2015.01.29 thu

2015年1月29日【新聞解説】3つの罪とフランクルの言葉

2015年1月29日【新聞解説】3つの罪とフランクルの言葉


【リグミの解説】

アウシュビッツ強制収容所解放から70年が経ちました。本日の読売と毎日が社説でホロコーストの今日的意味について解説しています。主な論点は以下の通りです。
 
<読売新聞> アウシュビッツ 解放70年から得る教訓の重さ
・ (ドイツ大統領)ガウク氏は独連邦議会演説で、「ホロコーストに思いをはせることは、全ドイツ国民にとって重要であり続ける」と強調した。西独、統一ドイツは、ナチスの蛮行への深い反省に基づき、人権尊重や民主主義の確立に努め、国際的地位を築いた。ガウク氏の言葉は、この基本姿勢を今後も堅持しようという呼びかけだろう。
・ 一部の欧米メディアは、安倍首相を「歴史修正主義者」と問題視する。中国は、ホロコーストと旧日本軍の南京事件を同列に扱い、ナチスとイメージをだぶらせて日本批判を繰り返す。日本は、過去への反省、戦後の平和国家としての歩み、そして将来にわたり、国際社会と協調するという明確なメッセージを海外に発信していくことが大切だ。
 
<毎日新聞> アウシュビッツ 忘れない責任新たに
・ 第二次世界大戦中にナチス・ドイツによって600万人以上のユダヤ人が虐殺された。その歴史を伝えるアウシュビッツ強制収容所跡地は、人類が偏見と差別の末に行き着いた狂気と悲劇を忘れるな、と警鐘を鳴らし続けている。
・ だが、過去との決別を誓ったはずの世界に今、再び不穏な空気が漂い始めている。「反ユダヤ」だけではない。イスラム系移民の排斥を訴える集会も欧州各地で起きている。経済不況による失業者の増加、過激派による相次ぐテロ事件などを背景に、戦後欧州で培われてきたはずの他者への寛容の精神が失われてきているのではないかと危惧せざるを得ない。
 
偏見と差別の罪
アウシュビッツ、そしてホロコーストの教訓とは何か。この重すぎるテーマは、安易なコメントを拒絶しています。想像を絶する状況に直面すると、人は言葉を失います。それでも、私たちは、ホロコーストをしっかりと受け止め、人類史の中に位置づける必要があります。
 
私は、3つの罪を感じ取ります。1つは偏見と差別の罪です。私たちは、他者を全人格的存在(その人のあり方のすべて)として受け止めることがなかなかできません。その人の外見や属性や、思想信条、行動、嗜好性など、目につくポイントで判断します。そしてその人がもっている無限の可能性を捨象してしまいます。ユダヤ人であることに何の問題があったのか。いわれなき偏見と差別の罪は、今日も世界中で繰り返されています。
 
思考停止と服従の罪
2つ目は、思考停止と服従の罪です。ユダヤ人に偏見をもたず差別する理由のなかった人々も、ホロコーストに協力しました。あるいは協力しないまでも黙認をしました。気づかないふりをし、無視をした人々もいました。「空気」が醸成されるとき、それは意図されたものであれ、自然発生的なものであれ、同調圧力を伴って社会に充満していきます。結果として、何が善で何が悪か、思慮深く判断する知恵が失われます。偏見と差別同様、思考停止と服従もまた、歴史ではなく現在進行形の現実です。
 
殺人の罪
そして3つ目は、殺人の罪です。ホロコーストは当時のドイツにおいては罪ではありませんでした。むしろ国家の政策として奨励されていました。実際に大量殺人に関与した多くの人々は職務に忠実な者として評価されたことでしょう。しかし、国家がどれだけ後ろ盾をし、社会が容認したとしても、歴史の証言台に立つとき、どのような殺人にも言い訳の余地はありません。
 
600万人といわれるホロコーストの犠牲者がほんとうはその100分の1の6万人だったら、罪も100分の1になるでしょうか。いや、100万分の1の6人だけがガス室に送られたのだとしたら。他者の命を、そして自分の魂をどう扱うか。アウシュビッツの教訓は、今の世を生きる私たちに「生きる」ことの意味を問いかけ続けています。
 
生きることの意味
オーストリアの精神科医ヴィクトール・エミール・フランクルは、ナチスの強制収容所における体験を名著『夜と霧』に記しました。私も若い時に読み、深く魂を揺さぶられた記憶があります。フランクルは、「人間に残された最後の自由は、どんな状況にあっても、その中で自分の態度を決めることだ」と述べています。肉体と精神の自由を奪われた人が語るとき、言葉はほんとうの力を得ます。フランクルは続けて語ります。
 
「終局において、人は人生の意味は何であるかを問うべきではない。むしろ自分が人生に問われていると理解すべきである。一言で言えば、すべての人は人生に問われているのだ。自分の人生の責任を引き受けることによってしか、その問いかけに答えることはできない」(ヴィクトール・エミール・フランクル)
(引用:http://matome.naver.jp/odai/2140569392880257701
 
人間性の本質に対する静かな信頼がある限り、私たちは勇気と希望をもって生きていけます。
 

(文責:梅本龍夫)



  1. ヨルダン「死刑囚釈放 用意」パイロットと交換要求 後藤さんには触れず
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150128-OYT1T50130.html?from=ytop_main4
  2. スカイマーク再生法申請 運航は継続 ANAに支援要請検討
    http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150128-OYT1T50167.html
  3. 米産コメ輸入 特別枠 TPP交渉 年数万トン拡大を検討
    http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150128-OYT1T50171.html

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 死刑囚釈放の用意 ヨルダン、パイロット釈放が条件
    http://www.asahi.com/articles/ASH1X6SS5H1XULFA02L.html
  2. スカイマーク 再生法申請 負債710億円 運航継続
    http://www.asahi.com/articles/ASH1X6G42H1XULFA024.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 「イスラム国」人質 死刑囚釈放の用意 ヨルダン 操縦士と交換
    http://mainichi.jp/select/news/20150129k0000m030119000c.html
  2. スカイマーク破綻 民事再生申請 支援協議不調
    http://mainichi.jp/shimen/news/m20150129ddm001020160000c.html
  3. TPP 日米合意の方向
    http://mainichi.jp/select/news/20150129k0000m020130000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. スカイマーク 民事再生法 負債710億円、運航は継続 格安と競合 業績悪化
    http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ14HZV_Y5A120C1MM8000/
  2. 「死刑囚釈放の用意」ヨルダン パイロット釈放なら
    http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC28H0Q_Y5A120C1MM8000/
  3. 国内ドック 16年ぶり 今治造船、円安で競争力 400億円投資
    http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28HNC_Y5A120C1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. ヨルダン「死刑囚パイロットと交換」「24時間」経過 救出に全力 後藤さんには言及せず
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150129-00000072-san-m_est
  2. スカイマーク再生法申請 負債710億円、運航は継続
    http://www.sankei.com/economy/news/150128/ecn1501280051-n1.html
  3. 正恩氏 5月訪露 対独戦勝70年式典出席 大統領府確認
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150129-00000087-san-eurp

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 「期限」経過 安否は ヨルダン国営TV「操縦士解放なら死刑囚解放」後藤さんの情報なし
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015012902000129.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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