【リグミの解説】
読売新聞の記事に一言
法科大学院修了者の司法試験合格率が低いという記事について一言。合格率という結果で、法科大学院の価値は本当に決まるのでしょうか。
答は「イエス&ノー」だと思います。合格率が低ければ存在意義が問われ、経営も息づかるでしょう。しかし合格率が高い大学院が、合格率至上主義の予備校のようになれば、受験勉強一本やりでない幅広い人材の育成という理念からは、逸脱してしまいます。一律の記事でなく、法科大学院の成功例と失敗例をケーススタディ化し、問題を深堀した記事を読みたいと思います。
朝日新聞の記事に一言
原発事故による避難自治体のための「仮のまち」は、「集約型」が良いか「分散型」が良いか。本来望ましいのは集約型だと思いますが、現実の制約の中で、分散型で進める計画になっています。この困難な事例を、将来のコミュニティーの設計や運用の「モデルづくり」に活かすことはできないでしょうか。
「仮のまち」が「本来のまち」に半歩でも近づくために、ハード・ソフト両面で何が必要か。それを検証していくことは、災害対策のみならず、現代日本の社会の在り方を見つめ直す契機となるのではないかと思います。特に、被災者が体験した「アイデンティティーの危機」は、日本人全体のテーマでもあります。
毎日新聞の記事に一言
民主党に続き、政府自身も、「2030年代に原発ゼロ」方針を採択したという記事です。民主党に質問です。
「民主党政権の本音は、選挙対策でしょうか? それとも日本の『国家100年の計』の重要な柱となるエネルギー政策の樹立を意味するのでしょうか?」
民主党の方針に対し、各野党はどういう政策を掲げるのか。次期衆院選では、2030年代が見える選挙戦を期待したいです。「国家100年の計」を作るのに、何10年もかける余裕は今の日本にはありません。選挙対策のためのイメージ戦略やワンフレーズメッセージに幻惑されず、政党の本音をあぶり出すために、各党に共通の土俵に上がってもらい、重要政策を客観的に比較検討できる場を設けるのが、マスコミの役割であると思います。
(文責:梅本龍夫)
讀賣新聞
【記事】 予備試験組7割合格
- 今年の司法試験の合格者は2102人(前年比+1.9%の39人増)で、法科大学院修了生が24.6%であったのに対し、法科大学院を修了しなくても受験資格が得られる予備試験を通った受験生が68.2%であった。法務省の司法試験委員会が11日に発表した。
- 予備試験は、法科大学院終了と同程度知識や応用力があるかどうかを判定する試験で、昨年度の合格率は1.8%だ。法科大学院に通う資力がない人や、働きながら合格を目指す人のための例外的な制度で、極めて高いハードルが課せられている。
- 構想段階で7~8割の合格率を想定していた法科大学院に対して、一層の失望感が広がる可能性がある。”試験漬け”でない教育で多様な人材を法曹に送り込もうとした法科大学院の窮状により、異常な過当競争だった旧司法試験に逆戻りしかねない。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事】 仮のまち、整備指導へ
- 東京電力福島第1原発事故の避難自治体が、帰還までの定住先として別の自治体内に構える「仮のまち」をめぐり、福島県は、大熊町の住民らのために、会津若松市内に住宅を先行整備する方針を固めた。「仮のまち」は、浪江町、双葉町、富岡町も検討しているが、具体的な計画が明らかになるのは初めて。
- 今回は、公共機関なども1ヵ所に集める「集約型」でなく、町の施設や住宅が別々の場所に散らばる「分散型」となる。復興庁は、「仮のまちは基本的に復興住宅の分散型で進めることになる」と話す。
- 福島県によると「最も重要なのは土地の確保」であり、会津若松市に建てる復興住宅をモデルケースと位置付け、いわき市や郡山市などでも整備を急ぐ考えだ。県は今回の計画を含む復興住宅500戸分の用地取得と造成費として、補正予算案に55億8千万円を盛り込んだ。5年間で5千戸の整備を見込む。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事】 「2030年代原発ゼロ」明記へ
- 政府は、新たなエネルギー・環境戦略で、原発の稼働を2030年代にゼロとする目標を明記することで最終調整に入った。民主党が「2030年代に原発ゼロ」とする提言をまとめた後、経済界や使用済み核燃料の再処理工場を受け入れている青森県などが反発し、10日の新戦略決定が延期されていた。
- 青森県は、「原発ゼロ」方針により核燃料再処理政策が放棄されるとの懸念はなお強く、短期間で理解が得られる状況ではない。このため政府は青森県に対して、新戦略の骨子を説明し、地域経済への影響を極力押させる地域振興策を提示した模様だ。
- 野田首相は10日に、民主党が示した3原則(①原発の新増設は行わない、②40年運転制限の厳格適用、③再稼働は原子力規制員会の安全確認を得たもののみ―)の踏襲を明言。複数の政府幹部も「首相の姿勢は変わらない」と語る。日本の原子力政策に「強い関心」を示した米政府との間でも、新戦略について調整を本格化させている。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事】 中小再生へ地域で基金
- 全国の地域金融機関で、中小企業の経営再建を目的としたファンドの設立が相次いでいる。今年に入って10近い再生ファンドの設立や計画が明らかになった。
- 北海道の北洋銀行は、投資会社のジェイ・ウィル・パートナーズと組み、今月中にファンドを設立する。千葉県は、県内の金融機関が10億円、国の中小企業基盤機構が9億円、県が1億円出資する総額20億円の中小再生ファンドを補正予算案に盛り込んだ。広島では、広島銀行など県内の10の金融機関が11月末に30億円のファンドを作り、日本政策投資銀行とも組む。
- 来年3月に、返済猶予を認める中小企業円滑化法が修了するのを受け、債務整理や経営指導をファンド主導で進める。資金繰りの苦しい中小企業を支え、地方景気への打撃をやわらげる狙いがあり、政府も後押しする。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 声よ届け、人間の鎖再び
- 今月11日、東京・霞が関の経済産業省の敷地の一角に、脱原発を訴える人々のテント村が現れて1年となった。東京電力福島1原発事故から半年の節目となった昨年の9月11日に、群衆が経産省を取り囲んだ抗議行動に合わせ、市民団体がテントを設置したのがきっかけだった。
- 東日本大震災と原発事故から1年半となった11日夜、約700人が手をつなぎ、「人間の鎖」で経産省の建物を取り囲み、原子力規制委員会の人事などに反対の声を上げた。テント村の代表の淵上太郎さんは「日本の原子力政策が変わるまで、私たちはこれからも頑張る」と強調した。
- 経産省は「国有地の不法占拠だ」として自主退去を求めている。しかし関西電力大飯原発の再稼働問題を契機に首相官邸前のデモが盛んになり、その道中にあるテントに立ち寄る人は増えるばかり。原発反対の声の高まりと共に存在感を増しており、全国から訪れた人が語り合う場ともなっている。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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