【リグミの解説】 ロンドンオリンピックが終わり、新聞1面から華やかな文言と写真がなくなり、各紙の関心分野を示す記事がトップに来ています。
読売新聞へのコメント:
- 読売は、政界再編への動きとして、民主党と自民党の議員が大阪維新の会と連携する政策研究会を発足させる動きを伝えています。
- NHKは、「政治意識月例調査」という世論調査をしています(電話法―RDD追跡法)。8月の結果は、「民主党支持14.3%」「自民党支持23.9%」です。今年1月には「民主党18.5%」「自民党18.3%」で拮抗していたのが、半年強経って民主党の支持率低下分(▲4.2ポイント)を自民党が獲得(+5.6ポイント)する構図になっています。しかし、もっと大きな問題は、「支持なし45.9%」(今年8月)です(NHK世論調査)。
- 民主党政権が発足した2009年8月には、「支持なし29.5%」でした。このときは「民主党支持29.0%」「自民党支持26.6%」で、2大政党制への国民の期待が高かったことがわかります(NHK2009年世論調査)。直近の世論調査を見た政治家が、「政界再編」に動こうとするのは、ある意味自然なことです。しかし、果たしてそれが正解なのでしょうか。2大政党制を定着させ、日本の民主主義を成熟させようとしてきたここ15年の動きをどう総括し、次につなげるか。冷静な検証と熟議が必要だと思います。
朝日新聞へのコメント: - 朝日は、中国共産党幹部の蓄財と資産の海外移転に関連する調査報道です。
- 中国人は、今日の共産党政府のみならず、昔から為政者を信用しておらず、一族郎党の結束を大切にすると聞いたことがあります。華僑が世界中で繁栄の基盤を築いている理由もそこにある、という内容だったと思います。
- 朝日の記事を読むと、共産党幹部もまた、自国を信用していないのかもしれない、と感じました。
毎日新聞へのコメント: - 毎日は、年金問題の世代間格差に関する調査報道です。
- 社会保障の問題、消費増税の負担は、国民全体で負わなければものになっています。しかし、負担の意味するところが、若い世代とシニアな世代で大きく隔たっています。大袈裟に言えば、ここに原発問題や消費増税以上に「国論を二分する」テーマがあります。
- 日本は戦後から1985年頃までは、社会をひとつにつなぐ規範や仕組みがありました。それがここ20年から25年の間に急速に衰え、失われてきました。極端な格差は、アメリカのような国でも「ウォール街占拠デモ」のような抗議運動を引き起こしました。日本はアメリカと違って、中庸な社会構造によって調和と発展を遂げてきました。同世代内の貧富の格差も大きくなり、さらに世代間の格差が大きな構造問題となっているのが、今の日本です。
ロンドンオリンピックで英国は、アメリカ、中国に次ぐ29個の金メダルを取りました。長期の育成プランと、積極的な投資が生んだ成果でした。その英国は、1996年のアトランタ大会ではプランも資金もなく、金メダルは1個のみでした
(Wikipedia)。オリンピックと一国の政治状況は同じではありませんが、長期ビジョンに基づく戦略的な投資と実施計画があれば、どんな構造問題も解決可能です。2大政党制を維持発展させるか、政界再編するかにかかわらず、「国家100年の計」を立てるべきことに、変わりはありません。
讀賣新聞
【記事】 維新と合流へ新党準備
- 民主党の超党派の衆参議員10人以上が、地域政党「大阪維新の会」(代表・橋下徹大阪市長)と連携し、研究会を発足させていたことが13日、明らかになった。
- 研究会の名称は、「道州制型統治機構研究会」。研究会の会長は空席で、会長代行に民主党の松野頼久元官房副長官、幹事長に自民党の松浪健太衆院議員が就任している。研究会は設立趣意書で、①道州制を前提とした統治機構の再構築、②一院制、首相公選制の導入、③税制や社会保障制度の再設計、④憲法改正、などを掲げる。維新の会が次期衆院選公約とする「維新八策」との共通点が多い。
- 松野氏らは、国政進出を目指す維新の会が合流することを念頭に、次期衆院選前に研究会を元にした新党結成を検討している。維新の会側も大筋で合意している、とされる。2大政党と距離を置く「第3極」の中核となり、政界流動化が加速する可能性がある。
(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/)
朝日新聞
【記事】 幹部蓄財、子弟に注ぐ~紅の党
- 故ダイアナ妃が結婚前に住んでいたロンドンの高級マンションに、中国共産党の重慶委員会書記だった薄熙来(ポーシーライ)の息子、瓜瓜(コワコワ)も一時暮らしていた。瓜瓜は1990年代末、11歳で渡英し、名門ハロー校からオックスフォード第に進学し、このマンションに住んだ。
- 地元不動産は「セレブが多い国際色豊かな地区の人気物件だ」と話す。登記簿を調べると、瓜瓜が住んでいた部屋は、「ゴールデン・マップ」という会社が約9千万円で購入していた。薄の妻で、英国人実業家の殺害事件の被告の谷開来のビジネスパートナーのフランス人男性が、ゴールデン・マップ名義で購入したものだ。
- 谷は、捜査段階で約60億ドル(約4800億円)に上る不正蓄財の海外送金を認めている。しかし裁判ではこうした蓄財についての追求は行われない見通しだ。マンションが購入された頃、薄は遼寧省長であった。このレベルの党高官の月収は月数万円に過ぎない。夫妻は巨額の金をどこから得ていたのか。実態は闇に葬られようとしている。
(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/)
毎日新聞
【記事】 年金の将来信じない~負担増の社会
- 東京都内の学生たちが、公的年金を信頼せず、老後の資金を運用で稼ごうという勉強会を開催している。仕掛け人の大学3年生の佐藤拓海さんが中高生の頃、有力政治家らの国民年金未納問題や、過去に払った保険料が確認できない「消えた年金」問題が発覚した。「こんなむちゃくちゃな制度に保険料を払うなんてばかばかしい」と佐藤さんは思った。
- 公的年金を信用しないのは、不祥事のためだけではない。佐藤さんの世代は、将来受け取る社会保障給付より、現役時代に払う税・保険料の総額が多い「支払い超過」となるからだ。逆に今の高齢者は支払いより給付が多い「給付超過」となる。両世代間の差額が1億円を超える、と指摘する試算もある。
- 消費税は高齢者も負担するため、消費増税を社会保障に充てれば、世代間格差はある程度改善する。それでも今の社会保障給付の7割は高齢者向けで、「若者や子育て世代向けは不十分」と佐藤さんは考える。自分が社会人として家や車を買う頃には、膨らむ社会保障費をまかなうために、消費税率が20%近くに上昇しているかもしれない、と思うと怒りを感じる。「高齢者偏重の仕組みに切り込まないと、今の社会保障制度はいずれ息詰まる。なぜ抜本対策をしないのか」。
(毎日jp http://mainichi.jp/)
日経新聞
【記事】 債権、株と一体課税
- 財務省と金融庁は、個人の金融所得課税で、債権の譲渡損益を損益通算の対象に加える方針だ。債権と株式から得られる配当と利子および譲渡損益を合算して課税する方式を2015年1月にも導入する。
- 個人が投資する金融商品からの収益は、上場株式と株式投資信託について現在は10%の税率となる。株式と株式投信は、配当と譲渡損益を合わせて計算して課税するため、仮に株式売却損があれば、売却益や配当から損失分を引き、納税額を減らせるようになっている。
- 現在は債権の譲渡益は非課税だが、これを20%の課税対象にする。仮に売却時に購入時よりも値上がりすれば、利益に20%が課税され、個人の負担は増える。一方、債権の売却で損失が出た場合には、株式の配当などから差し引き、納税額を減らせるようになる。財務省は、債権の売却損失を損益通算できるようにする前提として、株式や株式投信の10%の軽減税率を2014年1月から20%に戻す方針だ。
(日経Web刊 http://www.nikkei.com/)
東京新聞
【記事】 3次元顔照合システム、昨春から非公開運用
- 民間の事業者が街頭に設置している防犯カメラの画像と、警視庁が所有するテロリストらの画像を機械的に照合するシステムを、警視庁が昨年3月から試験運用している。警視庁への取材や、情報公開請求で開示された文書で判明した。
- 試験運用しているのは、「3次元顔形状データベース自動照合システム」で、民間の防犯カメラ20台と接続している。テロリストや指名手配容疑者の顔画像のデータベースと照合し、一致する顔が見つかると、カメラの設置場所を管轄する警察署に自動通報され、警察官が急行する。一致しなかった画像は廃棄される。
- 運用場所を容疑者に知られないようにするためと、システムへの不正アクセス・不正利用を防ぐため、警視庁は、カメラを設置している事業者名と、装置の詳細を非開示としている。警視庁は、試験運用前に、有識者委員会にシステムの効果的運用方法や適性な活用について諮問し、委員会は2009年12月に報告書をまとめた。報告書は厳格な登録基準を定めて運用すべきと指摘しているが、警視庁は、登録基準はもとより、実際の登録内容や、試験運用中のテロリストや容疑者の逮捕などの「実績」についても明らかにしていない。
(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/)
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