【リグミの解説】
「2030年代」に向けて
民主党が、「2030年代に原発ゼロ」の方針を打ち出した、と毎日新聞はトップ記事で報道しています。民主党内には、原発維持を主張する議員が一定数いると言われます。今回の党方針は、政府がおこなった「国民的議論」などの結果を重く受け止め、選挙に勝てる政策を打ち出すことを優先した、と見られます。
しかし選挙のテーマは「原発」(エネルギー政策)だけではありません。「財政再建」「消費増税(税制の在り方)」「社会保障(格差問題、雇用政策)」「年金」「経済」「少子化」「高齢化」「外交(日中、日韓、日米)」など、ちょっと考えただけで、十指に余るほどのテーマが出てきます。どのテーマも、「日本問題」とも呼ぶべき構造問題が背後にあり、小手先の対応では解決しそうにありません。政権政党が変わっても、日本の構造問題が変化するわけではありません。
「国家100年の計」プロジェクト
あり得ない理想(というよりも空想)かもしれませんが、主要政党を横断する政策プロジェクトチームを立ち上げ、「国家100年の計」を協働で策定することを提案してみたい気持ちです。これをロードマップにして、どの政党が政権与党になっても、日本の大きな方向性については、ぶれない状況を創る、というもの。
これがあまりに荒唐無稽というなら、各政党が共通のフォーマットで政党公約を提出する、というのはどうでしょうか。政党が勝手に自分の言いたいことだけを言い、「選挙の顔」でイメージに訴えかけたり、「耳触りのいいワンフレーズ」で誘惑するのではなく、国民が本当に知りたい政策提言を、同じ土俵の上で横並びに評価できる仕組みを用意します。
やり方は、討論型世論調査(DP)に近いものが面白いと思います。国民全員が、マスコミ報道やネット中継などで検討のプロセスを見る中、各政党が政策を発表。政党間のディベートもします。それを国民代表の300人ぐらいのメンバーが会場で聞き、小グループで内容の検討会を開く。さらに有識者などの客観的意見を聞く。政党への質疑応答もする。そして最後に投票をします。この投票結果をもとに、政党も国民も、自分たちの方向性を再吟味し、総選挙に備えます。
「衆知」か「衆愚」か
「民意」がかつてない大きなうねりになっている日本。しかし同時、ポピュリズム(大衆迎合主義)がますます強まっている感のある日本。民主党が打ち出した「2030年代の原発ゼロ」は、今からだいたい四半世紀後の姿です。では今から四半世紀前はというと、1980年後半のバブル期です。絶頂期を迎えた日本は、熱に浮かされて踊っていました。
今から25年後の日本は、国民自らが「国家100年の計」を計画し実行する「衆知」の社会になっているのでしょうか。それとも、その場その場の人気投票に右往左往する「衆愚」の社会にとどまっているのでしょうか。2030年代に向かう、「苦しいが明るい上り坂」と「楽だが昏い下り坂」の両方が、今見える気がします。
(文責:梅本龍夫)
讀賣新聞
【記事】 細野氏きょう首相に伝達
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事】 細野氏、出馬見送る意向
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事】 「2030年代原発ゼロ」目標
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事】 南欧国債、買い支え
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 再稼働、不要裏付け
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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