2012.08.12 sun

新聞1面トップ 2012年8月12日

新聞1面トップ 2012年8月12日


【リグミの解説】 本日の1面トップ記事は、読売、朝日、毎日がタイトルも揃って「バレー女子『銅』」です。

8月
9日の【リグミの解説】で、韓国の李大統領の竹島訪問問題を取り上げ、「ハードパワー」だけでは問題解決は難しい、「ソフトパワー」とのバランスが大切、という趣旨のコメントをしました。オリンピックは、国や地域の「ソフトパワー」を発揮する最高の場です。そこで、日韓が2つの団体競技で銅メダル獲得を争いました。結果は、サッカー男子が「0-2」で日本の完敗。逆にバレー女子は「3-0」で日本の完勝でした。

両試合とも勝ちたかった、という思いは日本人も韓国人も同じだったと思います。そこで「1勝1敗」となったことは、特に日韓両国政府にとっては示唆的だったのではないでしょうか。「ハードパワー」だけで突き進んだら、「勝ち」しか目に入らなくなります。総取りをして相手を徹底して潰そうとします。「ソフトパワー」は違います。多様性を称揚し、良きライバルの存在を喜びます。「勝ち」を目指しますが、相手の「勝ち」にも賛辞を送ります。なぜなら、良き相手に恵まれなければ、ゲームそのものが凡庸でつまらなく、進歩のないものになってしまうからです。

国家や民族の関係も同じです。国境・領土の問題は国家を成立させる根幹であり、安易に妥協できるものではありません。しかし、一方的に「勝ち」だけを目的化した言動を取れば、豊かな関係そのものを失いかねないことになります。昔と違って、今の世界は、あらゆることが複雑に関係し合うネットワークを形成しています。関係を断絶させるという選択肢はあり得なくなっています。

オリンピックを見ていると、本当の意味での「未来志向の関係」が仄かに見えてきます。正々堂々と戦った日韓の男子サッカーと女子バレーの選手たちに見習い、両国政府関係者は、しっかりと相手と向き合い、持てる知恵(「ソフトパワー」)を大いに発揮し合い、成果を競ってもらいたいと思います。
 


讀賣新聞

【記事】 バレー女子「銅」

  • ロンドンオリンピックは11日、バレーボール女子の3位決定戦が行われ、日本が韓国を3-0で下し、銅メダルに輝いた。ロサンゼルス大会の3位以来、28年ぶりのメダル獲得となった。
  • 北京オリンピック後に就任した真鍋監督は、スパイクも守備もうまい万能型の木村沙織を軸にチームを作った。しかし天真爛漫な性格の木村からはその自覚が感じられず、自分のプレーのことで頭がいっぱいだった。業を煮やした真鍋監督は2009年のイタリア遠征時に木村を一喝。これで目が覚めた。3位決定戦では「木村がサーブレシーブを頑張ったのが、迫田のスパイクにつながった」と縁の下の働きを評価。たくましくなったエースの姿に目を細めた。メダルを胸に、世界のエースに向けてさらに羽ばたく。
  • 10日に競技では、レスリング男子フリースタイル55キロ級の湯元進一が銅メダルを獲得した。今大会の日本のメダルは37個で、アテネ大会(金16、銀9、銅12)に並んだ。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 バレー女子「銅」

  • ロンドンオリンピック第16日の11日、バレーボール女子の日本は3位決定戦で韓国を3-0で下し、銅メダルを獲得した。1984年のロサンゼルス大会以来28年ぶり。
  • 真鍋流データ主義が生きた。日本は攻防の基点となるサーブで相手を崩した。立ち上がり、エース木村沙織がレシーブが不得手な韓国選手を狙った。第1セット、第2セットとも木村のサーブで序盤に連続ポイントを奪ったのが、最後に効いた。2008年12月に「データバレー」を掲げて「真鍋ジャパン」は誕生した。試合中に監督がiPadを手にする姿もすっかり当たり前になった。日本女子バレーは、ロンドンの地で高らかに復活ののろしを上げた。
  • 今大会の日本のメダルは、37個(ボクシング男子ミドル級の決勝進出を含む)となり、2004年のアテネ大会と並んで史上最多となった。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 バレー女子「銅」

  • ロンドンオリンピック第16日の11日、バレー女子の日本は3位決定戦で韓国を3-0で破り、銅メダルに輝いた。1984年のロサンゼルス大会の銅メダル以来。
  • 高さで世界に劣る日本が勝つために何が必要か。2008年12月に就任した真鍋監督が各国の情勢なども研究した上で得た結論は、「守備を磨く」だった。中でも磨いて光ったのがサーブ。相手のサーブレシーブを崩し、セッターへの正確なボールの供給を断ち、相手の攻撃の選択肢を狭める。そこからデータ分析を基に、相手の攻撃パターンやコースを読んで、ブロック、レシーブにつなげた。粘り強く拾ってつなぐ全員バレーで、28年ぶりのメダルを獲得した。
  • 日本のメダル獲得数は、37個(ボクシング男子ミドル級の決勝進出を含む)となり、2004年のアテネ大会と並ぶことになった。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 車・機械が積極投資

  • 企業の研究開発への投資が、自動車や機械などの業種が増える一方で、これまで積極的だった電気・ITが頭打ちとなってきた。日経新聞の2012年度「研究開発活動に関する調査」で分かった。
  • 研究開発投資の上位10社は以下の通り。①トヨタ自動車=8100億円(対前年伸び率+3.87%)、②ホンダ=5550億円(+6.77%)、③パナソニック=5100億円(▲1.96%)、④日産自動車=4850億円(+13.32%)、⑤ソニー=4800億円(+10.73%)、⑥日立製作所=3500億円(▲15.15%)、⑦東芝=3400億円(+6.28%)、⑧キャノン=3150億円(+2.34%)、⑨デンソー=3100億円(+3.90%)、⑩武田薬品工業=3100億円(+9.97%)。
  • 今年度の研究開発費は、主要272社の累計で対前年伸び率+4.3%の11兆757億円。リーマン・ショックの影響で減った後は3年連続で増加しているが、景気低迷を反映し、昨年度の伸び率(+6.1%)より減った。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 増える書店ゼロの街

  • 街のどこにも本屋さんがない。そんな市町村が増えている。今年5月現在、全国の自治体の17%にあたる317市町村が「書店ゼロ」で、5年前より8市町村増えた。
  • 首都圏では、筑波研究学園都市に隣接する茨城県つくばみらい市が、全国に4つある「書店ゼロの市」のひとつだ。つくばみらい市には昨年、駅前への書店誘致の投書が相次いだが、「民間の商売なので、こちらの希望だけで進めるのは難しい」と市の担当者は語る。
  • 北海道留萌市では、書店ゼロから新たな書店が誕生した。有志で誘致団体を結成して出店を後押しし、ボランティアで支援している。行政もイベントや観光PRで後押しする。「『本屋』は死なない」の著者の石橋毅史さんは、「街の書店の経営はビジネスとしては厳しく、姿を消すのも当然の流れ。だが、経済的価値と異なる『別の何か』を求める人も増えている。書店はその『何か』を手渡す場所となり得ると思う」と話す。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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