【リグミの解説】
子どもの声のトラブル
子どもの声を騒音ととらえた近隣トラブルが増えていています。東京都国分寺市では、園児の声がうるさいと市に苦情を寄せ、「対応しないと園児の首を切る」と職員を脅していた男性が、園児を迎えにきた親に手おのを見せ逮捕されました。東京新聞がこの問題を社説に掲げています。主な主張は以下の通りです。
<東京新聞> 保育所の新設 子どもの声は騒音か
・ 東京都練馬区の保育所は住民から騒音差し止めの訴訟を起こされた。根拠とされたのは、騒音防止を目的とした全国でも珍しい都条例だ。規制の対象に例外がない。とはいえ、子どもの声がカラオケや工場の音などと同列に扱われていいのだろうか。静かに暮らす環境を守りたい住民の気持ちは切実だとしても、このままでは子どもは町から締め出されてしまう。
・ ドイツでは2011年、「子どもの声は騒音ではない」とする法改正をした。住民から閉鎖や移転を迫られる裁判が相次ぎ、敗訴した幼稚園が閉鎖に追い込まれていったのがきっかけだった。
・ 外で思うように遊べない、歌えない、楽器も鳴らせない。それは子どもの生活ではない。笑ったり、泣いたり、感情を表に出すのは成長の証しである。東京都も、子どもの声を規制から外すことを検討中だ。保育所建設の際には地域と十分な対話を重ねたい。誰もが幼かったころがあったことを思い出し、子どもたちを温かく包み込みたい。
子どものしつけ
小さな子どもを育てている親たちは、自分の思う通りにふるまってくれない子どもに苦労させられていると思います。それもそのはず。子どもは自分の命を生きており、自分の手を動かし、駆け回り、声を出し、この世界の驚異と向き合っているからです。人間のもっとも人間らしい資質である好奇心をもっとも自在に発揮しているのが子どもたちです。
子どもは「今」を生きており、目の前のことにいつも集中しています。嬉しければ笑い声をあげ、気分がわるければ大声で泣きます。大人の分別や我慢といったものは、子どもにはありません。しかしそれでは社会の一員として共生できないので、親たちは必死にしつけをし、他人に迷惑をかけないようにがんばっています。
最近の子どもたちと親の関係を見ていると、「傍若無人」にふるまっている子どもはほとんどおらず、親や祖父母などの保護者が過剰なぐらい他人に迷惑をかけないように気を使っています。世間(大人の社会)が子どもの「無邪気さ」を容認しない空気が強くなっていることが背景にあるように感じます。
子どもはマイノリティーか
1955年(昭和30年)当時、0~14歳の子どもの比率は33.4%、約3人に1人が子どもでした。2013年(平成25年)にはそれが12.9%、約8人に1人です。約60年前には、大人(15歳以上)2人に子どもが1人いたのに、今は周りに7人も大人がいて、1人の子どもの存在感がすっかり小さくなってしまっています。少子化とは、子どもたちが急速に「マイノリティー」な存在に転落している社会といえます。
さらに高齢化と単身化が日本の社会構造を大きく変化させています。上の統計とは定義が違いますが、1975年(昭和50年)当時、単身世帯と夫婦のみ世帯の合計は28.0%でしたが、2010年(平成22年)には48.1%に達しています。残りは未婚の子どもがいる世帯などですが、15歳以上(あるいは成人の)子どもも多く含まれると思いますので、小さな子どもと生活を共にしている世帯は半分よりはるかに少ないと想定されます。
活気と希望がある社会
私たちはいつの間にか、小さな子どもたちと日常的に接しない社会になってしまったようです。少子高齢化社会とは、小さな子どもたちの顔が見えないため、親しみと包容力をもった接し方がわからなくなっている気がします。
子どものしつけは必要であり、社会のルールに親も子も順応する必要があります。しかし同時に、私たち大人の側でも、子どもたちを異質なもの、マイノリティーな存在のようにみなす無意識的な心理に気づく必要もありそうです。次世代が元気に走り回り、大声を出している社会は、ほんとうはどの世代にとっても、活気と希望を与えてくれるもののはずです。
(文責:梅本龍夫)
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