2012.09.09 sun

新聞1面トップ 2012年9月9日

新聞1面トップ 2012年9月9日


【リグミの解説】

俳優の体格
映画では、俳優の体格が実際と随分違って見えるものです。クリント・イーストウッド監督の『インビクタス/負けざる者たち』
は、南アフリカのラグビー代表チームの活躍を描いた映画ですが、主演のマット・デーモンは身長178cm。その彼が演じたキャプテンは、実際には190cmを超える体躯でした。そのことを知ったマット・デーモンは、役を引き受けるべきか悩みましたが、イーストウッド監督に「カメラワークで体格のイメージはどうにでもなる」と説得されました。実際、南アフリカチームがラグビーワールドカップで連戦連勝となる終盤の映像で、マット・デーモンは本当に大きく見えました。

等身大の関係
毎日新聞は1面トップ記事で、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催されているロシア・ウラジオストクで、野田首相とロシアのプーチン大統領の
会談内容を報じています。

プーチン氏は、柔道で鍛えた体が自慢で、自分を大きく強い存在に見せることにこだわると言われます。公式
の場では笑顔を見せないのもイメージ戦略の一環で、カメラがなくなった後ではじめて、気さくな本来の人柄で接してくるという話を聞いたことがあります。野田さんは、「等身大」のプーチンさんを発見できたでしょうか。日本には北方領土問題の解決が、ロシアには極東を中心とした経済開発の思惑があります。トップ同士が直接出会うことで、はじめて理解し合い、共有できる基盤が見えてくるものです。双方の本当の姿を見せ合い、解決すべきことを解決し、未来志向の関係を構築していけるか、注目です。

野田首相は、クリントン米国務長官とも会談をしました。こちらは朝日新聞の1面トップ記事です。オスプレイの配備問題、竹島・尖閣諸島問題、原発ゼロ政策について話し合いました。クリントンさんは、物事の是非の判断基準が明快で、率直な物言いでイエスとノーを伝える方という印象があります。野田さんは、クリントンさんに会い、日米両国の「等身大」の関係が今どこにあり、本来どうあるべきか、明瞭になったでしょうか。

「目は口ほどにものを言う」
そして野田首相は、韓国の李明博大統領とAPECの会場で出会い、笑顔で握手をしました。その様子を、読売と朝日が1面の2番目の記事として写真報道しています。

首相は「目が合った瞬間に自然発生的
に握手したが、言葉は交わしていない」と説明しました。竹島問題をきっかけに日韓関係は急速に悪化。APECで両国首脳が隣同士で座る予定なのに、お互いに目も合わさないまま会議は終わるのかと懸念されていました。「目は口ほどにものを言う」という諺もあります。相手をしっかり見つめることは、「等身大」の相手を冷静に観察し、理解するきっかけを与えてくれます。そこから、本当の「対話」が始まります。

(文責:梅本龍夫)



讀賣新聞

【記事】 維新、衆院選350人擁立へ

  • 大阪維新の会は、国政政党の新党「日本維新の会」を結党する。橋下徹大阪市長が新党代表に就任、12日に結党宣言する。衆院選公約「維新八策」を党綱領と位置付ける。
  • 次期衆院選で全国に、350人規模の候補者擁立を目指し、公募を始める。全国の地方議員にも新党への参加を呼び掛ける。橋下氏は「政治的決定をやる以上は(衆院選で)過半数を目指す」と語る。
  • 新党には松野頼久・元官房副長官ら衆参両院の国会議員7人が合流する見通しだ。他に東国原・前宮崎県知事、中田・前横浜市長など首長経験者の擁立を検討している。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 「オスプレイ、国内で懸念」

  • 野田首相は8日、ウラジオストクでクリントン米国務長官と会談した。沖縄に配備が予定されている新型輸送機オスプレイについて、「日本国内で安全性への大きな懸念が寄せられている」と伝え、日本での運用前に日本政府として安全確認する必要性を強調した。これに対してクリントン長官は、安全性に自信があるとして、情報提供など日本に協力していく考えを明らかにした。
  • 一方、クリントン長官は、野田政権の脱原発政策について「米国も関心を持っている」と表明した。野田首相は「原発ゼロ」を含む新エネルギー戦略を近くまとめることを説明した。両氏は「原子力政策は日米関係にも重要だ」として、日米間で緊密な意見交換が必要との認識で一致した。
  • 竹島の領有権問題では、野田首相が国際司法裁判所(ICJ)への提訴の向けた経緯を説明。両氏は尖閣諸島問題でも意見交換し、中国や北朝鮮への対応を念頭に、日米韓の連携が重要との認識で一致した。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 首相12月訪露で合意

  • 野田首相は8日、ウラジオストクでロシアのプーチン大統領と会談した。訪露を招請されていた首相は、「年内12月をめどで調整する」ことを表明し、大統領も「歓迎したい」と受け入れる考えを示した。
  • 首相は、訪露に先立ち次官級協議を今秋に開催することを提案し、大統領が了承した。北方領土問題の実質的協議がようやく本格化する見通しになった。
  • エネルギーなど経済協力では、両氏から極東・シベリア開発で日露の協力関係を強化することへの期待感が示された。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 東電が原子力改革組織

  • 東京電力は、原子力部門を社外の専門家主導で改革する「原子力改革監視委員会」を立ち上げる。閉鎖的で安全対策の改革が遅れていると指摘される大手電力の原子力部門に、社外有識者が関わることで透明性を高める。
  • 監視委のメンバーは、デール・クライン米原子力規制委員会(NRC)元委員長、大前研一氏、桜井正史・元名古屋高検検事長、下川辺和彦・東電会長。欧州の原子力専門家もメンバーに加える方向で調整中だ。
  • 監視委の下に、広瀬直己社長をトップとする30人規模の社内横断チーム「原子力改革特別タスクフォース」を置き、改革プランを立案し実行する。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 キーン先生、日本人の半年いかがですか

  • 米国出身の日本文学研究の第一人者キーン・ドナルドさんが、東日本大震災の惨状に「一緒に生きたい。日本人になりたい」と日本国籍を取得して半年。6月に卒寿を迎えても元気いっぱいだ。
  • キーンさんは、1974年から北区に居を構え、日米を往来してきた。「日本人になった」と報道されると近隣や商店街の人々の対応も変わり、「仲間になった」と実感。取材が殺到し、古い知人、友人が相次いで訪ねてきて、寝る間もないほどだった。
  • 古典がおろそかにされていることが気になる。「文楽は世界に誇る日本の宝」とし、大阪で文楽への補助金が大幅に削減されたことを批判する。源氏物語や井原西鶴、近松が読まれないのは教育の問題と語る。「外国で認められる日本文学が日本で認められるように、もっともっと言いたいです」。そして「日本人になった今が、人生で一番しあわせです」と付け加えた。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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