2012.08.16 thu

新聞1面トップ 2012年8月16日

新聞1面トップ 2012年8月16日


【リグミの解説】 本日の1面トップ記事は、読売、朝日、毎日が「尖閣諸島への不法上陸」を伝える記事です。

香港の民間団体が尖閣諸島上陸を計画していることは、事前に分かっていたため、海上保安庁と沖縄県警が連携し、周到な準備をしていたと、各紙は報道しています。抗議船には香港のTV記者も同船し取材をしていました。航行の情報は、支援本部よりツイッターやフェイスブックで逐一発信されてもいました。

そうした中、日本側は死傷者を出さない、という方針のもとで迅速に対応した、ということです。事前に察知し準備していても、簡単に上陸されてしまうことに驚きます。しかし、現代は情報が映像つきで世界を瞬時に駆け回る時代であり、現場でどういう対応をしたかが、その後の世論、ひいては外交交渉そのものに大きく影響します。毅然とした対応をすることを前提に、人命第一で紳士的な対応を取ることは、日本の基本姿勢として、間違っていないと思います。

それにしても、なぜこの時期に、こういうことが連続するのでしょうか。終戦記念日の8月15日に、日本は竹島と尖閣諸島の両側から挟み撃ちを受けています。毅然とした外交姿勢が功を奏するためには、最低でも2つの条件があります。1つは関係国との太いパイプ。相手の本音がわかり、着地点を探り合える「実務上の信頼関係」です。もう1つは安定した政権基盤です。党派が過剰に争い合い、さらには政権与党の中で足の引っ張り合いをしているようでは、外から攻勢をかけたい相手にスキを与えるだけです。


讀賣新聞

【記事 尖閣上陸で14人逮捕

  • 尖閣諸島の魚釣島に中国の領有権を主張する香港の民間反日団体「保釣行動委員会」の抗議船が接岸、乗っていた男14人中7人が上陸した。
  • 沖縄県警は、うち5人を入管難民法違反(不法上陸)容疑で現行犯逮捕。さらに海上保安庁の巡視船が戻った2人を乗せた抗議船を挟み込んで捕捉し、乗船していた9人を同法違反(不法入国)容疑で現行犯逮捕した。
  • 野田首相は記者団に「法令にのっとり厳正に対処する」と語った。政府は、逮捕者を一両日中に強制退去の行政処分とする方針だ。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 尖閣で14人逮捕

  • 尖閣諸島の魚釣島で15日、香港の活動家ら7人が上陸し、沖縄県警はこの内の5人を出入国管理法違反(不法上陸)の疑いで現行犯逮捕した。残る2人は抗議船に戻ったが、海上保安庁の巡視船が領海内で抗議船を捕捉。乗っていた9人を同法違反(不法入国)の疑いで現行犯逮捕した。14人は那覇市に移送して調べる。
  • 沖縄県警によると県警が逮捕された5人は、「中国の領土なので逮捕は間違いだ」「中国の領土に入るのにパスポートはいらない」などと供述しているという。
  • 警察・海保などは14人について、入局管理局に身柄を引き渡した後、強制送還する方向で調整している。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 尖閣、香港船の7人上陸

  • 尖閣諸島の領有権を主張する香港の民間抗議船が15日、尖閣諸島の魚釣島に接近、さらに7人が魚釣島に上陸した。
  • 沖縄県警は、すぐに船に引き返した2人を除く自称・中国人の男性5人を出入国管理法違反(不法上陸)容疑で現行犯逮捕した。海上保安庁も、船に残っていた男性9人を同法違反(不法入国)容疑で現行犯逮捕した。
  • 野田首相は記者団に「法令にのっとり、厳正に対処していく」と語った。佐々江外務事務次官は、中国の程中日大使を外務省に呼び、「尖閣諸島沖領海に侵入したのみならず、魚釣島に上陸したことは極めて遺憾」と強く抗議した。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 企業年金、株から債券へ

  • 日立製作所やNTTなど主要企業の年金が、株式での運用を減らす一方で、債券などへの配分を増やしている。将来への給付に必要な資産が不足する中、価格変動リスクを避ける狙いだ。
  • 日立は2012年3月期に、年金資金に占める株式の割合を1年前の9%から7%に下げ、日本国債など公債を9%から12%に高めた。ソニーやトヨタ自動車も国債を増やした。東芝は、安定した利回りが得られる生命保険の一般勘定への投資比率を3%から5%にした。
  • 今回の動きは、運用不振が財務悪化に直結するように企業会計基準が変更されたことも背景にある。ただ、必要な利回りに届かない状態が続くと、企業の負担拡大や給付削減などにつながる可能性もある。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 原発促進税に上乗せ

  • 原発の維持促進に使われる「電源開発促進税」に関して、消費増税が強行された場合に新たに利用者負担が増える問題が浮上している。促進税は電気料金に含まれて利用者が負担する形になっており、消費増税になると、促進税にも増税分が上乗せされるためだ。
  • 東電は現在、発電費用に年間1091億円の促進税を算入している。税金に税金がかけられる「二重課税」の額は、現在の税率5%では54.5億円だが、税率が10%になると現在の2倍の年間109億円になる。
  • 消費増税は、衆院選などの結果で止める道筋は残っている。国の原発政策が揺らぎ、促進税の存在が問われる中で消費増税を許せば、根拠のあいまいな税金に消費税を掛け合わせることになる。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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