【リグミの解説】
「裸の王様」は、「馬鹿」で「自分にふさわしくない仕事をしている」と思われたくなくて、まんまと詐欺師に騙され、見えない服を着て城下をパレードしました。家来たちも、大人の臣民たちも、王様と同じ態度を取りました。でもひとりの小さな子供が「王様は裸だよ!」と叫んで、ついに見物人がみな「王様は裸だ」と叫ぶなか、王様一行は、ただただパレードを続けました。(アンデルセン童話「裸の王様」Wikipedia)
「何が本当の問題なのか、わかっていますか?」と問われて、はっとしたことはありませんか。自分が「裸の王様」やその周りの大人たちと、同じ状況になっていることはよくあります。「イシュー(Issue)」という英語があります。辞書では「問題」や「論点」と訳されますが、「解決されるべき課題」という方が、ニュアンスとして近いと思います。「これが問題だ」と言う時、それは「何かができない理由」として使われることが多いもの。しかし「イシュー」という言葉は、「解決できない問題はない」という前提に立ちます。そのためには、「本当の問題は何か」を明らかにする必要があります。
「王様は裸だ!」という「事実(Fact)」は、誰の目にも明らかでした。しかし、王様自身も、周りの大人たちも、騙されていたという「真実(Truth)」が暴かれるためには、小さな子供の目が必要でした。子供は、ただ「事実」を「ありのまま」に見ていたに過ぎません。そしてその「事実」を素直に口にしただけです。「解決されるべき課題としてのイシュー」も同じです。「本当の問題」が何なのか、ありのままに捉えることができれば、問題解決の糸口は自然に見えてきます。
本日の読売新聞の1面トップは、日朝の政府間予備協議で、「拉致問題」を本会議で正式に取り上げる準備を進めている、というニュースです。拉致問題は、日朝間の喉元に突き刺さったトゲです。これを抜かない限り、正常な政府間のやりとりは、何一つ始まりそうにありません。しかし、拉致問題を「解決できない問題」にしてしまっているのは、もっぱら北朝鮮政府のせいなのでしょうか。「解決できる課題」にするために、何が必要なのでしょうか。日本にいると、北朝鮮は「悪の国家」のように見えてしまいます。事実、北朝鮮には多くの問題があり、まともな国交を樹立できる状況にはありません。だからと言って、拉致問題を「解決できない問題」にしているのは、すべて北朝鮮のせいだ、というのは「事実」を歪めていると思います。
「裸の王様」は身内にいる。その自覚から、正しい「イシュー」が立てられます。そして「解決されるべき課題」がわかれば、自ずと解決に向けた具体的な道筋も見えてきます。「王様、実はあなたは裸なのですが、このままパレードを続けますか?」
讀賣新聞
【記事】 日朝、拉致も議題化
- 日本と北朝鮮による政府間予備協議の3回目の会合が31日、北京の日本大使館で行われた。外務省課長級によるもので、9月には局長級による本会議を北京で行うことで合意した。協議は3日間で計約7時間行われ、本協議で取り上げる議題の調整にあたった。
- 日本の外務省は、「(日朝)双方が関心を持つ事項を議題として幅広く議論する」ことで一致したと説明した上で、「日本側の関心事には拉致問題も含まれている。北朝鮮も十分理解している」と明言した。日本側は本協議で、拉致問題以外に、終戦前後に北朝鮮に残された日本人の遺骨収集や遺族の墓参、日航機「よど号」乗っ取り犯の引き渡し、北朝鮮の核・ミサイル問題などについても取り上げる方針だ。北朝鮮側は予備協議で、2002年当時の小泉首相と金正日総書記が調印した日朝平壌宣言を踏まえ、早期の国交正常化と、それに続く日本による経済協力の実施を求めた模様だ。
- 政府は、2008年に北朝鮮が約束した拉致被害者の再調査などを要求する方針だが、北朝鮮の対応がどの程度になるかは不透明だ。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事】 警戒外の活断層、M6超地震14回
- 阪神大震災後の17年間で、活断層が起こした可能性のあるマグニチュード6以上の主な地震14回は、いずれも国が警戒を促す約100の主要活断層以外で起きていたことがわかった。国の地震調査研究推進本部(地震本部)などへの朝日新聞の取材による。
- 14地震は、1997年3月の鹿児島県北西部(M6.6)、2000年10月の鳥取県西部(M7.3)、新潟県中越(M6.8)など、陸側の断層帯が続く海域で起きた。活断層は地中の浅いところで地震を起こすため、都市の直下で起きると甚大な被害につながる。活断層は長いほど地震の規模が大きくなる。しかし地下部分は目視できないため、確認が進んでいない。
- 地震本部は「約10年で見直す」として、2010年度から長さ10キロほどの活断層について調査している。しかし最初に取りかかった九州地域の調査がまだ終わらない状況だ。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事】 津波避難に高速活用
- 東日本大震災の際に、宮城県で多くの住民が仙台東部道路へ逃げ、命拾いをした。これをきっかけに、津波からの避難場所として、盛り土の上を走る高速道路を活用するケースが増えている。高速道路に設置された避難場所は、建設中も含めて全国で22ヵ所となる。
- 避難場所は以下の通り。仙台市(仙台東部道路に5ヵ所)、名取市(仙台東部道路に3ヵ所)、岩沼市(仙台東部道路に3ヵ所)、亘理町(常磐道)、静岡市(東名高速)、焼津市(東名高速)、桑名市(東名高速)、紀北町(紀勢道、建設中)、徳島市(四国横断道に2ヵ所、建設中)、須崎町(高知道)、高鍋町(東九州道)、西都市(東九州道)。
- 宮城県岩沼市は「防災の日」の1日に、多くの人々の命を守った仙台東部道路で、初めての避難訓練を実施し、防災意識の向上を目指す。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事】 住宅ローン減税拡充
- 財務省と国土交通省は、住宅ローン減税を拡充する検討に入った。2014年4月の消費増税による住宅購入の負担増を和らげるのが目的だ。今年末の税制改正議論で細部を詰め、2014年の実施をめざす。
- 現行制度では減税期間は10年だが、それを15年に延長する。最高減税額は、2012年で300万円、2012年で200万円だが、新制度の2014年(消費税率8%)には1000万円規模とし、消費税率が10%になる2015年には一層の規模拡大も検討する。
- 実現すれば過去最大の住宅ローン減税になる。減税規模は最大で年1兆円。1997年に消費税率を3%から5%に引き上げた際には、前年に駆け込み需要があり、その後大きな反動減が起きた。住宅投資は、家電や家具など波及効果が大きいため、落ち込むと景気への悪影響も大きい。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 文京区が妊産婦避難所
- 東京都文京区の成沢区長は31日、災害時に区内の女子大内に、妊産婦専用の避難所を開設すると発表した。同区によると、専用避難所の設置は全国で初めてのケースとなる。
- 設置場所は、跡見学園女子大(同区)の校舎ビルの3階部分。約1000平方メートルあり、150人程度を受け入れられる。文京区は、災害時に避難が必要な妊婦や1歳未満の乳児とその母親を約640人と想定している。最終的に4~5ヵ所の女子大内での設置を目指す。
- 東京都助産師会などから助産師の派遣も受け入れる。助産師は、妊婦や母子の健康チェックとケア、母乳ケアをする。避難所には通常の粉ミルクに加え、アレルギー対応の粉ミルクも備蓄する予定だ。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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