【リグミの解説】
大震災1年半後の現実
東日本大震災から1年半が経ちました。被災地の現状は依然として厳しいものがあります。現地からは、ボランティアなどの支援を引き続き求める声が伝わってきます。被災地以外の人々にとって、震災の記憶は次第に薄れてきていますが、大災害が起きた現実は厳として存在し続けています。津波に襲われ、広範囲が荒地と化しました。今そうした土地が雑草に覆われる光景を見ると、時間の経過を体感するとともに、何一つ復旧も復興もできない場所が多くあることを思い知らされます。
今朝の読売新聞は、「首都直下型地震」が発生したときの帰宅困難者対策を報じています。去年の3月11日、首都圏の人々は、電気が煌々とつく大都会のど真ん中で、動かない公共交通機関と大渋滞の幹線道路をしり目に、家を目指して黙々と歩き続けました。当時の帰宅困難者は515万人に上りました。首都直下型地震では、その数が2倍近くの989万人に増えると想定されます。各家庭は「最初の3日間」を自助でしのぎ、企業側も従業員を帰宅させず近隣者も受け入れて、3日間共助できる体制が必要になります。その後に、公的支援(公助)との連携に移行します。
「当事者」同士で連携する時代
日本は、未曽有の大災害の時代に入ったとする説があります。「自助、共助、公助の連携」が今ほど必要な時代はありません。1人ひとりが「当事者」となり、「自助、共助、公助の連携」を足もとから作り上げる必要があります。そして、来たるべき災害の「当事者」としての自覚を持ち、足元の防災・減災に取り組むメリットは、自分たちの小さなコミュニティや組織に留まるものではないと思います。遠回りなようでも、多くの被災者(災害の「当事者」)を抱える東北の人々との連携の一番現実的な礎になるはずです。
今の日本は、多くの政治課題で「賛成」と「反対」に分断されています。しかし、いったん事が起きれば、分断し、いがみ合っている暇はありません。チームプレイは日本のお家芸です。大災害などの有事に備えて、組織や地域を横断する連携力を蓄え、日本全体が強靭でしなやかな存在になる。災害を福に転じて、知恵と工夫を発揮できる社会でありたいと思います。チームプレイは、日本の最高の「ソフトパワー」です。
讀賣新聞
【記事】 「首都直下」社内に3日待機
- 内閣府と東京都などでつくる「帰宅困難者等対策協議会」は10日、指針を発表した。震災発生時などを想定した帰宅困難者対策として、首都圏の全企業を対象に、従業員を震災発生から3日間は帰宅させず社内に残すように求める。
- 指針は企業に対して、自社従業員用に3日分の食料(1人9食)、飲料水(同9リットル)、毛布(同1枚)などを備蓄し、さらに従業員用とは別に、10%余分に用意することを要請している。また自治体指定の「一時滞在施設」に、大型店や企業のなどの協力を得てエントランスホールも指定し、受け入れ規模に応じて食料、水の備蓄を求める。
- 昨年3月の東日本大震災で約515万人の帰宅困難者が発生した。内閣府は、首都直下型地震で989万人の帰宅困難者が発生すると試算する。指針は、都など自治体のほか、経団連、不動産協会、各種業界団体が合意した。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事】 谷垣氏、朝の強気から一転
- 自民党の谷垣禎一総裁が10日、総裁選への立候補を断念した。記者会見で「たくさんの方が出ると、自民党の路線が分からなくなる。特に執行部から2人出るとよくない」と断念理由を語った。
- 「論理的分析なんてしない。まさに瞬時の判断だ。冬山で、この壁を登ろうかどうかというのは瞬時の判断になる」と、登山家の谷垣氏は周囲に漏らした。10日朝まで谷垣氏は意気盛んだった。ただ、有力候補の乱立で再選の可能性は低いことは分かっていた。
- 執行部も石原氏支持に傾き、孤立感を深めていた。よすがは野田首相で、「近いうち」の衆院解散の言葉を頼りにしていたが、首相は来年度予算案編成に意欲を見せ、12月のロシア訪問を打ち出した。志半ばで谷垣氏は総裁選レースから姿を消す。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事】 首相、3党合意を堅持
- 民主党代表選に立候補した野田首相は、自民党総裁選不出馬を表明した谷垣総裁が退任しても、税と社会保障の一体改革に関する自民、公明との3党合意を維持する考えを示した。
- 3党合意について、赤松元農相、鹿野前農相も同様の考えを示した。原口元総務相は、首相に対する問責決議案の参院決議によって「3党合意の土台は壊れた」と主張した。
- 消費増税を巡って71人が離党したことについて、赤松氏、原口氏、鹿野氏は、党分裂を招いた首相を相次いで批判した。首相再選は揺るがない情勢だが、批判票が大量に出れば、政権運営は一層厳しさを増す。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事】 ミャンマーで通信整備
- 日本企業がミャンマーで社会インフラの整備に乗り出す。生産拠点、消費市場として潜在性が高いとされるミャンマーには、人件費が上昇している中国に代わる候補地として期待が高まっている。
- 日本企業によるミャンマーでの主な社会インフラ事業は以下のとおり。「NTTドコモ:日本の携帯電話を現地で使える国際ローミングを検討」「三菱商事、住友商事、丸紅:ヤンゴン近郊で大型工業団地建設へ向けた事業化調査」「東洋エンジニアリング:タイのグループ会社がヤンゴン近郊でガス火力発電所を建設」。
- ミャンマーに対する日本からの直接投資は、国・地域別で12位で、タイや中国に比べ大きく出遅れていたが、民主化に舵を切る中、企業の進出意欲が高まっており、日本の対ミャンマー投資の拡大にもつながりそうだ。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 再生エネ、共同購入・配電
- 東京都内の複数の生活協同組合が、電力を共同購入し、一般家庭でも原発以外の電力を選べる仕組みの検討に入った。大手電力会社が独占している家庭向け電力が、生協の仲介で、大手以外を選択できるようになる。来年度中の実現をめざし、脱原発を後押しする。
- 東京都生協連合会の秋山・組織課長は「都生協連では原発に頼らない社会の実現を目指している。各生協の組合員にも東京電力以外の電力を選びたいとの声は多い」と述べ、再生可能エネルギーの”産地直送”を目指す考えを示した。構想は、組合員の需要を束ねて大口としての扱いを受け、電力小売会社(特定規模電気事業者=PPS)から電力を買い、各家庭に配電する。
- 配電には東電の電線を使うため、電気事業法の特例措置が必要となる。世田谷区の保坂区長は「電力自由化への社会実証モデル地域となれるよう、特区的な扱いを国に求める」と話す。政府は電気事業法改正案の方針を出しているが、各生協は早期の実現を求めており、世田谷区を法改正前の具体化モデルとしたい考えだ。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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