっていない。

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)



【本日の新聞1面トップ記事】アーカイブ