2014.10.10 fri

2014年10月10日【新聞解説】50年後の日本

2014年10月10日【新聞解説】50年後の日本


【リグミの解説】

東京オリンピック
50年前の今日、10月10日、東京オリンピックが開幕しました。NHKのアナウンサーが「世界中の青空を全部東京に持ってきたような…」と表現しました。前日まで大雨でした。本日の読売、毎日、日経、産経の4紙が社説を掲げています。特徴的な視点を比較します。
 
<読売新聞> 東京五輪半世紀 あの感動を2020年にも
・ 五輪は、今の東京につながる都市基盤整備の起爆剤となった。一方で、半世紀前の感動を知らない世代が増えている。だからこそ、東京に再び聖火を灯す機会を得たことが、本当に喜ばしい。オールジャパン体制で、抜かりなく作業を進めることが重要だ。観光立国を目指す上で貴重な財産となる。成熟都市で開く五輪のモデルとなる素晴らしい大会にしたい。
 
<毎日新聞> 東京五輪50年 次は国際貢献する番だ
・ 開催国が数多くのメダルを獲得することは大会の盛り上げにつながるだろう。だが、成熟した都市、東京で開催する2度目の夏季五輪としては物足りなくはないか。21世紀に入ってもスポーツ環境に恵まれない国は世界に数多くあり、国際大会でメダル獲得が困難な国もある。スポーツを通した国際貢献も、先進国である日本には求められているのではないか。
 
<日経新聞> 「64年」超えて新しい五輪を
・ いまから50年前のきょうは、戦後日本がいちばん誇らしげな表情を見せた日だ。それから半世紀、いままた2020年東京オリンピックへ向けての準備が進んでいる。しかしもはや、前回のような国民的高揚感を求める時代ではないだろう。たとえば日本がまだまだ遅れている多様な人材の育成・登用や、外国人との共生といった社会のかたちの変革を、五輪を機にしっかり進めたらどうだろう。
 
<産経新聞> 東京五輪50年 次の大会は何を残せるか
・ 50年の時を経て、東京は今2度目の開催準備を進めている。望むのは成長型の成果ではなかろう。初めてひとつの組織委員会がオリンピックとパラリンピックを運営する。健常者と障害者が一緒にスポーツを楽しみ、生活する環境を創出できないか。スポーツを文化に高めていくいい機会だ。日本人特有の「おもてなし」精神がどんな効力を発揮するかに、世界は注目している。
 
もし2020年東京オリンピックがなかったとしたら
各紙の論調に共通するには、1964年が「成長国家モデル」であったのに対し、2020年オリンピック・パラリンピックは「成熟国家モデル」となるべきだ、というものです。しかしそれがどのようなモデルなのか、明瞭とはいえません。もし2020年の東京オリンピック開催が決まっていなかったら、各紙の論調はどうなっていたでしょうか。
 
2020年があるために、私たちはなんとなく「1964年型成長国家モデル」の第2章の恩恵に浴することができるのではないかと漠然と思っているところがあります。グローバル経済が量的成長を競っている以上、日本だけグローバル競技場を離れるわけにいかない。そんな気分があります。いったん脱落すれば二等国、三等国に逆戻りするという恐怖心もあるのだと思います。
 
成長国家モデルと成熟国家モデル
「成長国家モデル」は、春の国家論です。「成熟国家モデル」は、秋を迎える国家の姿です。穀物や果物が十分に実り、充実の収穫期を迎えるのが秋です。「10月10日」は、秋晴れの象徴です。「成長国家モデル」は、春から夏をめざし、盛夏が永遠につづくことをめざします。もし晩夏になり初秋を迎えてしまったら、すべての歯車は逆回転し、奈落の底落ちる。だから、あらゆる手段を尽くしても、成長を維持しなければならない。
 
しかし「成熟国家モデル」は冬をめざすものです。永遠の夏はないと知っているからです。冬は秋の収穫物が一粒の種子となり、土中に帰る季節です。厳しい冬を通り越した種子は、春に芽吹きます。「成熟国家モデル」は、循環型の経済社会をめざすというのが基本であると私は思います。
 
経済成長の頂点を理解できなかった
人口減少と少子高齢化によって、日本は秋から冬に向かっていきます。それはしかし次の春を迎えるための準備期間です。50年前「世界中の青空を全部東京に持ってきたような…」東京は、そして日本は、1985年のピーク(盛夏)に向けて、20年間走り続けました。
 
経済成長の頂点を極めることの意味をよく理解できなかった日本人は、その後バブルという狂瀾を経て、「失われた20年の時代に突入しました。それは寂しい季節となりましたが、実際には、戦後の日本が営々と培ってきたものを収穫する貴重な時期となったともいえます。」
 
50年後に世界の最先端となる
現代のグローバル経済が陥っている「成長国家モデル」は、協調性の仮面の下に強欲で利己的な素顔を隠しています。仮面を脱いだとき、競争相手を蹴落とし、異物(宗教や価値観や国家などが異なる者たち)を排斥し攻撃します。勝利のためには平和的手段を逸脱することも厭いません。
 
「成熟国家モデル」は、そんなグローバリズムの潮流から一歩身を引き、「違い」を創造します。地球の有限性を考慮し、人間の英知の産物である科学やテクノロジーを循環型経済社会の構築に振り向けます。安全で快適で便利な社会を維持しながら、同時に内面の充実と生き生きとした創造性や、他者を思う共感の心を育てます。
 
四季を繰り返すうちに、人間社会は驚くほど進化していくことができる。それが2020年のビジョンであると私は感じます。そうしたビジョンを具象化する端緒を創れれば、これから50年後の日本は、間違いなく世界の最先端となるでしょう。
 

(文責:梅本龍夫)



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    http://www.yomiuri.co.jp/national/20141009-OYT1T50071.html
  2. 内村V5 世界体操 個人総合 田中「銅」
    http://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/20141009-OYT1T50110.html?from=ycont_top_txt
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    http://www.yomiuri.co.jp/national/20141009-OYT1T50120.html

(YOMIURI ONLINE http://www.yomiuri.co.jp/
 



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    http://www.asahi.com/articles/DA3S11394990.html
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    http://www.asahi.com/articles/DA3S11394986.html
  3. 産経前ソウル支局長起訴 韓国駐日公使に外務省が「憂慮」
    http://www.asahi.com/articles/DA3S11394987.html

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/
 



  1. 最高裁「石綿 国に責任」初判断 規制遅れ13年 泉南訴訟
    http://mainichi.jp/select/news/20141010k0000m040079000c.html
  2. 内村 世界体操V5
    http://mainichi.jp/sports/news/20141010k0000m050105000c.html
  3. ユニクロ売上高1.3兆円 8月期 増税後も堅調
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(毎日jp http://mainichi.jp/
 



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    http://www.nikkei.com/article/DGKDASGC09H0N_Z01C14A0MM8000/
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    http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ09HE1_Z01C14A0MM8000/
  3. 石綿被害 国に責任 大阪・泉南訴訟 最高裁が初判断
    http://www.nikkei.com/article/DGKDASDG09H12_Z01C14A0MM8000/

(日経Web刊 http://www.nikkei.com/
 



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    http://www.sankei.com/world/news/141009/wor1410090060-n1.html
  2. 石綿健康被害 国に責任 最高裁初判断「排気装置義務遅い」大阪・泉南訴訟
    http://www.sankei.com/west/news/141009/wst1410090051-n1.html
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    http://www.sankei.com/sports/news/141010/spo1410100011-n1.html

(MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/
 



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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014101002000150.html
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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014101002000149.html
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    http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014101002000152.html

(TOKYO Web http://www.tokyo-np.co.jp/
 


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