2015.01.28 wed

2015年1月28日【新聞解説】一様性と多様性

2015年1月28日【新聞解説】一様性と多様性


【リグミの解説】

第69回毎日映画コンクールの監督賞に呉美保(オ・ミポ)さんが選ばれました。女性が監督賞を受賞するのは同コンクール史上初めてとのことです。本日の毎日新聞社説は女性映画監督と多様性について記述しています。要旨は以下のとおりです。
 
<毎日新聞> 女性映画監督 歓迎したい多様な表現
・ 大手映画会社が量産していた時代は、撮影所に入って助監督を務めたうえで監督に昇任するしか道がなかった。撮影所は完全に男性社会だった。力仕事が多く、労働環境も厳しい。個性の強い男たちを統率しないといけない監督は、女性には難しいという定説がまかり通っていた。
・ ところが、映画製作の道が広がり、映画を学べる学校が増えて、監督になる道が多くなった。90年代から、映画製作の現場に女性が増え始め、それまでの結髪や記録に加え、照明、美術、撮影、録音などの助手に女性の姿が見られるようになった。
・ 女性映画監督が増えると表現が多様になる。数十人から数百人が集まる映画製作の現場の中心に女性がいると、その感性や思想は必ず、スクリーンに表れる。性や出産、家族、社会、戦争など、あらゆるテーマで、映像の幅が広がるだろう。しかし、まだまだ女性監督による映画は全体からすれば、少数だ。さらに多くの活躍を期待したい。
 
男性優位の日常風景
私はかつてファッション系の会社に勤務していましたが、そこでの日常風景は「男性優位」でした。顧客層が若い女性であったにもかかわらず、幹部がブランドについて議論する場に、女性の姿はほとんどありませんでした。みなファッションのプロですから、対象顧客が何を求めているか、理解していましたし、魅力的なものを企画し販売する力ももっていました。しかし「多様性」という意味では物足りないものがありました。
 
今日、女性の社会進出や幹部登用などは、「多様性」という文脈でとらえられることが多いと思います。取り上げた毎日新聞の社説も、女性映画監督が増えれば、取り上げるテーマも表現の内容も、もっと多様になると期待を込めています。それはそのとおりだと思います。そもそも表現したいものをもっている女性たちが活躍の場を得られずにきたとすれば、それは本人にとっても社会にとってももったいない話です。
 
女性は「多様性」のシンボルか
ただ、女性を「多様性」のシンボルとして扱うことには若干の違和感もあります。社会がいまだ男性中心の体制で動いているのは事実ですので、数少ない女性が活躍すれば目立ちますし、モノクロの集団に色鮮やかな存在が入れば、景色が一変します。では仮に、いろいろな職場やプロの表現領域で、男女が人口比通りの人数になったとしたら、社会は多様になるのか。どうもそういうことにはならない気がします。
 
なぜかというと、「多様性」を性差や年齢や人種など、外形的(あるいは生物学的)差異でとらえることは、多様性論の入り口に過ぎないからです。男性中心社会に多様性が不足しているとすれば、それは女性がいないからではかららずしもなく(もちろんそれも大事な要因のひとつではありますが)、男性たちが互いに「一様性」を求めあっているからではないでしょうか。
 
女性は男性と違って、集団を形成したときに「一様性」を求めず「多様性」を謳歌するのであれば別ですが、まれにある女性中心社会もまた、「一様性」の圧力が強いのではないかと思います。私が昔いた電話会社の電話交換業務部門は、ほぼ100%女性の職場でしたが、驚くほどモノトーン(一様性)の場所でした。むしろ男性中心の職場以上でした。たぶんこうした職場は男性中心社会の枠組みの中に存在していたことも大きいとは思います。ただ、こうした経験もあり、「女性=多様性」という捉え方は一面的なのではないかと実感する次第です。
 
人間の内面の多様性
では「多様性」を外形的、表面的要素だけでなく、もう少し内面的にとらえたらどうなるでしょうか。外見や属性ではなく、一人ひとりの内側にある自在で闊達な創造性に着目する。それが「多様性」のより本質的な価値なのではないか。私にはそう感じられます。「自由な表現」や「個性の発揮」ということがよく言われますが、実際には社会的規範や集団の「空気」があり、常に同調圧力とせめぎあうものです。
 
人間は、「一様性」が好きです。それが安全と安心をもたらすからです。しかし、「一様性」ばかりでは退屈です。停滞し進歩がなくなります。人間は本来、「多様性」も大好きです。理想は、「一様性」の基盤を社会的に担保したうえで、その上で「多様性」を花開かせたい。これが多くの人々の内なる願いなのではないかと思います。安定していて、しかも活性化された社会を考えるヒントが、ここにある気がします。
 

(文責:梅本龍夫)



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    http://www.yomiuri.co.jp/national/20150128-OYT1T50012.html
  2. サイバー保険 基準作り 政府が普及後押し 料金算定 活用へ

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



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    http://www.asahi.com/articles/DA3S11573187.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



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    http://mainichi.jp/shimen/news/m20150128ddm001030169000c.html
  2. 「無知は罪なり」胎内で被爆 忘れえぬ母の言葉 15秋ヒバクシャ千の証言によせて
    http://mainichi.jp/shimen/news/m20150128ddm001040166000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 石油・商社、損失1兆円 原油安の影響大きく 在庫価値目減り
    http://www.nikkei.com/article/DGKKASGD26H8G_X20C15A1MM8000/
  2. 後藤さんか、新画像「残されたのは24時間」死刑囚釈放要求
    http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27HAG_X20C15A1MM8000/
  3. 三菱UFJ、最高益 4~12月9000億円 メガ銀、海外で差
    http://www.nikkei.com/article/DGKKASGC27H1V_X20C15A1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 交渉期限24時間か「後藤さん」新たな画像「イスラム国」死刑囚と「1対1」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150128-00000081-san-pol
  2. JA全中廃止を明記 法改正案判明 農協の利用強制禁止
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150128-00000092-san-pol
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    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150128-00000093-san-eurp

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 後藤さんか 新たな声明 ネット「残り24時間」「イスラム国」死刑囚釈放 再要求 管氏「方針変わらず」
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2015012802000143.html
  2. 社会保障 弱者増す負担 年金・政活保護 減少 介護 保険料軽減 限定 チェック2015年度予算案
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015012802000142.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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