2014.11.06 thu

2014年11月6日【新聞解説】「希望の火」を

2014年11月6日【新聞解説】「希望の火」を


【リグミの解説】

「歴史的大敗」
米中間選挙でオバマ政権を担う与党・民主党が大敗し、上下両院で野党・共和党が過半を制しました。米国の国政選挙は世界の最大の関心事のひとつです。もっとも影響力の大きい超大国の動静について、各紙一面で大きく伝えています。
 
もっともセンセーショナルなタイトルは日経の「歴史的大敗」です。何をもって「歴史的」とするのか明記されていないのが気になりますが、オバマ大統領が受ける痛手を象徴する言葉ではあります。読売、朝日、毎日、日経、産経の全国紙5紙がそろって社説を掲げています。今回の選挙のどこが「歴史的」なのかを示唆するポイントをピックアップします。
 
<読売新聞> 米中間選挙 オバマ氏は「ねじれ」克服図れ
・ 米国の中間選挙で、野党の共和党が勝利し、上下両院で過半数を制した。下院で議席を大幅に増やし、上院では8年ぶりに多数派に復帰した。民主党が上院の支配を失ったことにより、法案の審議・成立は一段と困難になる。オバマ氏は厳しい政権運営を迫られよう。しかし、米国の影響力がさらに低下し、世界を不安定化させることは避けねばならない。
 
<朝日新聞> 米中間選挙―不毛な政争に区切りを
・ 米国は「決められない政治」に陥って久しい。リベラル派の大統領に対し、保守色を強める共和党はことごとく抵抗し、政権の打倒を叫んできた。今後も自由主義世界を率いる大国としての自負があるなら、米議会は一刻も早く不毛な政争に区切りをつけるべきだ。
 
<毎日新聞> 米中間選挙 超大国の迷走が心配だ
・ 大統領と議会の「ねじれ」は過去にもあったが、共和党の「オバマ嫌い」は際立っている。オバマ大統領が掲げた「一つの米国」や「チェンジ」はどんどん色あせていくようだ。16年の大統領選に向けて米国政治が党派性を強めるのも分からないではないが、世界のリーダーとしての責任と理想を忘れてはなるまい。
 
<日経新聞> オバマ政権の失速にどう向き合うか
・ 今後の米政界は2年後の次期大統領選をにらみ、民主党と共和党の不毛な泥仕合が続きそうだ。オバマ大統領が共和党との融和にかじを切る可能性は低いとみられており、「決まらない政治」のもとで、米国民の内向き志向はさらに強まっていくに違いない。グローバル経済に不安定要因が生じた場合などでオバマ政権は指導力を発揮できるのか。先行きを不安視する声は米国内にも多い。
 
<産経新聞> 米共和党圧勝 大統領は大胆に協調図れ
・ 経済指標が改善される中での与党民主党敗退の要因は、大統領の指導力不足で国民の不安が全般に増したことに尽きる。40%前後と低迷する支持率にも示される。次期大統領選に向け、対立を超えて「決められない政治」を脱すべき共和党の責任も重い。
 
未来を照らす火
残念ながら「歴史的大敗」を直接示す事実はわかりませんでした。上院で共和党が過半を握るのが8年ぶりというのが、一番わかりやすい「ファクト」でした。マスコミの報道心理の中に、オバマ氏が2008年に大統領に当選したときの熱狂と、今日の落差の大きさを強調したい思いがあるのかもしれません。
 
オバマ氏が大統領選(再選を含む)で打ち立てた「CHANGE」「YES WE CAN」「HOPE」は、単なる標語ではなく、米国の建国の精神であり、米国人の価値観の根幹を示すものであり、米国が世界に範を示すもっとも良質な側面でした。それがさまざまな理由で機能しなかった。それこそが「歴史的大敗」の真の意味ではないでしょうか。負けたのはオバマ大統領と民主党ではなく、米国そのものではなかったか。
 
米国には奴隷制の暗い歴史があります。米国発の黒人大統領の誕生は米国史に残る「歴史的勝利」でした。対立や差別を超え、ひとつの米国を打ち立て、多様な価値や多様な姿かたちを包摂する大きなコミュニティーのあり方を実現する。米国が真にめざすべきは、対立を深める世界にあって、理想と現実の相克に挑戦し続けることです。「HOPE」は、米国の国内政治の話ではありません。今の地球が必要としているもの。それが「希望の火」です。
 

(文責:梅本龍夫)



  1. オバマ民主 大敗 共和、両院過半数 上院8年ぶり奪還
    http://www.yomiuri.co.jp/world/20141105-OYT1T50190.html?from=tw
  2. 日中首脳会談へ詰め 3年ぶり 来週 APECで
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/20141106-OYT1T50009.html
  3. 靖国参拝 続く駆け引き 日中韓の懸念

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



  1. オバマ民主、両院敗北 共和党、議会で主導権
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11440682.html
  2. 日中首脳 対話へ 面会形式めぐり調整 北京APEC
    http://www.asahi.com/articles/ASGC60BQZGC5UHBI03Z.html
  3. トヨタ純益2兆円予想 通期
    http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN0IP0N1.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. オバマ政治に不信任 共和 両院で過半数
    http://sp.mainichi.jp/shimen/news/m20141106ddm001030166000c.html
  2. トヨタ営業益最高 7年ぶり 通期予想も上方
    http://mainichi.jp/select/news/20141106k0000m020056000c.html
  3. 朝日新聞社長退任へ 今月中旬発表 誤報問題で引責
    http://mainichi.jp/select/news/20141106k0000m040107000c.html

(毎日jp http://mainichi.jp/
 



  1. オバマ民主、歴史的大敗 共和、上下両院を制す 中間選挙
    http://www.nikkei.com/article/DGKKASGM05H45_V01C14A1MM8000/
  2. トヨタ純利益 初の2兆円 今期見通し 北米好調、円安も寄与
    http://www.nikkei.com/article/DGKKASGD05H5V_V01C14A1MM8000/
  3. 混合診療、原則100病院 厚労省、大病院で 再生医療も対象に
    http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF05H0Q_V01C14A1MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



  1. 停滞生むオバマVS議会 共和党 上下両院とも過半数
    http://www.sankei.com/world/news/141106/wor1411060004-n1.html
  2. 総連本部の売却確定 最高裁 自主的退去 焦点に マルナカに
    http://www.sankei.com/affairs/news/141105/afr1411050012-n1.html
  3. ブラジル地下鉄 三井物産が参入 国交省ファンドも出資検討
    http://www.sankei.com/economy/news/141106/ecn1411060002-n1.html

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



  1. 川内避難計画 形だけ 自治体の大半 施設側に知らせず
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014110602000137.html
  2. オバマ民主 大敗 米中間選挙 共和、両院で過半数
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014110602000120.html
  3. 「送電に支障」は数年先 電力会社 対策可能
    http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014110602000130.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


【本日の新聞1面トップ記事】アーカイブ


★リグミの独自メルマガ始めました。
広告無しで【リグミの「新聞1面トップ記事」&「今日は何の日?」】が読めます!!