【リグミの解説】
本日の読売新聞は社説でカジノ解禁法案を批判しています。主な論点は以下のとおりです。
<読売新聞> カジノ解禁法案 弊害の議論が浅薄では困る
・ 臨時国会中の法案成立を最優先する、前のめりの姿勢ばかりが目立つ。肝心なカジノ解禁の功罪に関する議論が拙速であってはなるまい。とにかく2020年東京五輪にIR整備を間に合わせよう、という安直な発想で、依存症の人や犯罪の増加など、カジノの「負の側面」に正面から向き合おうとしないのは、極めて問題である。
・ 地域振興や税収増への期待から北海道、大阪、長崎、沖縄などでは誘致の動きがある。ただ、既存の海外カジノとの競合が予想される。経済効果の持続性がどの程度あるのかも不透明だ。ギャンブルに頼らない活性化策を検討するのが本筋だろう。
・ 厚生労働省の研究班の推計によると、パチンコなどを含めたギャンブル依存症の疑いがある人は全国で536万人に上る。成人男性では8・7%を占め、他国と比べてかなり高いとされる。カジノを解禁した場合、依存症の人が増え、多重債務や家庭崩壊に陥ったり、資金欲しさに犯罪に走ったりする懸念が拭えない。
最新カジノ事情はどうなっているか
ネットで検索すると、ゲーミングの延長線上のギャンブル学の研究と調査をしている谷岡一郎・大阪商業大学学長の本などが紹介されています。2002年に発売された『カジノが日本にできるとき』の宣伝文は以下のとおりです。
「本書では、カジノ合法化がもたらすプラスとマイナスの影響を、アメリカの先例をもとに客観的に分析。日本で懸念されている『青少年への悪影響』『勤労精神の減退』『闇社会への資金流出』などは心配なく、逆に『失業率の低下』『地域振興』『税収の確保』などの経済的・社会的効果の方がはるかに大きいと指摘する。」(参照:AMAZON)。
まったくの想像ですが、こうして研究論文や本が、政府が進めるカジノ政策の理論的支柱になっているのではないかと思います。
米国のカジノといえばギャングが仕切る世界であり、日本で丁半ばくちの賭場を開くのはヤクザと決まっています。これが映画的なステレオタイプイメージです。米国のカジノ経営の最先端事例はどうなっていて、日本のギャンブルビジネスの可能性と問題はどこにあるのか、プラスとマイナスが客観的に見える情報や記事が必要でしょう。
なぜカジノなのか
ということを前提に、私の心象的な意見を述べれば、「なぜ経済成長にカジノなのかわからない」となります。アジアの他国がカジノで外国観光客の誘致に成功している事例に刺激を受けているのでしょうか。
日本に観光客を呼び込むためには、日本というコンテンツが充実している必要があります。どこにでもあるカジノが日本のユニークバリュー(「違い」)になるとは思えません。仮にカジノのマイナス面をコントロールでき、プラス面の経済効果の方が大きいと客観的に言えたとしても、それがカジノ解禁を正当化するのでしょうか。
上記の本のキャッチコピーは「娯楽なき『大人の社会』はありえない。ギャンブル後進国日本も、もはや禁止するのではなく、自己責任のもとにそれを認めるべきではないか」です。なかなか刺激的な一文です。でも冷静に考えると、娯楽を充実させるためになぜギャンブルが必要なのか、わかりません。むしろゲームの本質に立ち返り、お金ではない報酬、精神的満足とはどのようなものか、探究すべきではないでしょうか。
ゲームの本質に立ち返る
ゲーム・デザイナーのジェイン・マクゴニガル氏は、ゲームは「ゴール」「ルール」「フィードバックシステム」「自発的な参加」の4つの要素で成り立つと指摘しています(参照:ジェイン・マクゴニガル著『幸せな未来は「ゲーム」が創る』早川書房)。スポーツを考えれば、ゲームの4則が見事に生かされていることがわかります。
ゲームに勝つことはチャレンジングでわくわくする行為です。人生における娯楽であり、退屈な日常にギャンブル的な要素を持ち込むともいえます。しかし、優れたゲームは、一攫千金的な射幸心とは無縁です。自分が主人公になり、困難に挑戦し、失敗を繰り返しながら成長していく物語を体験させてくれるのがゲームの本質です。いっぽうカジノは、政府と経営会社がかならず儲かるようにできている仕組みです。逆に言えば、カジノの客が長期的に勝者になる可能性はゼロです。
ゲームは、勝ったり負けたりをしながら、技量と努力と運の積み重ねで、誰でも大きな成功を勝ち取る可能性があるからこそ、心から楽しめるのではないでしょうか。真に健全な娯楽は、私たちの内側にある成長意欲や克己心を刺激してくれるものだと思います。
(文責:梅本龍夫)
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