2012.08.08 wed

新聞1面トップ 2012年8月8日

新聞1面トップ 2012年8月8日


【リグミの解説】 本日の新聞1面トップは、読売、朝日、日経が「内閣不信任決議案・首相問責決議案」関連の政局報道です。毎日と東京も1面で扱っています。

かねてから、民主党の「マニフェスト違反」が批判されています。特に、消費増税について明言しなかった事実をどう説明するか、政権を取って何が変わったのかを真摯に説明し、国民の理解と同意を得ることが必要であり、その努力が不足していることは否定できません。

では、3党合意をして、衆院での消費増税を柱とする社会保障・税一体改革に賛成した自民党をどう評価したらいいのでしょうか。自民党は、消費増税は必要であり、国家再生に資すると判断したから3党合意したのであり、野田首相が衆院解散・総選挙をすることの見返りに、本意でない法案に賛成したわけではありません。これは「建前」です。しかし、法案を通すということは、自民党が考える国家運営の在り方へのコミットメントを示すものであり、国をどの方向に舵取りしていくかについての国民への「約束」と考えるべきものです。

今頃になって、野田首相が早期解散をしないのであれば、3党合意を反故(ほご)にする、という「本音」をむき出しにする自民党の在り方を見ると、政党としての品位を疑わざるを得ません。自民党は「2大政党制」を定着させるべく、筆頭野党として横綱相撲をする立場にあります。立ち合いで相手の横に跳び、勢い余った相手をはたき込みで倒すような小兵相撲をしていては、「国民の信を問う」と言っても説得力がありません。

消費増税という痛みを喜んで引き受ける人はひとりもいません。一国の首相が「政治生命を賭ける」と明言し、社会保障と一体で改革するために消費増税を打ち出し、政権政党が割れて崩壊寸前になりながら、それでも法案成立を目指している現実を私たちはどう判断すべきなのか。「間違ったことをしてきたから当然の報いだ」と見るのか。「ここで泥をかぶってあるべき姿を目指すリーダーをつぶしたら、もう消費増税を打ち出す政治家は皆無になるだろう」と見るか。

少なくとも、今の日本の政治家という「当事者」と、国民という「当事者」に問われていることが、2つあります。1つは「決められる政治」の実現です。もう1つは、「真の民意」の形成です。政治家が、日本国の真の「当事者」であれば、国会運営の大半の時間を費やし、震災復興や原発事故対応や再稼働問題といった難題を後回しにしてまでも決定しようとしたことを、決められないとしたら、その責任は等しく負う立場だということを、特に自民党の代議士には自覚してもらう必要があります。そして国民です。消費税をどう判断するかの立場(ビュー)にかかわらず、こうした政治の在り方を許し、政局というゲームを外野から見ている状況に、一歩でも半歩でも変化をもたらす必要があります。

原発に賛成でも反対でも「使用済み核燃料の最終処理をどうするか」、という難題には等しく向き合わなければならないように、消費増税に賛成でも反対でも「国家財政をどうするか」という難題にも等しく向き合わなければなりません。それが「当事者」になる、ということの最低限の意味だと思います。このスタートラインに立って初めて、「本当の約束=マニフェスト」が作られ合意され、そして守られ実現される、と期待できるようになります。「成熟した健全な国家運営」への長い道程の「最初の一歩」がここにあります。


讀賣新聞

【記事】 一体改革成立に危機

  • 自民党は7日、野田首相が8日午前中までに衆院の早期解散を確約しない限り、衆院への内閣不信任決議案と参院への首相問責決議案を8日午後に提出することを決めた。
  • 自民党は両決議案を提出する場合は、消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革関連法案の参院採決にも応じない方針だ。
  • 民主党は水面下で自民党との接触を図り事態打開を模索しているが、野田首相は解散の確約に応じない姿勢であることから、関連法案の成立が危ぶまれる事態が続いている。

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/


朝日新聞

【記事】 首相、党首会談を打診

  • 消費増税関連法案の参院採決をめぐり、野田首相は7日、自民党の谷垣総裁との党首会談を同党幹部に打診した。自民党は参院採決前に衆院解散の確約を求めていることから、首相自らが解散についての考えを直接伝える方針。
  • 首相周辺は「解散に言及せざるを得ない」と語っており、藤村官房長官ら首相側は既に自民党に解散をめぐる考え方の具体的な文言を提示するなど、調整に着手している。
  • 自民党は7日、衆院への内閣不信任案決議案と参院への首相問責決議案の提出判断を先送りし、野田首相の対応を見極めて最終判断をする。双方が折り合えば、消費増税法案は早ければ10日にも参院で可決し、成立する見通しだ。

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/


毎日新聞

【記事】 卓球団体、銀

  • ロンドンオリンピックは第12日に7日、卓球の女子団体決勝戦が行われ、日本は中国に0-3で敗退、悲願の金メダル獲得はならなかったが、日本卓球史上初のオリンピックメダルとなる銀メダルに輝いた。
  • そびえ立つ中国の壁は高く厚い。ロンドン大会で女子シングルスの金銀を占めた中国勢に対して、日本チームは懸命にラケットを振ったが、オリンピックの頂点の座はまだまだ遠かった。幼少時から国民的な人気者として卓球界を背負ってきた福原愛。「愛ちゃん2世」と呼ばれ小学校時代から頭角を現した石川佳純。この2枚看板に強気のプレーが光る平野早矢香。金メダルには届かなかったが、3人の活躍は次世代の才能豊かな選手たちを刺激する力となった。
  • 日本の今大会のメダル獲得数は29個となり、1964年の東京大会、1972年のミュンヘン大会に並んだ。

(毎日jp http://mainichi.jp/

日経新聞

【記事】 解散回答きょう期限

  • 自民党は7日、野田首相が8日昼までに衆院解散を確約する回答を示さない限り、独自の内閣不信任案と首相問責決議案を衆参両院に提出する方針だ。
  • 「国民の生活が第一」など中小野党は7日、衆院に不信任決議案、参院に首相問責決議案を提出した。自民党は中小野党の動きに対して幹部で対応を協議し、事態打開を検討している野田首相の姿勢を見極める方針を確認した。一体改革法案の成立前に自民党独自の決議案が提出されることに反対している公明党にも配慮した。
  • 首相側は、自民党の協力維持のため、谷垣総裁との党首会談を探っている。ただ民主党執行部は自民党に解散確約を迫られることを懸念しており、党首会談には慎重だ。輿石幹事長は「予断は許されない。野党の出方を見て対応する」と強調した。

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/


東京新聞

【記事】 半数なお長時間残業容認

  • 2000年以降に労働基準監督署や裁判所が社員の過労死や過労自殺を認定した企業のうち、本紙が把握できた111社について、残業時間の上限を調べた。約半数の54社で、依然として月80時間(いわゆる過労死ライン)以上の残業を認めていることがわかった。
  • 本紙が労働局に開示請求した資料によると、月当たり残業時間の上限が長い企業は以下の通り:NTT東日本=258時間、大日本印刷市ヶ谷事業部=200時間、新興プランテック=180時間、ニコン=150時間、JA下関=150時間、東芝電機サービス=150時間。この6社を含め、100時間以上が27社あった。
  • 労働問題に詳しい森岡孝二・関西大教授(企業社会論)は「過労死があった後も、長時間の三六協定を労基署に受理させている厚労省の考え方と、それを許している法制度に問題がある」と指摘。社員の働き過ぎを抑制する動きは鈍い。


(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/


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