【リグミの解説】
一昨日につづいて、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の話題です。今朝の回で、患者さんたちが治療費のツケを支払わないために、安岡医院の経営に影響が出るさまをコミカルに描いています。梅ちゃん先生が、年長の看護婦さん(今では看護師が正式な呼び名ですね)に尻を叩かれて資金回収に出かけますが、海苔屋で治療費の代わりに大量の海苔をもらって帰ってきます。持家を担保の銀行借り入れをして医院をサポートしている梅子の父親は、頼りない経営ぶりの娘を叱責します。梅ちゃん先生、この「ピンチ」をどう切り抜けるか。
たとえ善意であれ、何かを始めたら後戻りはできません。事を始めたことで巻き起こるさまざまな反応に翻弄されながら、前へ、前へと進むしかありません。もちろん、一旦決めたことをご破算にし、仕切り直しができることもあります。君子豹変す、とばかりに途中で大きく方針転換し、事態の打開を図ることも可能です。それでも、何もなかった過去の状態に戻ることはありません。
読売新聞は、政府が米国、韓国、中国の大使を相次いで次官クラスに鞍替えする方針を伝えています。朝日新聞は、福島第1原発事故後の県内で除染された土壌の中間貯蔵地の候補地について報道しています。毎日新聞は、尖閣諸島に日本人が上陸したことを報じ、東京新聞は、カナダがTPPに参加した本当の理由が米国の戦略にあることを伝えています。このいずれの報道内容も、言ってみれば「経過報告」です。
そもそもなぜその事象は起きたのか。どうすれば再発防止ができるのか。起きたことを後追いばかりしていると、待っているのはジリ貧であり、衰退であり、窮地です。火消しが必要な時こそ、短期の手をきっちり打つと同時に、長期的な展望をもって戦略を練り直し、攻勢に打って出る必要があります。梅ちゃん先生は、ほとんど資金回収ができなかったあと、「ま、今日はこれぐらいということで」と収めます。でも毎日、「これぐらいで」を繰り返していたら、病院は倒産してしまいます。
国家も同じです。「ピンチはチャンス」という言葉もあります。いったん事を始めたら、有終の美を目指して、遅滞なく事を進めていく構想力と実行力があれば、きっと長い目で見れば進歩していけるのだと思います。
讀賣新聞
【記事】 駐米大使に佐々江次官
- 政府は19日、藤崎一郎駐米大使の後任に佐々江賢一郎外務次官を起用する人事を内定した。武藤正敏韓国大使の後任には、別所浩郎外務審議官を起用する。民間から起用した丹羽宇一郎中国大使も、日中国交正常化40周年を迎える9月29日を経た10月以降に交代させる方針だ。
- 駐米大使に外務次官経験者が起用されるのは、2001年以来で11年ぶり。日米間には、米軍普天間飛行場の移設問題や新型輸送機オスプレイの沖縄配備など懸案が山積しており、これらの事情の精通した佐々江氏が大使に適任と判断した。日韓関係も急速に冷え込んでいるため、次官級の別所氏を韓国大使に起用することで改善を図る狙いがある。
- 政府が中国大使に加え、米韓の大使にも次官級の人材を配置する方針に転じたのは、強力な布陣でアジア・太平洋地域の外交を立て直したい意図がある。中韓両国とは日本の領土をめぐる摩擦が過熱しており、新任の大使は事態収拾の手腕が問われる。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事】 中間貯蔵12候補地
- 野田政権は19日、福島県内で除染された汚染土などを保管する中間貯蔵施設の具体的な候補地を地元自治体に示した。中間貯蔵施設の候補地は、福島県内の双葉町が2ヵ所、大熊町が9ヵ所、樽葉町が1ヵ所の計12ヵ所となる。すべて設置場所となる可能性もある。
- 政権の要請に、自治体からは反発も出ている。候補地に人が住んでいた地域が含まれることや、政権が県外設置を約束する最終処分計画の見通しも立たないからだ。井戸川・双葉町長は、「とんでもない話だ。もっと丁寧に下から積上げる議論をしてほしい」と不快感を表明した。地元との調整は難航しそうだ。
- 政権は、地質調査への同意も要請している。佐藤雄平・福島県知事は、「双葉郡と実務者で論点整理する」として、回答を保留した。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事】 尖閣に日本人10人上陸
- 尖閣諸島の魚釣島に19日、日本人10人が上陸したのを第11管区海上保安部の巡視船が確認した。上陸者のうち5人は東京都議らの地方議員で、残る5人は民間人。
- 10人とも、上陸に必要な政府の許可を得ておらず、禁止された地域に立ち入った疑いもあるため、沖縄県警は軽犯罪法違反容疑で事情調査する。
- 中国では尖閣諸島の領有権を主張する反日デモが拡大し、日中関係は緊迫している。日中両政府が事態にどう対応し、沈静化させるかが焦点となる。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事】 高速通信携帯、主流に
- NTTドコモは、高速携帯電話サービス「LTE」に対応したスマートフォン(スマホ)で、通信速度を3倍に高めた新製品を10月を目途に発売する。固定回線のADSL並みの通信速度が実現する。
- ドコモが発売するのは、通信速度が業界最速の毎秒最大112.5メガビットに引き上げた機種。高精細な動画でもなめらかに再生できる。ドコモは2012年度のスマートフォン販売台数の6割をLTEにする方針だ。
- KDDI、ソフトバンクもLTEスマートフォン市場に参入する意向であり、通信速度をめぐる競争が一段と激化する。スマートフォンは通信速度がパソコンに迫る高速機種が主流となり、ネット接続の主力端末になる見通しだ。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 米戦略に巻き込まれ~地殻変動-4
- カナダ東部ケベック州モントリオール郊外の豚肉加工工場で、「麦富士」という日本名を持つ豚肉が、日本国内と同じ仕様の高級品として加工されている。カナダ産豚肉の対日輸出は、ここ20年で8倍以上に増え、輸入肉の4分の1を占め、米国産に次ぐ2位となる。カナダは、更なる輸出拡大に意欲を示す。
- 野田首相は、昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、環太平洋連携協定(TPP)をめぐる交渉に参加する方針を表明したが、その直後にカナダのハーパー首相もオバマ大統領に参加の意向を伝えた。カナダの決断の背景には、日本の市場規模があった。「日本が参加すればカナダの農・畜産業に大きな利益がある」とカナダの政府当局者は言う。
- だが、カナダがTPPにまっしぐらとなる決定的な理由は米国にある。カナダが米国やメキシコと結んだ1994年の北米自由貿易協定の結果、経済の米国依存度を深め、輸出先の約75%を米国が占める。米国がアジア太平洋重視の姿勢を前面に出し、TPP構想の旗振り役になった以上、不参加の選択肢はないも同然だ。日本も今、膨張する米国の戦略に飛び込むか否か、岐路に立つ。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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