【リグミの解説】
民主党の役員交代
民主党の役員交代について、本日の産経新聞と東京新聞が社説を掲げています。昨日の読売、毎日、日経も社説を出していました。5紙の特徴的な論点を比較します。
<読売新聞> 民主党役員交代 バラバラ感を解消できるか
・ この新たな布陣で、結党以来の弱点である党のバラバラ感を解消できるのだろうか。党内バランスに配慮しつつ、有力議員を取り込んだのは、挙党態勢を構築する狙いがある。ただ、これで民主党が一致結束できるとみるのは早計だろう。 野党第1党の民主党に最も求められるのは、政策の一致だ
<毎日新聞> 民主党の新布陣 政策論争を与党に挑め
・ 結束強化を狙った布陣だが、野党転落以来同党が低迷を抜け出せない要因には重要政策で意見集約を放置し、党内の対立回避に終始した内向きな党運営がある。集団的自衛権行使問題、エネルギー政策などで安倍政権との対立軸を打ち出し、国会論戦への備えを急がねばならない。
<日経新聞> 野党が「多弱」を脱するには
・ 小説でも映画でも敵役が手ごわくなければ、生き生きした物語にならない。政治の世界でも野党が果たす役割は決して小さくない。現状の「多弱」を脱するにはどうすればよいか。重要なのは、何を目指すのかという政策の旗を打ち立てることだ。政策の違いは変に取り繕わず、進路をはっきりさせる。人の好き嫌いはぐっとのみ込み、大同団結する。それが大人の組織というものだ。
<産経新聞> 民主党新体制 鮮明な旗作りから始めよ
・ 起用されたのは政権当時に内外の政策を迷走させ、国益を損なった当事者ともいえる。特に、日米関係の悪化という深刻な状況を招いたことに対する反省や認識が乏しいように映る。安倍政権と対峙するために、党のリベラル色を強めようといった発想に立つなら、再び対米関係を担うことは困難だ。
<東京新聞> 民主党新体制 生活者の原点へ、再び
・ 長期低迷からなぜ抜け出せないのか。それは、マニフェスト破りと稚拙な政権運営で国民の期待を裏切ったことへの反省が決定的に足りないからではないのか。党再生に努力する姿が見えず、国民が政権を再び託してもよいと思える理念や政策も練り上げていない。例えば消費税である。消費税増税が暮らしをよくする政策だったと今でも胸を張って言えるのか。
民主党の凋落
メディアも、私たち一般も、民主党の問題を一党のあり方として問う傾向があります。「2009年9月に58%あった党支持率は今月はわずか5%」(日経社説、)なのですから、民主党の再建は容易ではありません。
凋落した民主党の支持率を獲得したのは言うまでもなく、自民党です。調査は別のようですが、日経の電話世論調査によると、9月初頭段階の支持政党は、自民党36%に対して民主党は3%です。ここで注目すべきは、支持政党なしが過半の53%を占めていることです。
自民党は復活しましたが、民主党が政権を取るときに国民が示した熱狂はありません。「政治が変わる」という国民の大きな期待を背負った民主党は、マニフェストをもとにした政治主導の運営を誤り、大きな傷を残しました。稚拙な政権運営に国民は失望しました。
熱狂なき自民党支持
政治が変わらないなら、せめて経済を復興させてほしいという思いを受け、自民党安倍政権が誕生しました。自民党支持層のうち、熱狂的な支持者は限られているのではないでしょうか。しかし、今回の自民党支持の一大特徴は、支持率が容易には落ちないことです。大きな傷を負った国民は、安易な代替案がないと感じているからでしょうか。
「政治が変わる」と期待した民主党の失政に対し、「政治は変わらない」と選択された自民党政権ですが、実際には政治は大きく変貌しつつあるように見えます。それは、国民の多くが望む形なのか、不明のまま事態が進行しています。自民党の「消極的支持層」(経済運営に期待する層など)と、「支持政党なし」の層は、おそらくは「サイレント・マジョリティー」を形成していると思いますが、この大きな塊の人々は、政治にもっとコミットする必要があります。
ただ、「サイレント・マジョリティー」がコミットできる器を政治が用意しないと、実際にはなかなか動きは出てきません。自民党と民主党による「二大政党制」は、そのような大きな舞台装置として期待されたものでした。しかし民主党が凋落すると、誰もこの装置の有用性や課題について語らなくなりました。
二大政党制を機能させるには
民主党の再興は、この党だけではできないと私は感じています。日本的政治は、「二大政党制」というアングロサクソン的な器に、単純にはなじまないのかもしれません。「二項対立」よりも、日本人は「二項同体」の価値観を取るからです。かつての自民党は、「左派」から「右派」まで抱え込み、派閥のバランスで中道的な運営を保っていました。民主党も、同じ日本的政治ダイナミクスを抱えていますが、「左派」と「右派」のバランス取りが下手です。
いっぽう自民党は「右派」が主流となる形で「二大政党制」の一翼を鮮明にしました。であればどうするか。もし「二大政党制」という大きな器づくりの実験が失敗に終わったわけではなく、なお検証する価値があるというなら、自民党に民主党の右派が合流し、逆に自民党の左派が民主党の左派と合同してはどうでしょうか。民主党に欠けている政権運営能力は、自民党左派から学ぶのが一番現実的だと私は思います。
その上で、日本はアングロサクソン型の政治の器を、自分たちに合うように形を変えるでしょうから、そこで「二項対立」に偏りすぎず、「二項同体」のバランスを取る方法論を探れば良いと思います。右派自民党と左派民主党が、かつては仲間だった人々と連絡を取り合い、対立だけでは解決しない政策決定プロセスを模索する。そんな21世紀型の日本型政治の器(舞台)を作れないものでしょうか。
(文責:梅本龍夫)
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