2014.12.05 fri

2014年12月05日【新聞解説】不安の時代を生きる知恵

2014年12月05日【新聞解説】不安の時代を生きる知恵


【リグミの解説】

衆議院選挙のほんとうの争点は何でしょうか。本日の新聞6紙の社説の論点を並べると、見えてくる景色があります。
 
<読売新聞> 憲法改正 テーマの絞り込みに進む時だ
・ 自民党は12年に条文形式の憲法改正草案を公表している以上、どんな改正を優先するのか、正面から国民に訴え、機運を高めるよう努めるべきではないか。民主党は、「国民との憲法対話を進め、未来志向の憲法を構想する」との抽象論にとどまった。困難な課題を先送りするのは政党として責任ある対応ではない。
 
<朝日新聞> 若者と選挙権―「18歳」確実に実現を
・ 国民投票の投票権年齢を18歳以上とするのは、憲法改正という重大事の判断にあたっては、将来を背負う若い世代にも参加してもらうべきだ、という考えによる。ならば、負担の分かち合いが避けられないこれからの国政や地方自治を考えれば、議員や首長の選挙へも18、19歳の参加を拒む理由はない。
 
<毎日新聞> 衆院選 ここを問う…福島の苦悩
・ 福島を第一声の地に選んだ党首もいたが、選挙戦全体を通して福島の救済・復興策が熱心に語られているとは言い難い。いつになったら帰れるのか。帰れないならどこに定住するのか。避難者が漂流せざるを得ない状況を食い止め、一刻も早く生活再建の道筋を示すべきだ。
 
<日経新聞> 安保政策の転換も大切な争点だ
・ 外交や安全保障問題は争点になりづらい。だが、この衆院選はそれではすまされない。日本の対外政策が大きな岐路にあるからだ。なかでもいちばん大きいのは、集団的自衛権の問題だ。来年は第2次世界大戦の終結70周年を迎える。過去の歴史にどう向き合うか、日本の姿勢に改めて世界の注目が集まる。各党はこの点についても見解を示してもらいたい。
 
<産経新聞> 衆院選と復興 被災者の不安拭う議論を
・ 各党は2年前の衆院選で「まず復興から」と唱え、東日本大震災への取り組みを競った。3年9カ月を経て後退はみられないか。被災地からは、師走選挙に対する異論や失望も聞こえる。衆院選は復興の加速やこまやかな被災者対策を論じ合う、重要な機会であることも忘れてはなるまい。
 
<東京新聞> 公的年金 低所得への具体策語れ
・ 世界でも類を見ない急速な少子高齢化が進む日本。老後の命綱である厚生、国民年金など公的年金制度はどうあるべきか-。厚生年金の給付水準は徐々に目減りし、出生率や経済条件が標準的なケースでも、将来的に二割程度下がる。基礎年金のみの国民年金はより深刻で、約三割も低下する。こんな水準では、老後の最低所得保障機能を果たせないと危惧されている。各党には選挙戦で、低年金問題への具体的な処方箋を、語ってほしい。
 
さまざまな課題
国のあり方を規定する憲法の見直しを求める声(読売)。少子高齢化の未来を担う未成年者に参政権を付与する発想(朝日)。被災地福島を起点とする政治が忘れられる現実(毎日、産経)。集団的自衛権の具体的な内容への踏み込みを求める声(日経)。財政問題と将来の公的年金の給付低減の不安を訴える視点(東京)。
 
いずれの政治課題も、日本という国を取り囲む環境要因の構造変化が背景にあります。国民の大多数は、生活の安定や安全と安心を求めているのではないかと思います。もし選挙の争点をひとつだけ選べと言われれば、「経済」を取る人が多いのではないか。各紙の世論調査で自民党が300議席を超える大勝ちをするとの予測が出ています。「アベノミクス」の評価が高いというよりも、「この道しかない」という自民党のスローガンを消極的に追認している姿に見えます。
 
価値観の選択
わが国を取り囲む問題はたくさんあります。でも、ほんとうの問題は、私たちの内側にあるのかもしれない。社説を読み比べてふと感じたことです。どの論調も、問題は「外」にあり、責任は「誰か」にあり、自分たちは「被害者」だという暗黙の前提があります。このこと自体は、いつの時代にもある基本的な姿勢ですが、近年の大きな変化が背景にあります。それは、世界第2の経済大国という地位からすべり落ちたショックです。これが大きなトラウマになり、私たちの中に「他責」の傾向が強くなっているような気がします。
 
そんなとき、立ち止まって、自分の心の内側の「不安」のほんとうの理由を見つめることも大事です。ほんとうの問題を正視すれば、自分たちがやるべきことも、自ずと見えてきます。そして問題解決の第一歩を刻むことができます。私たち日本人は本来、自分たちそれぞれにやるべきことに地道に取り組む力を十分にもっています。問題は、価値観のすりあわせです。今回の衆院選のほんとうの争点は、「価値観」です。不安に惑わされず、ほんとうに大事なことを選択すれば、未来の自分たちの姿も鮮明に見えてくるはずです。
 

(文責:梅本龍夫)



  1. 調査リコール 日米で拡大 予防措置 国交省も指示へ タカタ エアバッグ
    http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141204-OYT1T50124.html
  2. NY円 一時120円台
    http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141204-OYT1T50154.html
  3. 人口減対策 知恵比べ 争点14衆院選

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. 「自民300」予測の衝撃 民主「郵政のような熱気ないのに」野党連携 効果見えず
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11490672.html
  2. 円安 一時120円台 NY市場 7年4カ月ぶり
    http://www.asahi.com/articles/ASGD44D3WGD4ULFA00Q.html
  3. バター供給3割増 今月
    http://www.asahi.com/articles/ASGD45J68GD4ULFA021.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. タカタ エアバッグ リコール国内280万台に トヨタ18万台追加
    http://mainichi.jp/select/news/20141205k0000m040079000c.html
  2. 円安 一時120円台 NY市場 7年4カ月ぶり
    http://mainichi.jp/shimen/news/m20141205ddm001020108000c.html
  3. 原発回帰 再エネ中断 政策を問う2014衆院選エネルギー
    http://sp.mainichi.jp/shimen/news/m20141205ddm001010104000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. 円安、7年ぶり120円台 1ヵ月で10円下落
    http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS04H49_U4A201C1MM8000/
  2. 逆風が足腰を強くする 日本企業 熱狂なき最高益
    http://www.nikkei.com/article/DGXLZO80521610V01C14A2MM8000/
  3. アフリカで港・鉄道整備 三井物産、資源開発と一体
    http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ04HVO_U4A201C1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 円急落、120円台 NY外為 7年4カ月ぶり
    http://www.sankei.com/economy/news/141204/ecn1412040038-n1.html
  2. タカタエアバッグ 国内リコール300万台超に 国交省 初の「調査」指示へ
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141205-00000104-san-bus_all
  3. 中国にらみ陸自に海兵隊機能 防衛力強化 政権の是非を問う 衆院選2014
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141205-00000075-san-pol

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 「不検出」実際は汚染 東電 誤解与える海水簡易分析
    http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014120590065951.html
  2. 「戦後の精神」つなぐ 秘密保護法 言わねばならないこと 集団的自衛権
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/iwaneba/

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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