2012.08.31 fri

新聞1面トップ 2012年8月31日

新聞1面トップ 2012年8月31日


【リグミの解説】
今日の新聞トップ記事それぞれに、「キーワード」を使ったタイトルを考えました。


経済活動における「領土問題」 (読売新聞の記事に寄せて)
領土問題は、物理的な国境をどこに引くかというテーマです。しかし洋の東西を問わず、歴史を振り返れば、藩や荘園といった領土(領地)を超えて経済活動が展開するようになり、それを契機に既存の領土の引き直しが起きました。東アジアは「領土問題」で炎上しています。政治的にホットなこのエリアで、旧来の領土(国境)を軽く超えて、地球人口の半分に迫る34億人の大経済圏を作ろうという試みが進んでいます。こちらの「領土問題」は、前向きです。


「期限」は善か悪か (朝日新聞の記事に寄せて)
水俣病とみなされる症状の人々を救済するプログラムが、7月末で締切となりました。その結果、駆け込み的に申請が増えました。より早期に潜在患者を顕在化させ救済対象にできたという意味では、「期限」を切ったことは善でした。しかし、偏見を恐れるなど、いろいろな理由で申請をためらう潜在被害者を救済する道を閉ざす、という意味では悪です。より早くより多く、という「量の論理と効率」を善とするか、最後の一人までという「質の論理と効果」を善とするか。価値観が分かれるポイントです。


「ポピュリズム」を卒業する日 (毎日新聞の記事に寄せて)
大衆迎合主義と訳されるポピュリズム。人気商売はすべからく、ポピュリズムの恩恵を受けます。大衆の支持がなければ、商売あがったりです。政治家は、人気商売の典型です。何しろ選挙という人気投票の仕組みで舞台に上がり、舞台を降りるのですから。それゆえ、普通の政治家は、ポピュリズムの恩恵を受けて当選し、ポピュリズムの逆襲を受けて落選します。民主党が次の衆院選で大幅に議席数を落し野党に転落すれば、それは民主党が普通の政党だったという証に過ぎません。もし民主党の政治家が、普通でない政治家を目指したら、何が起きるか。日本の政治が、本気で国家の10年後、20年後、30年後のことを考え、行動し、それを人々が本気で支持したとしたら。私たちはいつ、「悪しきポピュリズム」を卒業する日を迎えるのでしょうか。



讀賣新聞

【記事】 東アジア16ヵ国、経済連携

  • 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓、豪州、ニュージーランド、インドの16ヵ国は30日、経済連携の交渉開始に合意した。実現すれば、東アジア全体で人口34億人、国内総生産(GDP)計約20兆ドル(約1600兆円)の巨大な貿易経済圏が誕生する。
  • 環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加が不透明になりつつある日本にとっては、東アジアの広域経済連携の実現は、通商政策を立て直す柱となりそうだ。16ヵ国の連携は、「包括経済連携」(RCEP=Regional Comprehensive Economic Partnership)と呼ばれる。RCEPは、個別の自由貿易協定(FTA)などの経済連携を束ねてひとつにする構想であり、世界最大規模となる。TPPに比べて、域内の経済発展度合に格差があるため、それほど高いレベルの自由化にはならないとの見方もある。
  • 会合に参加した枝野経産相は、「11月の首脳会談での交渉開始に向けた道筋を得ることができた」と述べた。「11月に開催する東アジア首脳会議で正式に交渉開始を宣言し、2015年末の合意を目指す。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 水俣病6.5万人救済申請

  • 水俣病の症状があるのに国の基準では患者と認定されない人に一時金や医療費を給付する救済策に、7月末の受付締切段階で全国で計6万5151人が申請したことが30日に判明した。申請を受け付けた熊本、鹿児島、新潟の各県の発表による。
  • 2010年5月の申請開始から累計は、熊本県4万2961人、鹿児島県2万0082人、新潟県2108人。特に政府が7月末での締切を発表した今年2月以降に急増し、7月は1ヵ月だけで7562人増えた。合計数は環境省が想定していた「3万人超」の約2倍に達し、多くの被害者が潜在していることをうかがわせる結果となった。
  • 申請状況について、環境省や熊本県は「制度の周知に努めた結果」とするが、被害者団体や日本弁護士会は、「潜在被害者が切り捨てられる」として申請締め切りを強く批判している。政府は救済策で「水俣病問題の最終解決」を目指すとしてきたが、申請締め切り後も、救済対象外と判定された人の異議申し立てや、患者認定の申請の動きがある。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 ポピュリズム脅威に~政党を問う

  • 政治家の衆院選モードにスイッチが入った。「大阪維新の会」のお膝元の大阪では維新旋風が吹き荒れ、次期衆院選で「民主小選挙区は全滅だ」(民主党幹部)との観測さえ流れる。大阪維新の会が脅威に見えるのは、ポピュリズム(大衆迎合主義)の後ろ盾を感じるからだ。
    3年前にマニフェスト(政権公約)が人気を博し、ポピュリズムの後押しを得て政権を獲得した民主党。そのマニフェストが「ウソの代名詞」となり、一転してポピュリズムの攻撃対象となる。民主党の樽床氏は「春までに、維新のメッキがはがれる。だから来年までは選挙をやらん」と語る。しかし「民主じゃ勝てない」と地元で批判にさらされる議員は、我慢できずに個人で維新の会への接触を図る。
    大阪維新へのおびえは、西日本にとどまらず、民主党に限ったものでも既にない。既成政党否定のうねりに政治家は右往左往し、かえってうねりを大きくする。政党の液状化が進む。政党とは何か。選挙での当選が目的ではない。原点が問われている。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 新日鉄・住金、損失2400億円

  • 10月に合併する新日本製鉄と住友金属工業は30日、2012年4月~9月期に合計約2400億円の特別損失を計上すると発表した。内訳は、新日鉄の連結最終損益が▲1550億円(赤字転落)、住金が1280億円(赤字拡大)。両社は、製鉄所の資産価値を引き下げる減損処理をする。
  • 業績不振の主因は、鋼材市況の低迷にある。アジア市場では中国製の安価な鋼材が出回る。中国では景気減速で鋼材需要が伸び悩み、債務危機で欧州向け輸出も低迷するが、雇用・経済の下支えのために中国勢は高水準の生産を続けている。在庫消化のために値引きした商品がアジア市況の悪化を招いている。
  • 同様の理由で、化学と成長分野の太陽電池でも苦戦をしている。化学では、三菱ケミカルが連結最終損益が0(黒字からゼロ)、三井化学が▲120億円(赤字転落)。太陽電池では、トクヤマが連結最終損益が0(黒字からゼロ)、昭和シェルが▲125億円(赤字転落)。各社は、抜本的な収益改善策を迫られそうだ。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 耐震化不明ビル1000棟

  • 東京都が耐震化についての報告を義務付けている都内幹線道路沿いの約5000棟のビルのうち、1098棟が期限を半年過ぎた7月末時点で報告書を出していないことが判明した。条例は全国初の試みで昨年4月に施行された。耐震不足のビルが倒壊し、緊急車両が通れなくなる事態を回避するため、都条例で報告義務を規定した。報告対象の5000棟は、1981年6月以前の旧耐震基準で建てられ、高さが道路幅の2分の1以上の中高層ビル。
  • 都が電話で報告していない理由を問い合わせると、9割程度が「忘れていた」と回答したという。ただ、提出後の耐震診断で性能不足が判明することを恐れてか、その後も提出していないケースが後を絶たない。このため、都はビル所有者の戸別訪問による催促に踏み切った。
  • 都は2015年までにすべての対象ビルの耐震化を目指している。報告書はその最初のステップであり、事実把握が目的だが、提出されないと耐震化の状況がわからず、つぎの耐震診断や改修工事が進まない。都は、報告書を期限内に提出しない場合の「過料5万円以下」を当面適用せず、ビル所有者に提出を促す。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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