2012.08.28 tue

新聞1面トップ 2012年8月28日

新聞1面トップ 2012年8月28日


【リグミの解説】
本日の新聞トップ記事に、一言ずつコメント。テーマは、「公約」「民意」「若者」です。

読売新聞の記事:
大阪維新の会が、衆院選の台風の目になる可能性が大きくなっています。政党ではなく、議員個人の政策・思想で選別しようとする姿勢は、基本的に良いと思います。ただ国民はブームに踊らされず、最終版が発表される「維新八策」に本当に賛同する議員なのかどうか、そしてその八策が日本の将来にとってどういう影響をもたらすものなのか、冷静に判断することが必要だと思います。「民主党マニフェスト」を体験した今、私たちは政権公約というものに、いろいろな意味でより熟達しました。その経験と知恵を活かすのが、次期衆院選です。

朝日新聞、東京新聞の記事:
2030年の原発割合に関する国民的議論を目指した政府の思惑は、「原発割合15%」に着地することでした。実際は、あらゆる手法で、「原発ゼロ」が大勢を占めました。偏りのあるものだ、「国民の声なき声」をもっと尊重すべきだ、という意見もあると思います。それでも、ひとつの方向性が示されたことは間違いありません。ただし、これが「民意」だと総括すべきかどうかは慎重に判断すべきと思います。本当の「民意」は、反対の立場の人も包括して、国民全体が(渋々でも)受け入れられる方向性を示せる、本来の意味での「合意形成」であるべき、と考えるからです。歴史を見ても、日本全体が一気にある方向に走ったときは、極端な姿になる傾向があります。こういうときこそ、日本人が普段大切にしているバランスや調和を忘れない、懐の深い「民意」を創り上げたいものです。

毎日新聞、日経新聞の記事:
大学新卒者の文科省の分析結果がでました。非正規雇用の多さ、不就労の多さに驚きます。すぐに就職しなくてもいいとは思います。多様な生き方を模索できるのも、成熟した社会の証です。しかし、若者が生き生きと働き、社会に貢献してこそ、社会は活力と創造性を発揮し、健全に成長していけます。若者の実態にもっと理解を深める必要があります。



讀賣新聞

【記事】 維新、来月中旬に新党

  • 地域政党・大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)は次期衆院選に向け、9月中旬に新党を結成する方針を固めた。8月中に衆院選公約となる「維新八策」を公表し、9月8日に維新の会の全体会議を開き、国政に向けた方針を確認する。9月9日に国会議員らを対象とした維新八策に関する公開討論会を開き、賛同者を募る。同時に候補者の全国公募も始める。
  • 新党参加の国会議員は、民主党の松野頼久元官房副長官と自民党の松浪健太衆院議員に加えて、みんなの党の小熊慎司参院議員らの「道州制統治機構研究会」のメンバーを中心に5人以上を集め、政党要件を満たす考えだ。みんなの党など既成政党とは合流しない。
  • 独自に新党を作る維新の会の方針は、各党の衆院選戦略に影響を与えそうだ。維新の会に対する世論の人気は高く、新党への参加を希望する国会議員が増えるとの見方も出ている。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 政府、原発ゼロ検討へ

  • エネルギー政策の「国民的議論に関する検証会合」(座長・古川元久国家戦略相)は、「多くの国民が原発のない社会を望んでいると確認した」と総括する方針だ。28日の会合で原案として提示する。
  • 検証作業では、意見聴取会は「関心の高い人が来て、国民の意見の縮図とは異なる」、パブリックコメントは「意見の分布が偏る可能性が高い」などの課題が指摘されたが、大半の調査で「原発ゼロの支持」が目立つことは、共通の傾向であったことから、総括の判断となった。
  • 政府はこれまで、2030年の原発割合を「15%」とする案を軸に考えてきたが、この総括も踏まえて将来の「原発ゼロ」をめざす方向で検討に入る。ただし、原発ゼロの実現に向けた課題の解決といった前提条件をつけ、実現の時期は明記しない可能性がある。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 大卒23%「安定職」なし

  • 今春の大学卒業者約56万人のうち、約23%にあたる12万8000人余りが、安定した職に就いていないことが判明した。文部科学省が27日に公表した学校基本調査による。
  • 雇用期間に1年以上の定めのある「非正規雇用」に該当する学生が2万1990人、アルバイトなどの「一時的な仕事」に就いた学生が1万9596人おり、これに「進学も就職もしていない」8万6638人を加えた12万8224人が、安定した仕事に就いていない。正社員など雇用期間の定めのない「正規雇用」に就いた学生は、60%にあたる33万5295人(60.0%)だった。他に、大学院などへの進学が7万6884人(13.8%)、不詳・死亡が9811人(1.8%)などとなっている。
  • 文科省は、「リーマンショックで落ち込んだ就職率は回復傾向にあるが、本人が望まぬ雇用形態で就職せざるを得ない状況は課題」としている。また、東京電力福島第1原発事故が発生した福島県では、小学生が5104人減少し、少子化傾向による例年の2000人前後の減少を大幅に上回った。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 新卒ニート3万人

  • 今春大学を卒業した約56万人の学生のうち、3万3千人が、進学も就職の準備もしていないことが判明した。文部科学省の学校基本調査速報による。
  • 就職も進学もしなかった約8万6千人の現状を調べたところ、就職や進学の準備をしている人は約5万3千人にとどまり、残りの3万3千人はどちらの活動もしていない。内訳は、男性が約1万8千人、女性が約1万5千人。家事手伝いやボランティアが含まれるが、大半がいわゆるニートとみられる。全国のニートは約60万人いるといわれ、高卒者や学校中退者が多いみられていたが、大学新卒者にも数万人規模のニートがいることが分かり、問題の深刻さが浮き彫りになった。
  • ニートへの対応が遅れれば、質と量の両面で日本の労働力の劣化を招き、生活保護受給者の増大も懸念されるため、抜本的な対策が急務となっている。ニート(若年無業者)は通学も仕事もしておらず、職業訓練も受けていない15~34歳の若者を指す。英語の「Not in Education, Employment or Training」の頭文字「NEET」から命名された。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 脱原発、負担は覚悟

  • 2030年における原発依存度などをめぐる政府のパブリックコメント(意見公募)の集計結果が27日に公表された。有効意見は8万8280件。政府が示した原発割合の3選択肢「0%」「15%」「20~25%」のうち、「原発0%支持」が約7万6800件(87%)を占めた。政府が本命視する「15%」の支持はわずか1%であり、「20~25%」の支持は8%だった。
  • 「原発0%支持(87%)」のうち61%(複数回答)が「原子力安全への不安」を理由に挙げた。2番目に「倫理的に適切でない」(42.7%)、3番目が「核廃棄物は将来世代に負担を残す」(28.9%)だった。一方、「原発20~25%支持(8%)」では、41.9%が「(発電の)コストが上がり、経済に影響して雇用が失われる」と原発比率の低下に懸念を示した。
  • 再生可能エネルギーについては、「コストがかかっても拡大」が39%を占め、電気料金の上昇にもかかわらず、脱原発に向けた国民の覚悟が示された。国民的議論の結果を検証する専門家会合では、「国民が政府に怒っているという表明。情緒的、主観的だからといって、正当に評価しないのは危険だ」(小林伝司・大阪大教授)と重く受け止める見方が示された。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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