2012.09.13 thu

新聞1面トップ 2012年9月13日

新聞1面トップ 2012年9月13日


【リグミの解説】

首相官邸前デモの雰囲気
最近のデモ、参加したことありますか?


毎週金曜日に首相官邸前で反原発のデモが続いています。今回のデモは、1960年代に盛んだったデモや、その後も市民活動家や労働組合、学生運動家などが主催する抗議活動とも異なるものだと言われます。大きな違いは、参加者の雰囲気や動機です。確かに、普通の生活者がそれぞれの「思い」を秘めて参集しているところに、大きな特徴があることは、現地の映像からも伝わってきます。

今の時代のデモの特徴を一言で言うと、「まだら模様」となるのではないかと思います。参加の動機もさまざまで、原発に対する問題意識では一致していますが、具体的な考え方や主張には濃淡があり、結果として現地での活動もそれぞれのレベルで成されている、というもの。この活動が意味するものや、今後の展開はどうなっていくのか。リグミも大いに注目をしています。

2030年代に原発ゼロ
政府は民主党の方針を受け、新しいエネルギー政策を検討してきましたが、「2030年代に原発ゼロ」を目指すことを明記するこ
とになりました。朝日新聞と毎日新聞は、本日の1面トップでこのことを報じています。

朝日は、原子力エネルギー政策を推進し日本と技術協力をしている米国が、日本政府の新しい政策に関心を示し、その反応によっては政府方針の見直しもありえると示唆。一方、毎日は、政府方針は再処理施設を抱える青森県への配慮と、原発ゼロ方針に反発する経済界に配慮する内容になっている、と解説しています。

「原発ゼロ」ということを、ひとつの「結論」とし、具体的時期を「ゴール」として設定したとき、そこからさまざまな難しい課題が飛び出します。米国の反応、原発施設を抱える自治体の反応、経済界の反応は、その代表例です。政治は、こうしたステークホールダー(利害関係者)の利害を調整をし、高度な妥協点を探る作業をしなければなりません。しかし、原発のステークホールダーの中に、一般の国民が含まれることは、今まではありませんでした。

それが今回は、ステークホールダー同士の複雑な関係をほどく作業の最初のステップに、「国民的議論」が置かれました。これは画期的なことです。そして、この大きな変化を生み出したひとつの要素が、首相官邸前デモをはじめとする全国で自然発生的に起きた抗議運動のうねりです。ステークホールダーを利害関係者と解釈すると、パイの奪い合いというイメージになりがちです。しかし今起きていることは、原発というエネルギー政策とその課題の「当事者」として責任と義務を負い、権利を有する存在と解釈するのがより良いと思います。

まだら模様の「思い」
一躍原発ステークホールダーという「当事者」の筆頭格に躍り出た国民は、さてここからどう事態を判断し、行動すべきなので
しょうか。先週金曜日(7日)の首相官邸前デモは、その前までと打って変わって、参加者数と熱気がトーンダウンした、と現地取材におもむいたリグミスタッフは言います。なぜでしょうか。これは今の段階の推測でしかありませんが、さまざまな「思い」をもって自然発生的に参集した人々のうち、「長期的に確実に原発ゼロを達成してほしい」「いろいろな難しい問題を調整しながら、そこにソフトランディングしてほしい」と思っている人々が、民主党・政府の新方針を聞いて、参加を見合わせた可能性があります。

デモは、有効な意思表明の手段です。しかし、それが唯一の方法ではありません。原発ステークホールダーとなった国民は、これから原発についてますます責任をもって対処する必要があります。その最初の重要な行動の場が、次期衆院選となるでしょう。どの政党に、どの政治家に投票するか。投票は全権委任であり、エネルギー政策だけでは決められません。それでも、原発について明確な意思表明を政党がし、それを国民が冷静に判断し、一票を投じることは、日本を変えていく歴史的な一歩になるでしょう。

国民の「思い」は単純な二項対立ではありません。まだら模様です。その模様を、より鮮やかな織物に高め、国家の次の20年、50年、100年の方向性を具体化すること。それが政治の責任であり、国民が協働して推進する一大テーマになります。

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事】 「日本維新の会」結党宣言

  • 大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は12日、国政政党の「日本維新の会」の結党を宣言した。大阪維新の会と同様に、日本維新の会の代表に橋下氏、幹事長に松井一郎大阪府知事が就任する。
  • 松野頼久元官房副長官ら、民主党、自民党、みんなの党に離党届を出した国会議員7名が新党に合流する。政党要件の「国会議員5人以上」を満たし、近く総務省に政党の設立を届け出る。
  • 日本維新の会は、次期衆院選に350人程度の候補者を擁立し、過半数の議員獲得を目指す。小選挙区比例代表並立制導入で、政界は民主と自民の2大政党制にほぼ収れんしたが、日本維新の会がこれに続く第3極の中心的勢力となり、政界再流動化をもたらす可能性もある。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 原発ゼロ「2030年代」明記

  • 野田政権は、新しいエネルギー政策の原案で、「2030年代に原発ゼロ」を目指すことを明記する。一方で、原発で使い終えた核燃料を再処理した上で再利用する「核燃料サイクル政策」の見直しは、先送りする。
  • 新エネルギー政策の概要は以下の通り。①「2030年代の原発ゼロ」を目指す、②原子力規制委員会が安全性を確認した原発は「重要電源」として再稼働させる、③原発の40年廃炉を徹底する、④「核燃料サイクル政策」の見直しを先送りし、関連施設の立地地域を使用済み核燃料の最終処分場にしない、⑤「もんじゅ」は研究炉に転換し、年限を切って成果確認し終了する、⑥青森県六ケ所村で建設中の再処理工場の存廃の判断は先送りする。
  • 政府は、14日にも関係閣僚によるエネルギー・環境会議を開催し、新エネルギー政策を決定する。日本のエネルギー政策の見直しに、米国の原子力産業や日米の原子力技術の協力関係に影響を受けるため、米国も関心を寄せている。米国側の反応によっては、政策の修正を迫られる可能性もある。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 政府「核燃料サイクル維持」

  • 東京電力福島第1原発事故を受けて政府が策定する新エネルギー・環境政策の原案が明らかになった。2030年代の原発稼働ゼロを目指す方針を明記する。ただ、原発ゼロの実現方法は「不断に見直す」との規定を盛り込んでおり、将来の政策変更の余地を残した。
  • 新エネルギー政策の骨子は以下の通り。①2030年代に原発稼働ゼロを目指す、②40年運転制限制を厳格適用する、③安全確認された原発は再稼働する、④原発の新増設はしない、⑤核燃料サイクル事業を継続する、⑥高速増殖炉「もんじゅ」は廃棄物削減を目的として危険限定の研究炉とする、⑦エネルギー環境や経済判断を踏まえ、原発ゼロへの道筋は不断に見直す。
  • 焦点の核燃料サイクル政策について、再処理事業を当面維持し、関連施設を抱える青森県などに配慮。また原発を「重要電源」と位置付け安全が確認された原発を当面再稼働することで、経済界などの反発にも配慮した。政府は14日にエネルギー・環境会議を開催し、正式決定する。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 伊藤忠、米ドールの事業買収

  • 伊藤忠商事は米ドール・フード・カンパニーが世界中で展開する缶詰・果汁飲料事業を買収する方針を固めた。アジアの青果物の生産・販売事業も取得する方針。今月末までの合意をめざし、2012年度中の買収を完了したい。買収額は17億ドル(約1320億円)とみられる。
  • アジアでは青果物の需要が年率7%で増加するとする予測があり、中間層の人口が増えれば、ドールが扱う高級果物や果汁飲料など嗜好性が高い食品の需要も増大すると期待される。伊藤忠が扱う国産の青果物にドールブランドを付け、世界で販売する考えもあり、日本の農業生産者が海外販路を獲得する道筋にもなりそうだ。
  • 伊藤忠としては、1998年にファミリーマートに約1350億円を出資したケースに続く大型投資となる。食糧関係では、丸紅が 米穀物第3位のガビロンを36億円で買収することを決めている。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 ライフライン復旧にスピード

  • 東京都が12日に公表した新たな地域防災計画の素案で、被災後の都市の再生を目標として打ち出した。現行計画と同様に、人や建物の被害を減らす目標を掲げた上で、東日本大震災後の被災地の復興の遅れを教訓としておりこみ、首都機能と市民生活の早期再生のための道筋をつける。
  • 医療確保策として、「災害拠点病院」以外の病院もすべて「災害拠点連携病院=生命の危険につながらない中等症の患者受け入れ」「災害医療支援病院=慢性疾患への対応」のいずかに位置づけ、患者が災害拠点病院に集中しないようにする。
  • ライフラインは電力についてのみ、「7日で応急復旧」との目標を掲げていた。これに通信14日、上下水道30日、ガス60日以内に95%以上回復を加え、避難者の早期帰宅を実現する。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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