【リグミの解説】
学習効果の上がらない自民党
自民党が不思議な動きを続けています。野田政権の消費増税法案を、民主・自民・公明の3党合意で成立させたにもかかわらず、その消費増税法に反対する内容の首相問責決議案に賛同をしました。すると今度は、そうした動きをした谷垣総裁を引きずりおろそうとする動きが党内で起きています。動きの中心にいるのは、派閥の長老たちです。自民党は、野党に下ったこの3年間で、何を学んだのでしょうか。
日本型組織の構造問題
日本の政治家は、自分の支持母体だけでなく、所属党派の動向も上手にコントロールすることが求められます。これは日本の組織や社会にはよく見られることです。長い伝統を持つ大手企業の中には、社長の上に会長、名誉会長、相談役、名誉相談役、等々の先輩たちが連なり、その意向を汲んで経営にあたるため、改革を断行できず、経営の最終判断者が誰かわからない無責任経営に陥る例がよくあります。倒産したカネボウや不祥事に揺れるオリンパスなどは、その典型です。自民党が民主党に敗れた理由はさまざまありますが、派閥の長老たちが政治の重要な動きを裏で操作するやり方が、時代に合わなくなったことが、根っこにあったと思います。
新しい時代の政党像
「派閥の長老」という呼び名自体が昭和の匂いを色濃く漂わせていますが、今朝の毎日新聞の1面トップ記事は、意図的にこの言葉を使って自民党の動きを報じています。「派閥長老が連合する政党運営」の何が、時代に合わなくなっているのでしょうか。端的に言って、コミュニケーションの取り方と、意思決定の仕方の変革が必要になっています。
長老たちが求めるのは、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」。でもこれは、総裁を部下扱いする姿勢です。今必要なのは、「対話」です。対等な立場で、政治の流れや人事などに関する「まじめな雑談」をし、さらには本質的な政策論議を突っ込んでできる関係。そうした「対話」を交わした上で、最後は党のリーダーたる総裁が上に立ち、「衆知を集めて1人で決める」べきです。衆知(多くの人の知恵)を提供するところに、長老たちの大きな価値があります。でも、決めるのはリーダー。長老は決まったことをとにかくサポートする。
グローバルレベルで、複雑な政治課題がハイスピードに展開する今日の政治環境に、どうやって適応するか。これは自民党に限ったことではありません。新しい時代の政党像を創るのは、リーダーたる党首であり、フォロワーたる長老やベテラン議員たちです。それができない、したくない、という政治家は、早期に引退すべきでしょう。
(文責:梅本龍夫)
讀賣新聞
【記事】 石原氏、総裁選出馬へ
- 自民党の石原幹事長は3日、党総裁選への自らの出馬表明を今国会会期末の8日に正式表明する意向を固めた。国会会期中は執行部の一員として野田首相に衆院解散・総選挙の実現を迫ることに専念し、国会後に総裁選への対応を明らかにすべきと判断した。
- 石原氏に近い議員によると、石原氏の意思は固く、立候補に必要な20人の推薦人も既に確保した、としている。石原氏を支持しているのは、石原氏を中心とする派閥横断的な勉強会「勁草の会」のメンバーで、塩谷総務会長、岸田国会対策委員長、田野瀬幹事長代行など。
- 石原氏は、谷垣氏が出馬する場合には支持する考えを表明していたが、「谷垣氏の再選は難しい」(石原氏周辺)と判断し、自ら出馬する方針に転換したと見られる。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事】 線量計、4割つけず
- 福島第1原発事故が起きた昨年3月、東京電力が線量計をつけずに働かせた作業員が、延べ3千人を超え、全体の4割に達したことがわかった。緊急対応として作業班の代表者だけに装着させ、全員が同じ線量を浴びたとみなしていた。東電によると、福島第1原発にあった5千台の線量計の大半が津波で流され、約320台しか残らなかった。他の原発から約500台取り寄せたが、充電器が足りず使用しなかったという。
- 原発構内は爆発で高線量のがれきが飛散しており、1メートル離れただけで線量が大きく違う場合がある。このため厚労省は各自の被曝線量が正しく記録されない恐れがあると判断し、ただちに改善を口頭で指導し、東電は4月1日から全員に線量計をつける運用に変えた。
- 朝日新聞の取材で、代表者と10メートル以上離れて作業していた作業員の事例が判明しており、正しい被曝記録が残っていない人が相当数いる可能性がある。がん検診の助成を受けるにも被曝記録は必要であり、正しい記録がないと十分な補償や救済が受けられない恐れがある。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事】 派閥長老が「反谷垣」
- 自民党総裁選で、派閥長老が連合して「谷垣降ろし」をする動きが鮮明になった。谷垣総裁は、出身派閥の古賀派会長の古賀元幹事長から、出馬辞退を促された。党内最大派閥・町村派のオーナー役である森元首相も谷垣氏不支持を明らかにしている。
- 派閥長老側は意気軒高だ。古賀氏は、派閥内の林政調会長代理と、石原幹事長を支援する可能性のある候補者と明言。「どんなに偉い人でも1人の力は限られている。派閥はそれなりの役割を果たしてきた」と派閥と距離を置く谷垣氏の姿勢を批判する。伊吹派の幹部は「谷垣氏からは連絡や相談がなく、腹に据えかねている」と別の候補者支持を示唆。額賀派の青木元官房長官と茂木政調会長は、石原氏支持の意向を示す。
- 谷垣氏側は、伊吹派や麻生派の長老に協力要請する意向だが、「派閥の言うことを聞かないと言って、派閥の長のところに行くのは変だ」(谷垣氏側近)と判断し見合わせた。「派閥の弊害除去と世代交代を掲げた3年前の原点に戻る」ことを中堅・若手に訴える狙いもある。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事】 洋上風力発電に1200億円
- 日立造船、東芝、JFEスチール、住友電気工業、東亜建設工業、東洋建設の6社は、共同で洋上発電事業に参入する。10年間に計1200億円を投じ、中規模火力設備1基に相当する30万キロワット分の開発を目指す。
- 日立造船が支柱、東芝が風車、住友電工が海底送電ケーブルを担当する。海底に鋼管を打ち込み、その上に発電設備を固定する「着床式」を採用する。2015年に実証試験用発電所を設置し、風量や塩害による劣化、採算性などを調べる。安定した風量を確保できる候補地の選定を進め、2020年を目途に本格展開する。
- 洋上発電は、海底送電ケーブルの敷設など建設費がかさむ一方で、洋上は風量が豊富で敷地場所の制約も少ないというメリットがある。陸上風力は、技術が確立しているが、適地が減少傾向で騒音の問題もある。洋上風力開発が進めば、風力発電容量が大幅に増えそうだ。風力発電機は部品点数が多く、開発が加速すれば産業集積と雇用促進効果も見込める。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 核燃料プール、数年で満杯
- 全国50基の原発のうち約6割の33基の使用済み核燃料プールが、6年未満の稼働で満杯になり動かせなくなる。各電力会社への東京新聞の取材で判明した。これまでプールの空き容量は3割強あり、当面は何とかなるとされてきたが、個別に見ると状況はより厳しいことがわかった。
- 東京電力の福島第1原発5、6号機や柏崎刈羽6、7号機は既にほぼ満杯だ。青森県むつ市に建設中の中間貯蔵施設が完成しても6年ほどで一杯になる。中部電力浜岡3、4号機、関西電力美浜1、2号機などは、1~3年の空き容量しかない。6年以上12年未満の空き容量がある原発は14基、12年以上の余裕があるのは3基に過ぎない。
- 東電と原電以外は、青森県六ケ所村の再処理工場の貯蔵プールを活用したいところだが、も既に97%以上が埋まっている。中間貯蔵施設の新設も、むつ市の事例で12年を要しており、各原発の厳しい状況には間に合わない。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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